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Channel: 映画・海外ドラマ 覚え書き
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CSI 科学捜査班 最終回

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「CSI」を初めてDVDで見たときの衝撃・・・
今もお世話になっているWOWOWに加入したのは、なにをかくそう、CSIを見るためだった。

とにかくグリッソムが好きで好きで・・
思えばこのブログも屈折したグリッソム愛を吐露するところから始まったのだわ。(笑)
でも、第9シーズンで彼がいなくなり、その後もキャストが次々に変わり・・
しばらくご無沙汰してたけど、ついに番組が終了するにあたって、最後の最後に愛しのグリッソムが出る、ときいて、特別版を見ました。

○サラ、いつのまにか離婚してた←ぜんぜんしらんかった。
○リンゼイが捜査官になっている←7歳だったのは、もう15年前だもんなあ・・
○アルは今でも検死官←おおぅ。

懐かしいなあ。

最初の頃のシーズンは、良く練られた推理小説のような展開にドキドキしたものだけど、年々、事件はどーでもよくなった。
そしてこの最終回も、犯人の行動が唐突で意味不明・・(笑)
でも、グリッソム時代を彩った数々の名場面・・をいろいろ思い出す内容だった。
(そして若干「シャーロック」入ってた。)

待望の、レディー・ヘザーとサラのからみが見られたし、ハチをテントで待つサラとグリッソム・・・手を伸ばしたくて伸ばせない、何か言いたくて言えない彼の悶々とした姿も最高だった。

この悶々とするグリッソムに、どんなにイライラし、笑い、楽しませてもらったことか!
この番組を世界中の人と共有したあの時間に感謝したくなる!!

特に好きなのは、シーズン2だった。
今でもザンボーニを見るたびに

「いつから美に興味を持ったの?」
「君に会ってから」
という、リンクサイドの告白を思い出すよ。

たしかレディー・ヘザーが最初に登場したのもその頃で、グリッソムもまだまだ若かった!

ラストで、レディー・ヘザーがサラにどんなメッセージを残したのか、具体的には謎だけど、ヘザーとグリッソムの関係を長年見つめたファンとして、サラにグリッソムのことを「愛してない」と言った彼女の心のうちは切ないほどよくわかる。
サラも、もう40代なかば・・あのころのグリッソムと同じくらいの年じゃないか。
まわりまわって、今度こそ、2人がちゃんと向き合えますように。


シェイリーン・ボーンの振付シーンを見る

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エリック・ボンパール杯中止を受けて。
フリー演技の代わりに放送されたのは、蔵出し映像を含むGPS前半振り返り番組だった。

テロについてはイロイロ思うし、試合の中止も含めて心が痛むけれど、明日も淡々と日常を生きていかねばならぬわが身としては、こうして楽しむ機会をもらえたことに感謝したいのである。
テレ朝、いつも文句ばっかり言ってるけど、愛してるよ!

なかでも感激したのは、シェイリーン・ボーンによる「SEIMEI」振付の様子。

ステップが、超カッコいいじゃないか。

ホップもあるし。
バッククロスも膝が高く上がってキレっキレ。
そして、シェイリーン自身がお手本として見せる演技がまたいい。

オータムの薄味ステップ
カナダ杯でレベル調味料添加されたステップ

・・はまさか、”省略の美”だと言うんではあるまいな。
体力およびレベルとの兼ね合いはあろうけれど、わかっちゃいるけど、何度も言うけど、そういう次元を超えて、やっぱり本物の、表現する羽生氏が見てみたい。
彼ほどの人がきちんと表現をしたら、死ぬほど凄いものが見られると妄想中。

ロステレコム杯 男女ショートざっくり

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コ、コフトゥン!!(汗)
イメージ 1

おまえら~
観客として来てただけとはいえ自由すぎるぞ。(笑)
熱々映像の突然の乱入に、会場も、キスクラの理華ちゃんも大ウケ。
イメージ 2

そして理華ちゃんは回転不足で6位。
団子状態なので巻き返しもじゅうぶんできましょうが、思いのほかの混戦となりましたなあ。

とはいえ、表現についていえば、たった二週間で、よくここまでと思うほど動きが綺麗になっててちとびっくりでした。
さすが、明子先輩が近くで見ているだけのことはある。
でも演技構成点は横ばい・・もちっと上がらんのかなあ・・・。

ハビエル
中国杯ではシリアスで、力強くて、えらくカッコいいプロだと思ったのだけど。
今回は、良く言えば力が抜けてるんだけど、ポーズが決まるたびに、「ぷっ」と笑いたくなる感じなんだよね・・
このユーモアは彼の本性というか・・もう抑えようがないんだろうか?
・・羽生氏の振付がシーズンを深めるごとに「鬼」化してしまうのと同じように・・(笑)
もちっと振付に厳格になりましょう。クリケチーム・・・

優香ちゃん
コンビの抜け残念!!!
表彰台は難しいかもだけど、私は彼女の演技が大好きよ。
「蝶々夫人」はね、悲劇ではあるけど、陰気なオペラじゃないのよ。
彼女はまだ10代の、浅はかな、若さに奢る少女で、ピンカートンの愛妾になったことを恥じてもいないし後悔もしていない。
心の中に迷いがないわけでもないだろうけど、それでも、自分を信じて突き進んでいくんですよ。
ラストに自殺するのだって、武家に生まれた彼女なりに最善と思う道を選んだだけなのよね。
運命に流されているのでも、わが身の不幸を嘆いているのでも、自暴自棄になっているのでもない。
永井優香ちゃんの演技は前向きで力強くて、生きた蝶々夫人のキャラクターを感じさせてくれたと思う。
全日本も楽しみにしてるよ~

以上、ざっくりにもほどがあるロステレコム感想でした。

ロステレコム杯フリー もっとざっくり

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この日も彼女と一緒・・だけど、コフトゥンは熱烈なキス抜きでお行儀よく観戦していた。(笑)
プルシェンコも観覧席にいた。
ゴージャスで、ちょっとアトホームなロシア杯。

で、いきなりショートの話に戻るけど、加藤りおなちゃんの「さくらさくら」衣装は、やっぱ花札インスパイアだよね。
イメージ 1イメージ 2


印象深かったのは、女子金メダルのラジオノワの演技、そしてそして、男子銀メダルのペトキーエフの演技でありました。

ラジオノワって、私の中では「こましゃくれた小娘」、って印象でしてね。
彼女はルックスも可愛いし表現も綺麗だけど、おロシア伝統芸能としての「美しく見せる技術」を習得してますが何か。っていう感じがしてたんで、おばちゃんは心を打たれることがなかったんですよ。
「はいはい。よくやってますね。」って感じでね。

でも今回の彼女は、
勝ちたいのよっ。ファイナル行きたいのよっ。
という闘志丸出しでにこりともせず、ただただジャンプに集中していて、表現なんてしてなかった。
弾丸のようにぶつかって金メダルをむしり取っていった演技は、それでも彼女なりに美しかったし、このシーズンにどれだけ苦しんでるか、本気で取り組んでるかがわかって、心から金メダルおめでとうと思った。
若い女の子に不相応に大人びた表現を求めるのは、欧米文化の病的で偏った一面だと私は感じる。
フィギュアに限らずね。

その点、男子スケーターは、女子ほどは審美的価値を求められないけど、だからこそ時に至上の美と芸術が降臨するのですよ。
 ペ ト キ ー エ フ くんね。
ジャンプがとにかく美しくて、軽い。
4回転を降りてなおリンクの50センチ上を滑ってるような浮遊感。
その空気とテンションを保ったまま、フリーを最後まで滑りきる。
風のような音楽とぴったり合ってたし、何より惹かれるのは、彼自身に、美への欲求があるってことかな。

しょーま君の演技が美への探究なら、彼のは欲求だと思う。
ちょっと羽生氏に似た感じの系統だと思うけど、あーいう鮮烈な毒じゃなく、持続する色気があるのね。
憂いを含んだ情念と湿り気のある、エレメンツを飲みこむような静かな演技。
ああ、羽生氏のショパンに期待してるのはこういう心持なのよ・・できるはずなんだけどな・・・奴は八面六臂の阿修羅だしな・・・もう勝手にやったれ。(笑)

ともあれ、ペトキーエフくんの演技は、こういうものを見てみたかった!という満足感でいっぱい。
久々に、「うわあっ」と思った演技だった。
今年デビューの男子はスゴイね。そしてみんな銀メダル。えらいこっちゃ。
ファイナルはないし、4回転1回でどこまで出来るか未知数ではあるけど・・・ボーヤンに負けるな!(笑)

いわゆるひとつの最高難度(羽生比)

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明日はNHK杯ショート。
報道によれば羽生氏のジャンプ構成は下記のとおり。
・・わなわな震える。

4S 4T-3T 3A

これはぼーやんの

4LZ-3T 3A 4T

という挑戦状に対するエッジ系ジャンパーの答えなのか。
浅田氏SPのいわゆる「最高難度構成」の羽生バージョンなのか。

と煽りたくなるが、実際は、超高額なザヤ回避保険に入ったというのが真相と見た。
成功率の低い3LZに見切りをつけた、ともいえるし。
3ルッツより3アクセルのほうが安心だしーという倒錯行為ともいえる。

結果的に基礎点をあげてきたとはいえ、これでもまだボーヤンのほうが上。
そしてコフトゥンも4回転2回、しかも世界に配信済みのリア充を引っ提げてくる。(笑)
安心はできないな。

と も か く
何があってもザヤらないもんねー。
うっかり3T-3Tになっても点数もらえるもんねー。
最後が3アクセルだったら、どんなにヘロヘロでも転ぶ気がしないもんねー。(笑)

スケカナのあと、エキシ練習を抜け出してイーグルサンドの4T、または4Sを練習する羽生氏の動画を見たときは、「ま~た見せびらかしてるぅ~w」と思っていたが、マジでヤル気だったとは恐れ入谷の鬼子母神。


問題は、最初の4Sを本当にイーグルに挟んでくるのかってことである。
・・・そんな難しいことやっちゃってだいじょうぶなんだろうか・・・あの動画ではあんまし上手くいってなかった。
でも最後の3Aはイーグルからじゃ曲に合わないだろう。
かといってイーグルがらみのジャンプをなくしてしまったら、もはや「バラ1」の意義が・・・・ブツブツ


とはいえ、イーグル4Sが綺麗に成功すれば、世紀の見ものだ。
正直、このジャンプ構成には大いにそそられる。
そして美しさも洗練もなぎ倒してジャンプに挑みかかる羽生氏をまた見たいかっつうと・・・・ちょっと見たい。正直見たい。(笑)
でも実際そんな演技を目にしたら、もう20歳なんだしそーゆーのやめようぜと全力で叫ぶと思う。
このジレンマは引退まで続くんだろうか・・

ーーーー公式練習を見ての追記----

イーグルステップ4Sイーグル来た~(驚)
しかも完成度高すぎて4回転な気がしない。3回転の気もしない。跳んだ気すらしない。(笑)
彼の良い4Sといえば壮大でスカッとしたヤツだと思ってたけど、まるで違う。
なんつう職人技。

そして4回転コンボも完璧。
今までスピンを入れていたちょい前あたりの曲に、すんなりハマっている。・・・位置としては前半か。
この分だと、3Aは昨年と同じ場所・・・・あの「ボン・ボン」からのカウンター3Aイーグルが、また見られるかもしれない。大好きなのでうれしい。嬉しい反面、ちょっとイーグル畳み掛けすぎのような気はするが。

昨夜はNHKつけっぱなしでニュースを張ってたが、3Aの映像が全く出てこない。あきれるほど出てこない。
NHK的に、そこはシークレットってこと?(違w)

これはいよいよ夕方が楽しみだなあ。
そして、当然のライブ放送に加え、ネット同時配信までするNHKの神対応。
長年受信料払い続けた甲斐があったよ。
今日は外出先だけど、携帯で見るぞぉ・・・

106.33

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携帯のちっさい画面だったけど、リアルタイムで見られた幸せ。
ああ、NHKでよかった。フィギュア好きでよかった。生きててよかった。

うち震えた。3Aが決まって以降、世界新記録の点数が出るまで、もう心臓飛び出す寸前だった。
現地の人はその後ご健勝にお過ごしでしょうか。血管切れてませんか?眠れましたか?

私は眠れません。

でもあえて、「完璧な演技」、とはいいませんよ。
4Sはギリギリ耐えてたし、この演技には「弱さ」が微塵もなかったし、憂鬱さや心のうつろいもなかったと思う。
そういう芸術的な解釈が表現されたら、そのときこそPCSがPチャン越えするんじゃないかな。

でもさ。
今回の演技は完全にコントロールされた素晴らしいもので。

闘志や力強さは感じたけど、鬼神化したり、本能むきだしになったりしなかった。
耐えに耐えて、集中力を切らさず滑りきったよね。

多少雑かな、と思う動きもあったけど、全体の色彩感が統一されててスピードにも乗ってたから、ほとんど気にならなかった。
抑えた色彩の中で万華鏡みたいなスピンがキラキラしてたし、ステップはものすごいスピードで、ここだけは率直な感情が出ていた。
そして4T-3Tは音と一緒に回転してた。
今度こそ認めよう。セクシーだったよ。大人の演技だったよ。(笑)

・・・終わると同時に鬼が本性をあらわしたけど、それもまた良し。
晴明に調伏してもらいましょう。
明日のフリー・・・私耐えられるかな。(笑)

「SEIMEI」の完成と歴史的記録 106.33+216.07= 322.40

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I have no words.

世界最高得点が更新される瞬間て、どんなだろうと、今までにも何度も想像した。
きっと、ワクワクソワソワしながら点数を待つんだろうな、って思ってた。
でも、想像とはまるで違った。

「どんな点が出るんだ、出してみやがれ」と待つだけだった。

点数なんてどうでもいいという気さえしたよ。
あのような演技を見られたという感動のほうが大きかった。
静けさの中からふわっと繰り出された4Sや3A2T、完璧にコントロールされたステップ、気迫のコレオ。
そして鬼顔でもドヤ顔でも凍りついた顔でもなくて、素の羽生氏の満面の笑顔で演技を終えた。
ああ、晴明が昨日の鬼を調伏したか。(笑)
これこそ、神演技というやつだ。

昨日と今日、携帯のチッサイ画面で、手足をガタガタ震わせながら、壁につかまりながら演技を見たことを、一生忘れないと思う。
家に帰って録画を見たら、なんだか涙ぐんでしまった。
年取ったな。


ところで・・
なにげに、さらっと入ってたけど、後半に4T-3Tコンビネーションジャンプ!
これ、事前に情報あったっけ??
びっくりした・・・・・(笑)


羽生氏、ニコ動見てる疑惑

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NHK杯エキシ前の「明子の部屋」にて、羽生氏の発言。

「ルッツ散歩してる とか言われてるんで」
「ルッツおかえり」
「ショートで(ルッツを)リストラしちゃったので」

「ショートプログラムのときに、(顔が)あまりにも鬼神すぎて、ドヤりすぎだろと。」

実は以前からうすうす疑惑を抱いていたのだが・・

奴はニコ動で自分の演技を見てる。絶対見てる。

中国杯いろいろ

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なんやかんや、面白い大会だったなあ。

何が衝撃って・・
ボーヤンの謎衣装、ショートもフリーも持越し!(←そこかい。)

快進撃はもちろんだけど、あの衣装に微塵も躊躇を感じさせぬまま2年持越しちゃう度胸というか自信というか。
先日も書いたとおり、彼はどんな音楽で滑っても同じに見えるので、はたしてプロ全体が持ち越しなのか、衣装だけ賢く着まわしてるのか、見ても判然としない。(そして探究する気にならない)

とはいえ、スケーティング良くなってましたねえ。もう、去年の演技ったら、見るに堪えな・・(以下自粛)。
PCSもあげてくるのもそう遠くないでしょう。そしたらとんでもない点数出るな。・・・コワっ


そしてフェルナンデス氏のショートプログラムが超カッコよかった!
あれなに。マラゲーニャって、フラメンコと違うわけ?ごめんなさい無知で。
しかも最後に入るボーカルはドミンゴですって?
このプロを見たら、彼がどれだけスペインで国家的期待を背負ってるかわかるってものだ。
で、それに押し潰されない風格ある滑り。

今年はテン殿下の影響なのかナショナリズム全面にだしたプロが多めで楽しいけど、中でもこのマラゲーニャが一番だな。


浅田氏のフリー3A凄っ。
あのジャンプはすごいわ~。

でも彼女の演技は、蝶々夫人・・・の亡霊に見える。
坊さんの前に現われて当時を回想しながら演じてみせる夢幻能的に。

とにかくジャンプは美しかったし演技も「美しい」とは思う。
でも、見ていてなんだか不安な気持ちにさせられるんだよね・・
綺麗綺麗な、ある意味大時代な振付が問題なんだろうか。
ローリー・ニコルは何をしようとしてるのか。

でも、NHKはいやがうえにも盛りあがりそう。
ご近所さん、チケット買えたから行ってくるんだって!!超うらやま。
私は町内会の餅つきだよ・・・・。


でもって本郷氏の新プロ
すごい。どんどんパワーアップしてる。
昨年のGPSで見て彼女に一目ボレした。
彼女には「覚悟」があるんだな。
少々荒かろうが、完全に踊りこなせていなかろうが、腹をくくって滑る爆発的なパワー。
美しいものも、醜いものも、この世にあるものすべてを楽しんでいる演技。
氷の上に立ったが最後、良く見せようとか点を取ろうとかいう思惑がふきとんで、ただ楽しい時間を観客と共有しているようなところが本当に魅力的。
私は現役女子スケーターの中で、彼女の演技が一番好き!!

お腹いっぱいのNHK杯最終日 アイスダンスとルッツ自虐インタとエキシビ

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ああ、いい大会だった。あれから放心状態で、今更NHK杯最終日の件。

シブタニズのパフォーマンスはどれも素晴らしかった。
まぶしく目のくらむようなNHK杯だったけど、その中でひときわ、マットで温かみのある光に満たされていたシブタニズ。

何でなんだろう。
今季の彼らは、競技プロを見てももエキシプロを見ても、不覚の涙が出てくる。
ミニシアターでいい映画を見たときみたいな。
カップル競技というジャンルの中で、彼らの演技は一種のイロモノかもしれない。
ダンスは男女の恋愛の場っていう欧米の伝統的な前提を突き抜けて、もっと大きくて普遍的なものを表現してる。

とくにエキシの「月の光」が好き。
スケカナ編でも書いたけど、この曲をこんなふうに温かく表現するっていう発想は私にはなかった。
しかも、アレックスが地球で、マイアが月なんだよ。
メタファーとしての月とか、印象としての月とか、文学的な月とかじゃなくて、モロに天体としての月を演じているという不思議な趣向。
でも、見ている人はそこに人間の心や世の真理みたいなものを感じるのね。
その美しさに感動するし、何度見ても涙が出てしまう。

テレ朝も、アイスダンス放送してほしいなあ。

さて。
「明子の部屋」における羽生氏の本人解説。
羽生氏は「スケーティングに注目してほしい」っつってんのに、ジャンプばかりを抜粋されたVが流れてしまって本人出る幕なし(笑)。

間を持たせようと思ったのか
「ルッツ散歩」「ルッツが帰る」
「ショートでルッツをリストラ」「ルッツがトラウマ」
とルッツ自虐ネタを畳みかける。
そしてとうとう、
「顔が鬼神」発言まで・・・・・・・・ネットの住人かっ。


で、エキシビション。

羽生氏は安定の「レクイエム」。
まあ、フランスのこともあるし、今回は適切な選曲だな。・・などと上から目線で見ていたが、これが素晴らしく良かった。
夏にはトゲトゲしくて目を覆うようだったのが、今は柔らかみや感謝の気持ちを感じる。
カナダのも良かったけど、これは、アンコールの「SEIMEI」コミで、かなり良いよ。
冒頭の顔芸が微妙だろうが、音楽がナンだろうが、ピアノの演奏がアレだろうが、あのアンコールさえあれば、すべては祓われる!!(笑)

彼の今大会の演技を通じて感じたのは、炊き立てのご飯のような粘りと艶。
気持ちが途切れずに持続していてパサつかず、粘りがある。
彼のお得意のメリハリも、ゴツゴツと節くれ立つのではなくて、つやつやと粒だっていた。
ジャンプやスピンはもちろん、これといった要素のないところにまで、じわっとくる見どころがあった。
ノーミスだったというのもあると思うけど、やっぱり本人が言うように、スケーティングに力を入れた結果なんだろうな。

それに、彼は絶対、「風姿花伝」を読んだと思う。賭けてもいい。(←嘘だけど)
エキシも含めて「序破急」を感じるようになったし、「秘するが花」という意識も感じた。
細かく音に反応するのは今まで通りだけども、どこを盛りあげるのか、抑えるのか、ということを、振付や音楽の印象任せにせずに、プログラム全体を俯瞰して、意識的に構成して臨んでたと思う。
萬斎先生の言葉をかりれば「司どっとるのや」という感覚ね。
彼は今日にも、先生に菓子折り持って挨拶にいかなくちゃいけないな。(笑)

今回のような演技が今後毎回できるとは思わないけど、この艶と構成力、コントロールがあれば、多少ジャンプが失敗したって、プログラムの美しさは損なわれないと思うし、ますます見るのが楽しみ。
これ以上望むとすれば、「バラード」と「SEIMEI」の、明確な演じ分け。とくにショパンのほうね。
構成的な「SEIMEI」に引っ張られて、すこしショパンの解釈に耽美さが足りない感じがするので。

昨年のGPFのバラードは、音楽に身をゆだねるような、本能的な音楽解釈が素晴らしかった。
あれはたまたま、あの時の心境が音楽とリンクした奇跡の瞬間だったのかもしれないけど、今の彼なら意識的にああいう演技をすることも可能じゃないかと思う。
まあ、それができるくらいならジャンプの難度上げそうだけど(笑)


羽生氏の件に興奮しすぎて、宮原氏の演技への感動をまだ書いていない。
彼女については、昨シーズンもいろいろ書いたけど、さらに先をいってたなあ・・・
ショートからエキシまで、すべて素晴らしかった。
これについては、また改めますか。

ともかく、どのカテゴリも、大満足なNHK杯でございました。

NHK杯ふりかえり 女子

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「演奏とか表現というのはね、少々キツさがないと、面白くないのよ。何事でも。」

今日のピアノのお稽古で、先生が言われた言葉。
全くそのとおりだと思う。

「毒」「キツさ」「強さ」「あくどさ」
こういった感覚は、いわゆる芸術とかいうものの周辺に、絶対必要なものだと思う。
ちょっと西洋かぶれな感覚だってのは承知で言うけども。
芸術とか美っていうのは、反宗教的、反社会的、反権力的、反道徳的な衝動を、いかにカムフラージュして世の中に曝すかという戦いだと思うのよ。

宮原氏はさ、たぶん内面にはものすごい闘争心と欲と情熱があるんだと思う。
しかも、それを人前で見せたくて仕方がないんだと思う。
・・・勝手に想像してるだけだけど。

まあ理屈じゃなくて、彼女からは表現したいという魂を感じるのね。
そのうえ、今季は美しい表現も手に入れて、ほんとに目をみはった。
ちょっと手を振り上げただけでも、彼女の内面からの意志を指先に感じる。
彼女が長年見せたかったもの、言いたかったものを表現できて、うれしくてたまらない、というような、喜びにあふれた演技だったと思う。
ショートもフリーもエキシビも、どれをとっても。

昨シーズン、私は彼女のフリーを、女子シングルのベストプロ美プロと勝手に認定して勝手に語った。(笑)
でも今季はその予想を上回る成長、充実!!
GPFの台のりは微妙だけど、芸術性でいったら、ロシア娘2人にひけをとらないよ。
メリケン女子もパワーがあって、またいかにも北米的で健全で爽快な味があるし。
ほんとにこのファイナル、凄いわ。目が離せない・・・・


そして浅田氏。
彼女については中国杯の記事に書いたのとまったく同じ印象。
ジャンプの出来や勝ち負けについては時の運といおうか、まあ、そういう時もあるさという感じであまり思うところはないし、むしろあれだけガタついて3位になれたんだから凄いと思う。

なんにせよ、スケートをしたい、と言って自ら戻ったのだから、信じてよい演技を待ってます。
実際、中国でのSPは素晴らしかったし、今回だって、ジャンプを除けばとても良かった。

ただ、フリーに関しては、以前も書いたとおり、あの悟りきったような蝶々夫人の「解釈」に賛同できない。
あのような辛気臭い「ある晴れた日に」を人に納得させるには、ジャンプを含めて完璧な滑りをするか、突き抜けた自信を感じさせてくれなきゃ・・と思うのだけど、今回は残念なことになってしまったから、見ていてつらい。

みずから確信をもってああいう解釈をしてるのかなあ。
ただローリーの言われるままなのかな。それとも単なるアナリーゼ不足なのか・・
演技は、綺麗なんですよ。たぶんバレエなんかもやってただろうし。
でも、彼女は演技の中に自分自身のワガママや悪態や欲深さを見せない。
恥をさらして醜い自分を見せようともしない。
だから、この演技の出どころ、責任の所在、みたいなものがまるで見えてこないのね。

休養を経てだいぶ良くなってる気がするけど、それでもね・・・
大人として、やるつもりでやっているのだろうから、あまりこんなことツッコみたくはないんだけど。

・・ただし、技術的に、まだ宮原氏に抜かれたとは思ってないよ。

NHK杯 男子ふりかえり

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1週間たち、熱気もようやく落ち着いた今日このごろ。
当日外出先で見られなかった男子フリーの一部を含めて全部見直しました。(含・羽生氏のお着替え(爆))
でも最後にアノ演技を見てしまうと、結局他の演技が全部ぶっ飛んじゃうのよね・・・・

さて、SPの6分間練習前に、ぼーやんの点数を見て「ニヤリ」と笑った羽生氏は、翌日のフリーの6分間練習前も、ぶつぶつ言いながら不敵な笑みをたたえておりました。
そのシーンを改めて見直してみたんだけども、どうやらこれは
「300点。(ニヤリ)」
と言っているよね。
その後のセリフはよくわからないけど。

隣にいるのはコフトゥン。
日本語は分からんでしょうが、この顔を見ていったい何を思っただろう・・。

イメージ 1

というわけで、まずはコフトゥン氏のフリーについて。

いったい何が起こってしまったのかな。
どうやらザヤった?みたいだけど、そうじゃなくても、演技自体が総崩れ。
彼女といちゃついてるからだよ・・ってツッコみはなしにして冷静に考えるに、彼は今回、ロシア男子で唯一GPFに残る可能性があったんだね。

可能性っつっても3位以内にならなきゃいけない。
けど、ショートが終わった段階で、どうあがいても羽生とボーヤンには勝てそうにない。
となると、残り全員による熾烈な銅メダル争いになるわけで、他の大会で金メダル取るのと同じくらい厳しい。
あまりメンタル強そうじゃないコフトゥンは、そのプレッシャーに負けたのかもしれないな。

それにしても・・・彼のフリープログラムの迷走っぷりよ。
ベートーヴェンの第5交響曲1楽章からはじまって、ソナタ8番の2楽章に入り、最後は第9の4楽章で〆る。
シリアスで大仰な曲にユルい振付で笑わせようっつうコミカルプロらしいんだけど、振付が意味不明すぎて、なにを笑っていいのやら。
ロシア人の笑いのツボは難しすぎる。


田中刑事氏
こんな素敵な演技をする選手だったなんて!!!!
こりゃあ全日本が楽しみぢゃないか。
椿姫は、ほんとに見応えたっぷりで楽しかった。
とくにワルツのところがいいなあ。リズムの取り方上手い。

無良氏 ショート
変衣装から、謎衣装・・・くらいの範囲におさまってきたフリーの衣装。
ショートの衣装もあんまり好みじゃないけど、そんなモヤモヤを凌駕する良演技!
ジャンプが大きくて力強いだけじゃなくて、暖かみや柔らかさもあるという不思議。
あのジャンプに一緒に乗せてもらえたら乗り心地よさそう・・と思っちゃうような、ついていきたい!と心がときめいちゃうような演技でありました。

ホクスタイン フリー
「レ・ミゼラブル」による感動の水増しはあったとしても、じわりじわりと心を動かされました。
衣装はこれといった特徴もないし、演技だって、特別ドラマチックなわけでもなく、ただただ真摯一途になすべきことをしているという感じなのに、最後には彼の世界に入り込んでしまう。
素晴らしい演技つづきで興奮してしまった。

ミハル・ブレジナ
今こそ必要な人だと思う。
正統派の美男子、身長があって、華やかで、小粋で、王道の表現力があって、4回転も跳べる!
タキシード衣装なら、ハンヤンあたりがゆるゆる着てくれるだろうし、デニス殿下はいい線まで行くよ。
でも、彼以外の誰が、この「海賊」衣装をカッコよく着こなせる???
(下手すると孫悟空になるぞこりゃ。)
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あ、ハビエルも一見カッコよく着られそうですけどね。ダメですよ。彼は受け狙いに走って酔っぱらうから。

男子トップがアジア系ばかりになってどのくらいたつだろう??
日本的・アジア的な価値観が理解されるのはうれしいけども、だからこそヨーロッパの伝統美を体現できるスケーターはますます希少で、いいもんだなと思うわけです。
コミカルに逃げず、謎プロにも染まらない、この王道プロを見ていると、日本人が和物プロを滑るのと全く同じ意義を感じるのですよ。おばちゃんは。
誰か彼にそういう視点でインタビューしてほしいものです。

NHK杯ふりかえり 羽生氏 バラード1番

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NHKの総集編、別アングルだった・・(嬉)

昨シーズン、このプロに打ちのめされて以来、ノーミスする日を待ちこがれてたよ。
スケートでも音楽を演奏できるってことを発見させてくれたプロだから。
美しい演技、感動する演技、惹きつけられるプログラムは昔からたくさんあったけれど、これほど音楽的な演技には出会ったことがなかったと思う。
このプロを見て、ピアノを演奏するときの気持ちが変わったよ。・・・うまくなったわけではないけど。(笑)
ほんとにありがとう!!と言いたい。

冒頭4Sまで
難度が尋常じゃないだけに、これを欠点と言うべきとは思わないけどさ、あえて言おう。4Sの着氷がギリだよね。
4Sに至るまでの振りもちょっと硬い。
ここは、冷たい湖面に木の葉が一枚落ちて、波紋が一筋広がるような静かな情景だと思う。
4Tや3Aで滑ったときはいつも完璧だった個所。
4Sが着氷出来ただけでも凄いってことは分かってるけど、ここは、完璧なジャンプと流れがあって初めて生きてくる表現だと思うんだ。
贅沢だとは思うけど、一度は芸術的なイーグルサンド4Sを見てみたい。
これはもう、欲望に近いな。(笑)

PCSがまだPチャンを抜けてないのも、このジャンプが芸術的印象を下げたからだろうと素人なりに思ってます。
なんて要求の高いプログラム。(笑)


4-3コンビネーションからフライングキャメルスピン
今回一番見応えがあったジャンプ。
4Tの入りや着地の音ハメだけじゃなくて、助走からのエネルギーの高まり、ジャンプの放物線、回転、コンビネーションジャンプの入りと着地に至るまで、音というよりは、「音楽」にぴったり合ってるのね。

こういうのを見ると、彼は音楽を聴いているというより、目で「見て」いるんだろうなと思う。
見えたものをスケートの技を使って表現するのが彼の「表現」で。
その方法が、いちばん多くの観客に伝わるってことをよくわかっている。
クラッシックなんかに、芸術なんかに興味のない人も含めてね。
これはこういう音楽だよね?みんなそう思うよね?と言いながら滑っている。


スピン
コンビネーションを降りてからスピンまで、一瞬も途切れないのが見事だったと思う。
悲劇的な旋律にぐいぐいと乗って、ものすごい加速でスピンに入る。
まるで急流を流されて滝壺に飲みこまれていくみたい。
「テルマエロマエ」で、排水口にぎゅおーーーーっと吸い込まれてタイムスリップする時みたい。(マジで。)

↓ああ、流される・・・の心。
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ともかく、この辺の振付、すごくいいよ。

以前の振付は、冷たい湖や、森や川の流れみたいだった。
比喩的で美しくて、ショパンの故郷のポーランドはきっとこんな場所だろうと思った。
だから、振付を戻すといわれたらそれも大歓迎するけど、今回の振付もすごくいい。

この振付はドラマチックで、羽生氏の個性とつじつまが合っているように思う。
ひょっとすると、バトル先生じゃなくて、羽生氏自身が考えた振りかな??
風景・・というよりは、水の流れそのもの、押し流される人間そのものが見える。
このリアリティ、臨場感、ドラマ性。
このプロは、ドラマチックすぎる彼を「洗練」させる矯正ギプスだったはずなので、そういう意味ではちょっと大衆的だけど、ショパンの音楽と感情をリアルに再生してる。
やっぱりこれは芸術だと思う。しかも、ショパンを知らない人にも、誰にでも伝わる力がある。
このような表現において、羽生氏をしのぐスケーターはいないと思う。ほんとうに。

最後のジャンプ。
今度はイナバウアーからステップ入れての3A。
このあたりは、音には合ってるけど、あまり音楽的でない気がする。
好みからいえば、以前のタイミングのほうが好き。
でも、このジャンプには意志を感じるんだよね。
流されて、滝壺に沈んだ人間の、絶対這い上がってやるという気概。
それに、イナと満点の3Aという組み合わせ・・これは彼の「署名」だよね。きっと。


シットスピン
むしろこれがメインディッシュ・・・と思うくらいの出色の出来。
素晴らしいスピン、何度も巻き戻しました。美しい。

だいたい、一曲のサビともいえるこの部分、しかもテンポが速くなって狂気をおびていく曲調に、ふつう、シットスピン合わせますか?
ジャンプ構成を変更したために起きた、苦肉の策、非常事態だったはずだけど、結果は、コンビネーションジャンプよりもずっと音楽的で、狂気を帯びて、ドラマチックで、美しかった。
回転の速さや腰の高さの変化、手の変化・・・
一瞬もとどまらない、万華鏡みたい。
エキシでも再現してくれてたよね。ほんとに素晴らしかった。

最後のステップはもうおなじみ。
ただ雪崩のように堕ちていく、コーダの音楽そのものでございました。
もう、もう、芸術ですね。

NHK杯ふりかえり 羽生氏 SEIMEI

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もはやグランプリファイナルが始まるってのに今更ですが・・。

なんかね、NHKのフリーについては語るも恐れ多くて、10日経ったけど何も書けないです。
震えや動悸や、もう死ぬんじゃないかと思うような興奮はさすがに落ち着いたけど、言葉は出ない。
もう誰が見たって、凄いってわかるから、説明はいらないよね。動画を見たほうがいい。




というわけで、古典芸能目線、能目線で、プログラムについての所感をちょっと書いてみようかなと思うわけですが。

映画「陰陽師」の主演が萬斎先生ということで、このプロにも「能」や「狂言」のアクションが含まれてるんじゃないか・・と思って、アイスショーでのお披露目以来、振付に目をこらしてきた。
・・が、私の見る限り、知る限り、「能成分」はほっとんどないような気がする。
音楽も、雅楽を元にしている感じで、能っぽくはない。
振付から連想したのは、能よりも舞楽、とくに、「陵王」のイメージかなあ。
もっとも、そんなに舞楽をたくさん見てるわけじゃないからテキトウだけど。(笑)

↓舞楽「陵王」

横道だけど、この蘭陵王って武将は、美しすぎて兵士が悶々とするほどの美丈夫だったので、わざと怖い面をかぶって戦い、勝利を得たという、やたら耽美なキャラ設定だったと思う。
中国には彼を主人公にしたドラマさえあるらしいが・・・いったいどーゆー展開なのだろう。(ざわざわ)

・・・
というわけで、じつは、能目線で語ることはあんまりない。
でも、ひとつだけツボってるのは、「鬼」だの「妖怪」だのを調伏する話というのは、能では「切能」とか「5番目物」っていって、必ず最後のトリに上演する伝統があるんだよね。
つまり、このプロを能目線で見ると、
「絶対ショート1位の最終滑走に決まってんだろおらおら~」
っていう空気、別の言い方をすれば、ラスボス感がみなぎっている、ということ。
ちなみにオペラ座とかロミジュリは4番目かなあ。・・演技は2番目の「修羅物」に近いこともあったけど。(笑)


ともかく、そういう些細な現象もふくめて、もうこのNHK杯の演技は、すべての力が羽生氏の足元に集まっていたというか、失礼な言い方だけど、なんだか彼の力じゃなくて、なるべくしてなっためぐり合わせじゃないかと思うような、ものすごい空気があったなと。
最後の足拍子を踏んだときの祝言っぷりなんて、もう、式能「翁」だったからね。

↓唯一、能からインスピレーションを受けたかもしれないと思う、「翁」を象徴する特別な型。

イメージ 1 イメージ 2

いやあ、信仰ってのはきっとこういう場面から生まれるに違いない。

このプロは、振付自体も多少は日本的だけど、それ以上に、羽生氏の取る間合い・・・ジャンプのタイミングとか演技のタメとか・・・・に、日本人の美意識の実感があるところが秀逸なんだよね。
たとえば4Tに入ってから出るまでのスピード感や軌跡は、大きな渦から波頭が飛び出してくるみたいで、静かだけども壮大な景色を感じる。
終盤のハイドロも、月が地球の引力と均衡を保ちながら回っているみたいだし。

彼の演技を見てるとね、日本人は、ただ絵づらとして花鳥風月を愛しているわけじゃないんだな・・ってことに気づかされるの。
地球の重力とか天体の動きとかの、人の力の及ばない物理的な現象への畏怖がまずあって、その法則に限りなく近づいて行けるもの、飛んだり舞ったり回ったりするものに憧れるんだなと。

彼は、このプログラムで、あんまり積極的に「演技」らしいことをしていないようだけど、難度が高すぎていっぱいいっぱいだから手が回らない、ってのとは違うと思う。
彼のは、「人間の作為を感じさせない」という演技だよね。
そのほうがより日本的で、彼らしくて、時にはセクシーでさえあるってことを、今の彼は自覚してやってんじゃないかと思います。

でももし、来季、信じられないような題材・・・たとえばミハルみたいなコテコテのバレエプロ)・・・に挑戦することになっても、今の彼なら、それはそれでしっかり演じてくるだろうという気もする。
彼は「バラ1」で、クラッシックの美意識を表現できるんだってことを見せつけてるからね。
そのポテンシャルがあるからこそ、ああいうシンプル(に見える)演技でも、ジャッジたちは10点満点のPSCを出したのではないかなと思う。

何が言いたいかっていうと、「よく日本が表現されてました。」的な無邪気なエキゾチズムであんな点数が出たわけではないと思うの。
欧米的な人から見て、「こっちの言葉が通じるヤツ」だってことを、1年以上かけてアピールした事実が、地味に効いてると思うし、それはこれからも続く気がするんだ。

ともかく、何か尊いものを見せてもらった気分。
海外解説をひととおり聞いたし、ありとあらゆる絶賛があったけど、一様に語っていたのが
「この演技を見られて良かった」
ということだったと思う。
私の感想も、まさにそれだった。点数なんてものの存在は忘れて、純粋に喜ばしい気持ちになった。
まあ、実際に点数が出たら、発狂するほど興奮したけれど(笑)


そうそう、カナダ大会のときは、ヘロッヘロになってるのを観客の手拍子がなんとか助けてるように見えたけど、今回は、用意していた表現をうっちゃらかして、「あえて」手拍子に乗ったんだってねえ。
どんだけ大物なんだ。(笑)
「場の空気をまとう」「音をつかさどる」そうすれば「そこに生き物がいる」「生きててよかった」と、人は喜ぶと、対談で萬斎先生が言ってたっけ。
羽生氏にはもともとそういう才能があると思うけど、先生のような人物から言葉として聞くと、ストンと落ちて、自信になっただろうな。


最後に、あんまり関係ないけど・・
カナダとフランス大会のときにテレ朝で流れた、羽生氏が晴明神社をお参りするVTR。
あれ、手水の使い方から礼拝の仕方から、完っ璧で、ほんとに驚いた。
とくに手水ね。

手水なんて、世間ではもう、廃れた風習なのかなと思って、子供たちに教えたことなんかない。
自分が母親から教わったときのことは鮮明に覚えてるのに。
そうやって、自分の中に埋もれて、忘れかけて、このまま墓まで連れてくんだろうと思うことが、ほんとに山ほどある。・・・なんか年寄りくさいけど。
ちゃんと子供に教えてやらなきゃダメかねえ・・とちょっと思った。
来年は「ちゃんと」初詣にでも行くかな。

院長様。私は罪を犯しました。

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人生で一度も手を出したことのなかった雑誌。
20代の頃、同居人が読み終えて積み上げてあっても、チラともめくってみなかった・・

anan

支払のためにコンビニに行ったのが運のつき。
まあ、大変、3冊もあるじゃない。

とうとう手を出してしまいました。
買ってしまいました。
ああ、院長様。私は罪を犯しました。(サウンドオブミュージック的に)

そしてびっくりしました。
いいじゃん、この特集!!!!!

悶え苦しむほど微妙な連続ショット(キシリ的に)・・かと思いきや、さすがはプロのお仕事、写真はどれも美麗かつ生き生きとしていて、私とは違う意味で熱烈な羽生ファンの娘(8歳)は喜びのあまり、雑誌を両手で抱っこしてなでながら帰った。(笑)

先日発売された家庭画報(一応チェックしてる)はさ、紋付はともかく、写真の撮り方が静物っぽくて、なんか違和感があり・・床の間飾りにはよかろうが。
記事内容も薄かった。

でも、たった550円のananの、なんと充実していることよ。
まあそりゃ、ありとあらゆる雑誌買ってる方なら目新しくもない記事かもしれないんだけど、私は基本、演技を見たい派で、雑誌や写真集等は買いませんのでね。(ああそれなのにそれなのに。)

羽生氏記事だけじゃなくて、スピンの種類を解説したり、GPSで活躍した選手をひとことづつ紹介する初心者向けの観戦ガイド的な特集があるのもいいな。
日本選手ばかりでなくて、ハビやボーヤンやPチャン、女子はワグナー等々もしっかり押さえてある。

ビールマンスピンをレイバックスピン、と書いてたり、NHK杯後に記事を書きなおしてるのに、「バラ1」冒頭のジャンプを「3A」と書いてる等の細かいミスはあったけれど、総じて力作でありました。

さあ、ジュニアも終わり、いよいよ数時間後には、男子ショート。
今寝たら睡魔に負けるかな・・・

110.95の採点表

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待ち望んでいた瞬間!!

NHK杯のあと、4Sがどうだの表現が硬いだの、ウダウダいってすみませんでした。
でもすべては、こういう演技、表現された羽生氏のショパンを見たかったがゆえなの!

今回は、冒頭の首振りの動きからしてもう、「これはイイ」と思える内容でありました。
緊張を全く感じなかったし、固唾をのんで見守るんじゃなく、美しい世界をただ鑑賞することができた。
4Sの前は少しドキドキしたけれど、それ以降は全く、ミスする気がしなかったよ。

最初から最後まで、感情がコントロールされていて、一ミリの隙もない。
しいていえば、ほんとにしいていえば、最後のステップはもっと激情に走っちゃってもいいのよ。(笑)
今回は、このエレガントで貫禄のある「演奏」を楽しんだけどね。

この演技を見て、彼は勝ち負けなんか、これっぽっちも考えてないんだなと思ったよ。
自分のためじゃなくて、美に捧げられた演技とでもいいましょうか。
ステップからスピンにつながるあたりで、あまり細かく音ハメせずに、音楽の流れのままに長いフレージングをしていたのが印象的だった。

最後の音が手のひらから会場に消えていくまでポーズを保って、余韻を壊さないようにふんわり手を降ろしていたのもエレガント。

演技も美しいけど、プロトコル表もまた美しいので貼ってみる。
イメージ 1

んまあ、イーグルサンド4Sが3点満点ですってよ!
4-3コンビネーションも3点満点ですってよ!
PCSの10点満点は22個。
パフォーマンスがトータルで 10 点 満 点 !!!

もう、競技としてこれ以上できることはないでしょう。
あとはその時々の彼が、この音楽をどう解釈し、フレージングし、自身の情熱をこめるかという、一期一会の芸術の話だわね。
点数には反映されないけれど、終わりはない。

GPF男子ショート

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6人が6人、魅力的すぎて目の離せない男子シングル。

だいす
素晴らしい演技でした!
彼の演技はどうしてこんなに感動しちゃうんだろう。
エレメンツに欠点があっても、感動を損なうことがないんだな。
この曲を白い歯の笑顔で滑るのはどうだろう、と思うところはあるけど、でもやっぱり、結局は感動してしまう。
彼がどんなスケート人生を送ってきたのか、GPSの紹介VTR以上のことは知らないけど、ひとつひとつの経験を、スケートというよりも人生において無駄にしていないんだろうな。
彼には人生があって、そこにスケートもあるので、けっしてスケートが人生ではないんだという印象。

Pチャン
演技はほんとによかった。
これほど、見ていて気持ちの良いスケートってあるだろうか。
素晴らしいスピードで爆走する、抜けるようにさわやかな演技だったけども、冒頭が4Tから3Tになったことで、カナダの羽生氏と全く同じ運命に陥る・・・。

ジャンプばかりか、スピンも一つダメにしてしまった。
あまりにスピードが出過ぎてコントロールできてなかった感じかな。
カナダ大会の羽生氏のところでも同じことを書いたんだけど、彼はたぶん調子が良くて、自分にできるギリギリの線を狙いすぎちゃったんじゃないかなあ。

カナダのSPで、6位と1位は7点しか差がなかった。
今回の点差は、40点だ。これは悲しい。
・・でも、素晴らしい演技が見られてうれしい。
この滑りが見たいから、フリーも楽しみにしてるよっ。

ぼーやん
4ルッツはお手付きになったけど認定され、3Tはがっつりつけて16点をむしりとる頼もしさ(笑)
彼でもルッツ失敗することがあるんだなあ。
ステップがレベル3なのは意外だった。今まで完璧に取ってたのにね。
村上氏もそうだし、ステップはこの大会、鬼門らしい。

しょーま
この、ブレのない演技力。
転倒があったとしても、それほど演技の印象が変わらないというのが凄いよね。
演技構成点が、ノーミスしたフランスよりも高くて、思わず声をあげてしまった!
やっと認められてきたんだねえ。嬉しいよ。
村上氏みたいに涙を誘う感動ではないけど、美的な感動がある。
羽生氏みたいに人を金縛りにしないけど、目をくぎ付けにする。
勝っても負けても、純粋に演技を「見たい」と思ってしまう素晴らしいスケーター。

羽生氏
もはや書くことなし(笑)。演技直後の感想はこちらをどうぞ。

ハビ
このくらいのミス、普通なら些細なことだと思うんだけどね・・・
点差は20点。すさまじいことになってしまった。
でも、なにやらコミカルに見えたロシアよりも、マラゲーニャの表現は良かった気がする。
まあ、中国のが一番カッコよかったけども。

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さて、明後日のフリーについて占いますか。

発表によると、フリーの競技カテゴリへの出場者は5人。

そして最後に、羽生氏による「祭祀」があります。w
興味のある人もない人も、まずは画面の前に集まって、膝を正して祈りましょう。


さて競技カテゴリの注目は、ハビエル・ぼーやん・しょーまの三つ巴。

世界王者ハビエルが5点ほどリードしてるので有利ではあるけど。
彼の自己最高点は186点と、意外にインパクトは弱い。
しょーまは非公式だけど185点出したことがあり。
ボーヤンは、ノーミスすれば、減点されても185点が狙える構成。
なので、3人の実力はかなり競ってるのかもしれない。
そこに、雲行きによっては村上氏が参入する形ですね。
なかなかエキサイティングな戦いになりそう。

ああ、これでこそ、競技というもの。(笑)

219点の採点表 もはや祭祀。

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コンマ単位の点数とかどーでもいいですね。
記録更新すら、もはや意味をもたないような。
フリーもショート同様、ただ襟を正して見るのみ。競技を超えてます。祭祀です。
情に走らず、最後の最後まで演技をつらぬいた、作品。
今言えるのはこれだけです。もう、本当に。

またもや美しいプロトコル。
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ステップはまたレベル3なんですが。
思うに、レベル取れてないくらいのほうが、おちついていい演技に見えるような・・・?

Pチャン、しょーま、ハビも素晴らしかった。
荒れ模様のショートから一転して神大会。
たった2週間の間にこんな濃厚な日々が送れるなんて。

ほんとうにありがとうございます。

GPF エキシビ

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全部見れてないんだけど、ツボったこといくつか。

羽生氏 レクイエム
カナダ・NHKと洗練されていったこのプロも、ショートとフリーで我慢に我慢したであろう羽生成分が噴出して、コテコテの原型に先祖がえり。www
でもま、あんだけの演技見せてもらったからな・・今はあたたかいまなざしで耐えられる。(笑)

珍しくジャンプがステップアウト、3Aは抜けに・・・
でも、これが本来のエキシビってもんだと思うの。(笑)
エキシビで神降臨とか、国別のアレがおかしい。
でも、もう少し違うプロのほうがうれしいです。正直なところ。

それにしても、3Aが抜けた!と思った瞬間、続けてもう一回跳んじゃうとか、それも着氷が乱れたのが悔しくてフィナーレでもう一回跳んじゃうとか、まっちーのエアギターのモノマネするとか・・wwwww
4回転ループ跳んだとかいう話もチラリときいてるけど見てません。あとで動画探さなきゃ。
あのフリーから12時間しか経ってないのにねえ。・・もう無理スンナって。

まあ、なんだかんだ言って、私は彼のこういう、本能的で、痛くて、あられもないど根性演技を見るのが好きだ。
ええ。認めます。(笑)


ハビチャンマン
オリンピックのときは気づかなかったけど、なにげにハイレベルなこのプロ。
いきなり繰り出すジャンプは、コメディー部門などとあなどれない。
彼はどんなに凄いことをやっていても、同時にバランスのとれた人間であり続けられることが凄い。
人界のチャンピオン。
彼もまた、稀有な存在だと思います。

しょーま
きたよきたきた。大好きな昨シーズンのショート。
競技用衣装はたくさん持ってるしょーま君なのに、エキシ衣装は一枚きり?
またドンファンかと思ったら、クロイツェルでした。

でも衣装が何であれ、彼の演技の良さに影響はないね。


ワタクシごとなんだけど、今夜はピアノの発表があっていっぱいいっぱいだったのよ・・
フリー演技もライストで見たきり・・っていう選手多数。
というわけで、また改めて

GPFふりかえり

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感動のあまり赤飯炊いちゃった・・・

ありがとう。
この大会に心から感謝するわ・・
どのスケーターも素晴らしかったのはもちろんのこと、ライストにプロキシ設定がいらず、しかもほとんどストップすることなく、画質も素晴らしかった。
カメラワークは、スゴ技ではなかったけれど、無意味なアップや引きがなく、ニュートラルに演技全体を捉えてくれて好感が持てた。

そして台乗りした方々、皆様おめでとうございます。
あまりに素晴らしくてなんだか力尽きてしまった今週ももう半ばすぎ。

全選手について感想は述べられないけれど・・
気になった演技、現象をぱらぱら、ぼちぼちと。

安藤美姫 マラゲーニャ
のっけからエキシビのはなしですが。
ここで彼女を、しかもマラゲーニャで出すという自由なスペインが好きだ。
日本のテレビが扱いに悩むんじゃないか、解説がログアウトしちゃうんじゃないか、なんて気にもかけない、アーティスト気質の安藤氏が大好きだ。
そしてゲストにふさわしい素晴らしい演技!!
女子シングルの小娘たちに見せつけるね。会場盛りあがる盛りあがる。

海外のアイスショーにまで呼ばれる日本人女子スケーターなんて、彼女くらいしかいないというのに、日本では清潔感などという腹の足しにもならないものが要求される。
彼女はいま、母とかいうポジションに限定されて、アイスショーでも優しく安全なプロに身をやつしてはいるが、内側でふつふつと煮えたぎる毒気は隠せず、どんなにつまらなそうな曲でも、ギラッギラに輝いてしまうというすごい境地に達している。
これはこれでいいけれど、そろそろ直球のセクシープロが見たかったのよ。
そうだ。母がエロくて何が悪い(笑)。もっとやれ。


ジュニア男子銀メダル アリエフくん
フリーは後半の体力がちょっと・・という感じだけど、透明感と陰りのある耽美な演技に吸い込まれる。
しかも膝ついてから跳ぶという独創的な変態ジャンプ技の持ち主!すごい。
ノートルダム・ド・パリってこういう内容だったのね。(笑)
(羽生氏のダムパリからは根性と情熱が伝わったが、彼からは物語と信仰が伝わった。)

メドベデワ
技・体力・芸術性・根性 すべてを高い次元で揃えてる。
そしてエキシのセンスまで良いときている。
もはや別格。まだ16歳だそうだから、うまく年を取れるかどうかが課題なのかなあ。

川口・スミルノフ
BS放送でやっとペア競技見れました。
フリーは昨年の持越しなのね。
ジャンプでコケたから何だ。
4回転2回入らなかったから何だ。
むちゃくちゃ高難度なのに、それだけじゃない、凄み。
エキシのカルメンは、サーカスみたいで大興奮。


男子フリー6分間練習
盛りあがりったら、NHK杯をしのぐほどで、ライストからも尋常でない様子が伝わってきた。
ハビエルには「ピキャー」という悲鳴のような声が。
羽生氏には「うおあああ」という地響きのような声が。

Pチャン
でもって、第一滑走からこのクオリティーですよ。
もうこのメンツなら誰が滑ったってスゴかったと思うんだけど、Pチャンがカナダ大会の神演技を超えるとは、失礼だけど思ってなかったのよ。
ステップレベル4で満点(しかも9人全員満点!)だからねっ・・と、ここでまた絶妙に羽生氏の唯一のほころび(笑)につけこんでくるところもオツである。
しかしまあ、霜降りハイネック衣装から、ヒートテック練習着に変えてしまったのは何かのおまじないでしょうか。

だいす
いろいろ残念ではあったけれど、彼の滑りには心を動かされた。
J-POPがちと苦手なんで、プログラム自体はそんなに好きじゃないんだけど、そういうものを凌駕していたなあ。

ぼーやん
なんだかんだいって4回転4回入れちゃったよ。
そして表現面もNHKよりパワーアップしてるよ。
2年も修行すれば、技術としての表現はうまくなるに違いないし、PCSもぐっと上がるんではないかい?

しょーま
彼の演技がほんとに好き。

まずなにより、振付師でもある、あのゴージャスなコーチの音楽解釈が凄い。
そして彼自身も、音楽を読み解く、アナリーゼするというプロセスを怠っていないように感じるんだよね。
しかも、その解釈を複雑な動きに乗せて表現できる身体スキルが素晴らしい。
かと思えば、フリーのトゥーランドットでは、あえて緻密にせずに、ただ音楽を音楽のまま、イタリアオペラらしく情熱的に演じきってますよ。
たった一年で、彼から放出される情熱量は三倍くらいに増量した。
今回はクリムキンも長かったような気がするし。
音楽を演じる、ということにかけて、たぶん彼の右に出るものは今の時点でいないんじゃないかしら。
もしいるとしたら、絶好調なデニス・テンくらいだ。

昨年の「クロイツェル」は、クラッシック好きの私的には身震いするような神プロだった。
今回のエキシでそれを滑ってくれたのは、大味なオペラだけじゃなく、緻密なクラッシックも得意ですが。という対ヨーロピアンアピールなのか。
または、ピアノ曲で神演技をしたPチャンと羽生氏に、表現力では負けねえぞという気概を見せたのか。
彼の演技から感じる、静かな頑なさと負けん気がまた好きだ。
演技が終わった瞬間に、余韻もへったくれもなくすっと素に戻るあっけなさも、案外好きだ。

そして表彰台のしょーま君・・・どうした!なにが起きた!なぜ羽生と腕を組みたがる!!
彼は表彰台やフィナーレで必ず何かやらかしてくれる印象。今回は国旗の丸の大きさまでがなんだかおかしい。
それにしてもウケすぎですぜ、羽生さん。

↓問題の個所は7分40秒あたりから。後ろからのアングルが欲しいぞ。(笑)


ハビ
彼はすんごい技術を持ってる。ということを、今季初めて思い知った。
細かいところまで技をきかせてるし、ステップからいきなり跳ぶジャンプもすごい。
たぶん今までも凄かったんだけど、それがビシっと決まるような、総合的にクオリティーの高い演技が、あまり出来なくて、ちょいちょい演技が途切れては現実に戻る瞬間が多かった印象がある。

しかし今年のハビは気合いが違う。根性が違う。
世界王者のタイトルは、いってみれば棚ボタ・・だと、たぶん御本人みずからそう思っただろうし、そう思われていることを感じて悔しく思うこともあっただろうと思う。
でもそのおかげで、彼は本当に強くなったのかもしれないな。
今では、少なくとも人間界で彼が一番だってことを疑う人は誰もいない。(笑)

ただ、表現力という意味では、ハビはどこまでいってもハビなんだよ。
粋で男らしい王道のMGMミュージカルプロがものすごく似合ってるけども、そこから先の彼がなかなか見いだせない、新しい彼の魅力が発掘できないところで若干インパクトが弱い。
その点、マラゲーニャはすごかったんだけど、今回もシリアスさやストイックさが足りないんだなあ。
卒倒するくらいセクシーなこのプロを見せて。コミカルじゃなくて。
あと、4回転をビシっと決めてね。


羽生大魔神

フリー演技後、「大魔神」のように腕をさっと顔の前におろして「晴明」から「羽生氏」に戻る。
オペラ座の「バイバイ」に通じる恥ずかしい小芝居をしらっとやってのける彼を見ていると、この世の罪も煩悩も赤っ恥も、除夜の鐘を撞くごとく洗われるな。
・・年の瀬の全日本、来年もいい年になりますように、いっちょお願いいたしやす。

・・・・
世界歴代最高得点、なんてものには一秒だって縁のないただの人であっても。
いい結果を続けて2回出さなきゃならないときの怖さくらいは知っている。

だから、Pチャンにしょーま、ハビと、これ以上ない神演技が続いて、彼がどんなにビビったか。
どんな気持ちでパーフェクトな演技をして、ドヤ顔で〆たか。
そしてキスクラで泣き崩れたか。
その心境は、本人よりも、ライストを見ていた何万もの人間のほうがよく理解していたかもしれない。

しかも彼自身が、テレビの向こうの人間が自分を理解してることを、一ミリも疑ってないんだよね。
彼の演技をリアルタイムで見たいと思う理由は、ここにあるんだよ。
テレビでも、ライストでさえも、画面から飛び出してくるような臨場感がある
この感覚こそ、彼の凄さや芸術性や神がかった演技の根源・・なのかも。

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