チェンバロと、フォルテピアノを初めて試弾させてもらった。
(ついでにベヒシュタイン、ファツィオリ、ベーゼンドルファー。)
写真を撮っておけばよかった・・と、激しく後悔中。
チェンバロもフォルテピアノも・・
なんかキーボードが小さい。
ピアノが昔のデスクトップパソコンのがっしりしたキーボードなら、薄型ノートパソコンのキーボードくらい小さい。
・・つまり、ミスタッチ続出。
キーが浅くて軽いので、ちょっと指が当たるだけでも音が出ちゃう。
鍵盤の奥行も小さいので、「そこにあるはずのない黒鍵」に指が当たりまくって悲惨な不協和音が出る。
それに、「白鍵」が黒い。部屋の照明も暗い。
これは、老眼入ってきたおばちゃんにはキツイ。(笑)
ただでさえキーが小さくてカンがつかめないところに、黒いもんだから、ぜんぜん指がハマらない。
その点、子供は手が小さくて小回りが利くのか、バロックの速いやつを怒涛のように弾いてる小学生男子がいて「すげえ・・」って思った・・・
若いっていいな。
チェンバロは、1991年カワイ製。フランス式の・・つまりクラブサンの復刻とのこと。
・・難しい。
二段鍵盤を弾き分けるのも大変。
「イタリア協奏曲」の強弱記号のとおりに二段鍵盤を使ってみたけど、これはちょっとやそっとで弾けるもんではないな。
ただし、軽いから速弾きはしやすい。
スケールなんかは、面白いくらい超速で弾けて、これは楽しい。
あと、意外と音がよく通る。騒がしい感じがする。
フォルテピアノは1800年ごろのものの復刻。
思った以上に音が小さくて響かない代物だった。
少なくとも、今のピアノでやろうとしている表現を、この楽器でやるのは無理だなあ。
音は、いかにも「古いピアノ」って感じの乾いた音で、高音は音色が違ってキンキンと響くのが印象的。
カワイのピアノの高音と低音が響く、あの感じとちょっと似ている。
音域は、チェンバロとほぼ同じで5オクターブ。ものすごく狭い。
シューベルトの即興曲90(1827年)を持って行ったけど、音域が狭くて3番しか弾けなかった。
もうちょっと古い曲を持って行けばよかったな・・・(楽譜がないと何も弾けないおばちゃん。)
でも逆に、3番だけが、最低音まで使ってぎりぎり弾けた、というのがちょっと面白かった。
最低音を実際に使ってみると、その弾きにくさといい、狂いやすい不安定な音といい、なんともいびつな感じがして、この音を使う効果を実感する。
でも、現代ピアノで弾くほど悪魔的な恐ろし気な響きではなかった。
シューベルトって、ちょっとヤンデレっぽいイメージだけど、きっと現代ピアノのせいで人格変えられてるんだな。
膝で押し上げるタイプのダンパーは、思ったよりは使い勝手が良かった。
ハーフペダルはできないけど、そもそも残響が少ないから、そんな小技を使う余地はないし。
「月光」1楽章の、ダンパーを上げっぱなしにしろ、っていう指示は、妥当だと思った。このピアノなら。
それから同じくベートーヴェンのソナタ21番の3楽章の、オクターブのグリッサンド!
やってみるの忘れたけど、この鍵盤でなら、私にもできる。(笑)
フォルテピアノ・・今のピアノとは別物、という気がする。ほんとうに。
現代ピアノは、ベヒシュタインとファツィオリ、ベーゼンのインペリアルを弾いた。
趣味の問題もあろうけども、いちばん良かったのはベーゼン(中古)かな。
発表会とかステップとかでいつも弾いているモデルだから、慣れてるっちゃあ慣れてるからかもしれない。
ちょっと乱暴に扱っても音が割れないし、弱音もコントロールできる。
コントロールという意味では、スタインウェイならまず間違いなく思ったとおりの音が素直に出るし、うっかり音量を出しすぎない限り、どんなジャンルの曲でも練習通り、意図したとおりに弾けて弾きやすいと思う。
でもベーゼンは、何を弾こうが、どう弾こうが、それらしく修正されて聞こえる。(笑)
こっちの意志に関係なく、ピアノが持ってる価値観に飲み込まれていく感じ。
でも、拒否されてる感じじゃなくて、予想しなかった何かが出来上がっていくようなところが好き。
その点、ベヒシュタインには・・・・完全に拒否られた。
・・・・音出ないっす。
チェンバロ弾いたあとだからかもしれない、と店の人に言われたけど、タッチが深くて、ぐいっと押し込まないと、まともな音にならない。
一旦音が出てしまえばいいんだけど。
これは、私のようなド素人にはちょっと難しいピアノかもしれない、と思った。
ファツィオリは、ちょっとしか触ってないけど、これといった特色を感じなかったなあ。
あちこちで話題にはなるし、コンサートも聞いてみたけど、いまのところ、その良さを実感するチャンスがない。
だからといって、別に悪いところもない。
1時間くらいじっくり弾けば、何かわかるかな?
いろいろ弾かせてもらいながら、新しい高崎のホールにはどんなピアノが入るんだろう・・・って思った。
とくに、発表会で使うような小さいホール。(もしそういうのが作られるとすればの話だけど。)
ヤマハ・・・それもいいけど、スタインウェイ・・・それは順当だけど、せっかくだから、面白いピアノ入ってほしいなあと思う。
そうね、いっそ、ベ、ベヒシュタインってのもいいかも。ちょっと怖いけど、なんとか克服したい気もする・・・(笑)
↓ベヒシュタインの創業者は、金田一耕助シリーズの加藤武にしか見えない。