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今季のベストプロ 1・ショート編

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世界選手権終了の翌日、あの余韻の中で、自分で書いてて泣けてくるほど感動的な「ベストプロ」記事を一気に書き終えて、私ったらいいこと書くな~もう~ と自画自賛に浸っていました。
でも、まだカップル競技ちゃんと見てないし、初現地の国別もあるし・・と思ってアップを躊躇していたら・・
電源トラブルでデータ消え。

というわけで、改めて書き直してます・・(涙)
あれから1か月。ベストプログラムの内容自体はほとんど変わってないけど、あの感動的な文章は全く再現できてません。(笑)

なお、手前勝手にやってる「ベストプロ」選定なので、毎年自分の都合に合わせて基準が変わってます。
今年は非常~にシンプル。
1 ショート編
2 フリー編
3 エキシビ編
と分けて、各カテゴリから1プロづつ選んでます。

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1 ショート編
ペア
すみオデ 「さくら」
私がJポップ好きじゃないのは何度も語ってる通りですけど。
これはいい。
この手のやつの中では羽生氏の「花は咲く」以来、2年ぶりのヒット。
何度も書いたのでくり返しになるんだけど、二人の関係性っていうんですか。
からまるような男女関係でなく、ただ並んで、同じものを見ることでつながりを感じるという、男女を超えた人間同士の関係のようなものが、技術の不足というのでなく、一つの美として見えたプロだったなと。
特にオデさんが、すみれっちを見守るような目線がいい。
世界選手権でフリーに残れなかったのは残念だけど、このプロの一番いい形を見せてくれてうれしかったです。

アイスダンス
テサモエ 「プリンスメドレー」
まあねえ、かつらかぶってるアレとか、お気に入りはいろいろあります。
でもやっぱり、これだなよあ・・・
このプロで一番素晴らしいと思ったのは、音楽が変わる瞬間に、二人の関係が変わるところ。
恋に落ちる瞬間、それが永遠のものになる瞬間のドキドキを、音楽の切り替わりと踊りで表現する巧みさ。
しかも、それがただの表面的な表現技術や振り付けじゃなくて、本物の人生経験を通したリアリティーだと感じさせてくれるところが、他のカップルにはマネのできない到達点という気がしました。
毎回いうけど、やっぱりスケーターは25歳からが本物よ。
このフレーズ、最低でもあと2回は言う予定。

女子
デールマン「エロディアード」
国別で見たかったものの一つが、彼女の、このプロでした。
特に冒頭の3-3は、これを見るまでは死ねるかという思いで、かっと目を開いて見ましたよ。
ほんとに、心からスカっとする、会心のジャンプでしたね~。(何度も言うけどスタオベしそびれてごめんよ。)

フィギュアの表現という点において、男子はまあ、比較的自由度が高くていろんなタイプが存在するような気がするんだけど、女子の場合は、どちらかというと伝統的な、「西洋的女性観」に倣った演技が、今も主流なんじゃないかと思うんですよ。
つまり、この世には男というパートナーがいて、彼らに見られていることを前提とした表現。
一見力強いワグナーも、その前提の上で、アメリカ的な「強くてセクシーな女」を演じていると、私は思うわけです。

でもデールマンは違う。
もちろん性別としての、天然自然の女性らしさはあるけども、彼女の表現は、「ジェンダー」・・つまり、文化的に作られた、「男の対極」としての女のありかたに、全く縛られてないんですよね・・。

野生の鹿のような、フィギュアスケートっていうスポーツの美と迫力そのもの。
躍動とエレメンツの美しさ、駆け抜けるスピード・・
彼女にとって女であるというのは、ただ肉体的な条件であって、「美」の条件では全くないと思うんです。
「女は美しくなくてはいけない」とか「女は強くなくてはいけない」なんていう思想じみたものは微塵もなくて、ただただ遂行されるエレメンツ、演技こそが「美」なのだと、少しも臆することなく胸を張って表現してるところがほんとうに魅力的だと思う。
この感じ、なんだか伊藤みどりみたいじゃありません?

今季、そういう演技を見せてくれたのは、彼女と三原さん。そして、国別の樋口さんかな。
宮原さんも含め、今の日本女子は比較的そのような傾向にあると思うけど、やっぱり、ロシアンやケイトリンみたいな「女子度」の高い表現への憧れというか、使命感というか、あのようにならなければという強迫観念?みたいなものがまだまだあって・・
それ自体は悪いことじゃないと思うけども、必要以上に彼女たちの重圧になってる部分、あるんじゃないでしょうか。

でもそんな中、日本のような異文化の地でなく、カナダというスケート文化の中心の、しかもアジア系でないスケーターがこのような演技で世界選手権メダリストになったことは、今後女子スケートの表現を変えていくきっかけになるんじゃないかとワクワクしてます。
そして、それがゆくゆくは日本女子の意識や評価をも変えていくんじゃないかと期待しているところです。

男子
ボーヤン 「スパイダーマン」
シーズン初めはジャンプが決まらなくてどうなることかとハラハラしたけども、それでもプロの良さは際立っていて、これはすごいものになるという予感がありました。
最初はスパイダーマンってより、まんま「蜘蛛」っぽい面白プロっ。(笑)とウケてたのが、世界選手権では"ヒーロー"、スパイダーマンになりきって、完全にその気にさせてくれましたっけ。
彼の演技の素晴らしさは、自分が何をしたらいいか、何を求められているかをよく理解していて、余計な欲もなく、かといって自分を過少評価することもない、ニュートラルで開けた心が伝わること。
そして天性の陽気さ。
GPシリーズではファイナルに残れず、四大陸でもぱっとせず、忘れられたようになっていた時期もあったけども、彼はここで力を蓄えて、来季必ず戻ってくると、私は応援していました。
それが、来期どころか、あの恐ろしい世界選手権で銅メダル、しかも上位では唯一のショート・フリーともにノーミスという素晴らしい成績。
昨年と同じ銅ではあるけれども、その価値は全く違うものだなあとつくづく思います。


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