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Channel: 映画・海外ドラマ 覚え書き
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NHK杯ふりかえり 女子

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「演奏とか表現というのはね、少々キツさがないと、面白くないのよ。何事でも。」

今日のピアノのお稽古で、先生が言われた言葉。
全くそのとおりだと思う。

「毒」「キツさ」「強さ」「あくどさ」
こういった感覚は、いわゆる芸術とかいうものの周辺に、絶対必要なものだと思う。
ちょっと西洋かぶれな感覚だってのは承知で言うけども。
芸術とか美っていうのは、反宗教的、反社会的、反権力的、反道徳的な衝動を、いかにカムフラージュして世の中に曝すかという戦いだと思うのよ。

宮原氏はさ、たぶん内面にはものすごい闘争心と欲と情熱があるんだと思う。
しかも、それを人前で見せたくて仕方がないんだと思う。
・・・勝手に想像してるだけだけど。

まあ理屈じゃなくて、彼女からは表現したいという魂を感じるのね。
そのうえ、今季は美しい表現も手に入れて、ほんとに目をみはった。
ちょっと手を振り上げただけでも、彼女の内面からの意志を指先に感じる。
彼女が長年見せたかったもの、言いたかったものを表現できて、うれしくてたまらない、というような、喜びにあふれた演技だったと思う。
ショートもフリーもエキシビも、どれをとっても。

昨シーズン、私は彼女のフリーを、女子シングルのベストプロ美プロと勝手に認定して勝手に語った。(笑)
でも今季はその予想を上回る成長、充実!!
GPFの台のりは微妙だけど、芸術性でいったら、ロシア娘2人にひけをとらないよ。
メリケン女子もパワーがあって、またいかにも北米的で健全で爽快な味があるし。
ほんとにこのファイナル、凄いわ。目が離せない・・・・


そして浅田氏。
彼女については中国杯の記事に書いたのとまったく同じ印象。
ジャンプの出来や勝ち負けについては時の運といおうか、まあ、そういう時もあるさという感じであまり思うところはないし、むしろあれだけガタついて3位になれたんだから凄いと思う。

なんにせよ、スケートをしたい、と言って自ら戻ったのだから、信じてよい演技を待ってます。
実際、中国でのSPは素晴らしかったし、今回だって、ジャンプを除けばとても良かった。

ただ、フリーに関しては、以前も書いたとおり、あの悟りきったような蝶々夫人の「解釈」に賛同できない。
あのような辛気臭い「ある晴れた日に」を人に納得させるには、ジャンプを含めて完璧な滑りをするか、突き抜けた自信を感じさせてくれなきゃ・・と思うのだけど、今回は残念なことになってしまったから、見ていてつらい。

みずから確信をもってああいう解釈をしてるのかなあ。
ただローリーの言われるままなのかな。それとも単なるアナリーゼ不足なのか・・
演技は、綺麗なんですよ。たぶんバレエなんかもやってただろうし。
でも、彼女は演技の中に自分自身のワガママや悪態や欲深さを見せない。
恥をさらして醜い自分を見せようともしない。
だから、この演技の出どころ、責任の所在、みたいなものがまるで見えてこないのね。

休養を経てだいぶ良くなってる気がするけど、それでもね・・・
大人として、やるつもりでやっているのだろうから、あまりこんなことツッコみたくはないんだけど。

・・ただし、技術的に、まだ宮原氏に抜かれたとは思ってないよ。


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