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Channel: 映画・海外ドラマ 覚え書き
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神様に選ばれた試合 羽生氏による2015年GPFフリーセルフ解説

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これ面白かったですねえ・・
2015年GPF「SEIMEI」の神演技に至る2週間のドキュメントを、羽生氏本人のコメントで振り返る。
すばらしい企画だわ。ちょいちょいやってほしいわ。(笑)


そして改めて映像を見て、確信した・・
2015年GPFの「神演技SEIMEI」より、冒頭で放送された、今日の「155点SEIMEI」のほうがいい。
(↑個人の感想です。笑)


やけくそになってるんじゃないんですよ。

2015年は、上体の動きがわりと単純で、上下左右って感じで、腕も、わりと最短距離を移動してるというか、直線的で刺々しいなあと、今見ると、思うんです。
裏表のない高潔な、羽生晴明らしい、無駄のない演技・・ともいえるんですけども、同時に息のつまるような厳しさと、あえて言えば、ひとりよがりなところもありました。
GPFはノーミスだからよかったけれど、これでジャンプがハマらないと、世界選手権のように痛々しさを感じさせてしまうという諸刃の剣でもあったんですよね。

対して今日の演技は、もっと全方向に動いていて、余裕というか、遊びというか・・
関節だけじゃなく、筋肉で柔らかくコントロールされた動きは、見た目以上に体力を使ったでしょうけど、その分、温かみのある、優美で上品な・・雅な晴明だったなと思います。
この感覚は、2016年世界選手権の「レクイエム」で最初に感じたんだけども、「白鳥」や「ホプレガ」を経て、今ではすっかりものにしたなあという感じがする

彼自身は今日のインタビューで、演技中、いろんなことを考えすぎて、頭がぐちゃぐちゃだったと語ったらしいですが、頭がぐちゃぐちゃでも、体がここまで自然に動いたんなら、もう本物ですね。

そして、今季の衣装のマイナーチェンジ、金の重ねはともかく(爆)、その他のディティールはとてもいいですねえ。
個人的には、襟に芯が入って長い首回りがパリっとしたのがGJ、と思った。
紫の分量がちょっと増えたのもいいし、なにより銀の刺繍がほんとうに美しい。
これはなかなか楽しみです。


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さて、番組内で面白かったこと。
全部面白かったけど・・

まずは衣装ですかね。あの、指揮者仕様のスタンドカラーシャツとスーツ。(笑)
髪型といいメイクといい、作れば作るほどおかしくなっちゃう、安定の羽生氏クオリティでありました。
ジャージ以外に、彼に似合う服って存在するのかなあ。(暴言)


インタビューで印象に残ったのは、リスフランの影響はあったのか、と質問されたとき、声が裏返ったこと。
私、彼があの、高い、裏返った声を使うときは、絶対に何かを隠していたり、聞かれたくないことを聞かれて動揺してると勝手に思ってまして。
プレカンでもインタビューでもちょいちょい、そういうシーンがありますけど、私はそういうときの羽生氏の言葉をあまり信用しません。(笑)

しかし、それが嘘であれごまかしであれ、彼がそうと決めたなら、それが真実になるんですよね・・
嘘から出たまこと、ってやつですよね・・
浮気も死ぬまでバレなきゃ、なかったことになる的なやつですよね・・(←それは違)

だから、まあ、何を言おうと、それが彼にとっての真実なんだというふうには受け取ることにしています。
信用はしませんけどね(笑)

横ですが・・
うちの息子がそういう、羽生氏の「勘違い力」(←勝手に命名)を非常にリスペクトしてまして。
中学の頃、「自分は勉強が好き」だと、人にも自分に言い聞かせることにしたら、本当に勉強が好きになったんだと、先ごろ言っておりました。


さて。
セルフ解説で面白かったのは・・
これまた全部面白かったけども、滑走前、ハビコールが飛び交う中で、「くそ」って感じで顔をちょっとゆがめるシーン。
そのやんちゃさが素直に顔に出ちゃうのも面白いし、そこで3A跳んで見せつけようと思う自己顕示欲も面白いし、その厨二な心境を堂々と解説してしまう今の羽生氏も面白い。
「これから俺が滑るんだぞ」っていうのは、修三インタビューでも言ってましたが、いい大人が、なかなか言えることじゃないですよ。(笑)

まあ、そこが、羽生氏の羽生氏たるところなんだなあ。
あまり紳士然としてないところ、「いい人」っぽくしないところ、みっともないところ。
人間なら誰でもハマる罠や浅はかな感情、本音や真実を、堂々と見せてくれるところ。
彼を見ていると、一周まわって、「人間って素晴らしい」と思える。

いずれ彼にJスポーツ解説をしてほしいと、また思いました。

ぜったいコーチより解説がいいって!(←勝手。)
それもJスポーツね!

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追記

あの日の演技が、ゾーンに入った的なものでなく、「計算された」「冷静な」演技だったということを、羽生氏の口から聞けたのが興味深く。
改めて当時の感想、見直してみました。

当時の感想

比較参考・同年NHK杯の感想


「情に走らず、最後の最後まで演技をつらぬいた、作品。今言えるのはこれだけです。」

「フリー演技後一呼吸の余韻のあと、「大魔神」のように腕をさっと顔の前におろして「晴明」から「羽生氏」に戻る。(略)こういうこっ恥ずかしい小芝居をしらっとやってのける彼を見ていると、この世の罪も煩悩も赤っ恥も、除夜の鐘を撞くごとく洗われる気がする。」

「世界歴代最高得点、なんてものには一秒だって縁のない世の99.999%の凡人だって、いい結果を続けて2回出さなきゃならないときは怖いってことくらいは知っている。
だから、Pチャンにしょーま、ハビと、これ以上ない神演技が続いて、彼がどんなにビビったか。
どんな気持ちでパーフェクトな演技をして、ドヤ顔で〆たか。
そしてなぜキスクラで泣き崩れたか。
現地の人はもちろん、ライストを見ていた何万もの人間が、ジェットコースターのような彼の感情の流れを手に取るようによく理解していたと思う。(以下略)」

・・・
これが某新聞記事なら、「一言嫌味を付け加えずにいられない上から目線」って炎上するでしょうねえ(爆)
いやはや、今ならここまで書けないかも。最近の羽生ファン怖いからさあ・・(←だからその一言がいけない。)

でも、彼の口から語られた話も、ほぼほぼ、このとおりでしたよね。

ええ、私は、あの演技をいいと思わなかったし、感動もしませんでした。
まさにご本人がおっしゃるとおり、緻密に計算され、再現されたコピーだなと、伝わったので。
でも、そうであっても、あの状況であの演技をし、記録を出したことに、心から感動し、興奮していました。
そして、次にあの、NHKのような、魂の演技が見られるのはいつだろうと、本当に楽しみに思いました。

そして、2年経ったとはいえ・・
まだ現役の彼が、ましてオリンピックシーズンを前に、あれほど正直にあの日を語ったことにも、私は心を動かされました。
いい番組だったなあ。

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