全力投球でこんな駄作を作ってしまったジェイン・オースティン愛・・というよりオースティンドラマへの偏愛と妄想力、には、ただ頭が下がるとしかいいようがありません。
個人的には、「大西部の女医」こと、ジェーン・シーモア(画像中央)の姿を久しぶりに見られたのがうれしかったなあ。
オースティン作品(およびドラマ)依存症にして、40歳ぎりぎり手前の独身、な主人公が、19世紀の小説世界を再現する「オースティンランド」というツアーに参加するという話。
もう、設定からして迷昨の香りがぷんぷんするのに、それでも見てしまう自分がいる。
ちなみに、このツアーの参加者は全員アメリカ人なのですが。
じつは出演者のほとんど(もしかして全員?)がアメリカ人という、米製英ドラ映画であります。
で、彼女たちの目的は、19世紀イギリス体験・・・ってより、イケメン(?)キャストが演じる紳士たちとの疑似恋愛に興じることなのですが。
そのうちだんだん現実と虚構の境目がわからなくなっていくあたり、ちょうど、オースティンの「ノーサンガーアベイ」のストーリーに沿っております。
ちなみにノーブリー氏(画像右端)を演じているのは、2007年のBBCドラマ「ノーサンガーアベイ」でヘンリー・ティルニー役だったJJフィールド。
「ノーサンガーアベイ」のころは若々しかった彼も、いまは30代後半?くらいのほどよいヨレぐあいでして、ややシャープさに欠ける容貌やたたずまいを含めて、いかにも英ドラの主人公的。(アメリカ人だけど。)
ちなみにノーブリー氏の本名は「ヘンリー」というオチつきです。
映像やセリフには、「高慢と偏見」はもちろんのこと、「分別と多感」「マンスフィールドパーク」「説き伏せられて」「エマ」・・などなどのネタが、細か~く仕込まれているので、爆笑・・とはいえないけど、あちこちでくすくす笑えます。(下品なネタも多いけど。)
オースティン作品の中でも、「ノーサンガー・アベイ」はぱっとしないイメージがありますが・・
JJフィールド版のドラマは結構面白かったので、事前にこのドラマで予習すると、この映画も楽しさ倍増するかも。
なお、「高慢と偏見」は、95年のコリン・ファース版がいわずもがなの不朽の傑作。映画のネタとしても必見。
「エマ」は、「エレメンタリー」でおなじみのジョニー・リー・ミラー版が、今世紀のオースティンものの中で最高の出来ではないかと個人的には思います。
あと、地味な女を演じたら右に出るものはない?サリー・ホーキンスが実力をいかんなく発揮した「説きふせられて」。地味な世界に白鳥のように?舞い降りるルパート・ペンリー・ジョーンズが美しすぎる。
「分別と多感」は、エマ・トンプソン&ヒュー・グラントの映画版も、「ダウントン・アビー」のダン・スティーブンスがエドワードを演じたドラマ版もなかなか良かったです。
なお、そこまで予習してこの映画に取り組んだところで、何の実りもありませんのであしからず・・・。