楽しかったー
ので、ひとまずおいとくとして。
相方、もとい、伴奏のリュート奏者、トーマス・ダンフォードですよ。
私は彼について語りたい。
何度か彼のソロ演奏があったんだけど。
ひとりごとをつぶやくような、たまたま漏れてしまったみたいな繊細な音で弾くの。
どこからともなくステキな音がして、心魅かれてドアをあけたら、彼ひとり4畳半にぽつねんと座ってました的なさあ・・なんというか、内に内に向かった、孤独感のある演奏。
それがね。
イエスティンの歌が入ると、彼はとつぜんやる気を出す・・・じゃなくて、世界が開けたような音を出す。
孤独孤独なつぶやきも素晴らしいけど、2人で演奏するときの輝きといったら!!
歌はしんみりと暗いのに。
あの変わりようは何?
トーマスってば、イエスティンのこと、どんだけ好きなんだ。(←そこ?)
↓サイン会で撮らせてもらった写真も、ほら。
結局なにが言いたいかっつうと。
一人一人の技量はもちろんだけど、それ以上に、彼らのケミストリーを見せつけられる楽しむコンサートだったなあってこと。
二人の間合いだとか音のかけあいだとか、即興的な部分とか。
声の美しさや歌唱技術ありきではなくて、音楽のため、互いのため、ここに集まっている人のために声と音が駆使されている、という贅沢な実感。
でも、音楽ってそういうもんだよなあ。
ちなみにトーマスの演奏、ほんとにすごかった。
一本のリュートで、2声の旋律を明確に、音色を変えて弾きわけつつ、ベース音も加える。
なのに難しそうだなんてこれっぽっちも感じさせないの。私はリュートの演奏を間近で見るの初めてだから、途中まで、ああ、そういうことのできる楽器なんだ~って思ってたよ。
でも違うよね?だって基本はギターと同じ構造だもん。ふつうできないよ、あんなの。
そして、イエスティンの歌唱・・・声の自在さ、柔らかさ、力強さ。
彼の声はホール全体に響くので、後ろから聞こえるような気さえする。
歌手にしては小柄で、体格もスリムで、しかもカウンターテナーなのに、あれだけパワーのある声が出るのがほんとに不思議。
アンコールは、ダウランドの「Now, O now I needs must part」・・につなげての、エリック・クラプトン「Tears In Heaven」。
エリック・クラプトンはダウランドに混ぜても安全・・っていうオチ。
そういや歌詞の内容や曲想だけじゃなく、ギターの弾き歌いってのも、シンガーソングライター的な創作スタイルも同じだな。
クラッシックの歴史をヨーロッパ全域で見ると、そりゃあ大きな変遷があったように思うけど、もしこうやって定点観測で「歌」というジャンルを比べた場合、イギリスの音楽は、400年間、趣味や嗜好にほとんどブレがないのではと思ってしまう。
それはフランスとかドイツとか・・日本でもそうなのかな。どうなのかな。
もうひとつのアンコールは、ヘンデルの「サウル」よりデイヴィッドのアリア「O Lord, Whose Mercies Numberless」
このアリア、かなり好き。相当好き。超うれしい。
ちょっと期待したけど、アリアの最後についてるハープのソロはなかった。(ここをぜひダンフォード氏に演奏してほしかったなあ。)
↓Youtubeにアンコール曲のヘンデルがアップされてた。現地リハの様子かと。
ちょいちょいこういうのをアップしてくれるので、イエスティンのYoutubeアカウントは要チェック。
↓こちらはリサイタル本編で歌われた歌の一部。サムネ可愛過ぎ・・これで30代後半とか、罪。