怒涛の初戦ラッシュがひと段落したので、オータム羽生氏について、語り残したことを少し。(少しじゃないか。)
「バラ1」について。
素晴らしい。文句のつけようがない。
でもひとつ言っていいですかね・・
前半スピンの後の、いわゆる「背泳ぎ」のあたりで、「ここで何したらいいんだろう、俺・・」、っていう手持ち無沙汰な声が聞こえちゃったの、私だけですかね・・(笑)
こういうの、2~3年まえにはなかったと思いません?
常に全力で余白がなく、「彼自身」であることに迷いがなかった。
でも今は、緩急をつけようとしてちょっとした「間」を空けると、そこに疑問の入り込む余地ができちゃったり、演技が途切れちゃったりするケースがちょいちょいあるような。
「ホプレガ」後半4-3ジャンプ直前の小休止もそうでした。
当初は、「ここで休んで4-3に備えるぜ」って感じがミエミエで、ジュニアでもそこまであからさまじゃないだろ、って感じだったのが、NHKくらいから良くなってきて、世界選手権では、神々しいほど美しくなったんですよね。
今季のバラ1の「背泳ぎ」も、あんなふうに進化していったらいいなと、今から期待してます。
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以下、今回の演技で素晴らしかった点をいくつか語らせてください。
フライングキャメルスピンの入り
今季からの新しい工夫、「ふんわり入るキャメルスピン」。
どうして重力のある地球上で人間の体があんなふうに浮いて、摩擦のない氷の上であんなふうに軸足が止まって、しかもフリーレッグが落ちないのか、物理の法則としてまったく理解できません。
アイスショーのほうがもっと、腕の表現がなめらかで良かった気がするので、次回以降、さらにいいものが見られるのではと期待中。
ステップの冒頭
バシっと一拍目から入らずに、ちょいと遅れてステップに入る、「破調の美」
「音ハメも、度を超すと無粋」、と訴え続けた私の意見をとうとう取り入れてくれました。(←違)
ステップ中にも「外す」ポイントを設けてるみたいなので、これがうまくハマったらどうなるか楽しみです。
特に終盤、両手を広げたまま右にすーっと抜けていく、プログラム序盤と同じ振り付けがリプレイされるのが興味深いかも。
イーグルサンド4S
「バラ1 2015」(←Gメン75 みたいだな)より、さらにクオリティー上がってますねえ。
特に踏切と着地のタイミング、音楽とのからみが、今までに見たことがないほど完璧。
イーグルサンド4Loもだいぶ良くなったけど、改めて4Sで見ると、4Sのほうがずっと芸術的。
4Sでも4Loでもいいんですけどね、4Loを入れるからには、4Loの特性を生かした「美しさ」、しかも、「バラ1」という音楽の中で生きるようなものを提示しないと、4Sに見劣りしちゃうると、素人考えで思うんですよね。
事例の極端に少ないジャンプだけに、そこから開拓するのって難しそうだなと。
それでもやる、できるというのなら、ぜひ4Loの先駆者として突き詰めてほしいところではありますが。
3Aの出
着氷後、跳びましたという顔もせず、さらりとチェンジエッジしてゆったりしたターンにつなぐ。
あの静けさ。あのゆらぎは、もはや”大技”3Aへの冒涜行為じゃないかと。(笑)
3年前、静かなイーグルサンド3Aに度肝を抜かれて「+3」を連発したジャッジに、「もっとできますんで。」と静かに見せつけるチート技。
すばらしい。
4T3Tタケノコ
4-3を最後に跳ぶなんてのは屁でもないと、夏のアイスショーでさんざん見せつけて、本番では両手まであげちゃうマエストロの意地。
さすが闘争心と自己顕示欲の塊羽生結弦。(←すごい褒めてる)
このブログでスケートネタを解禁して以来、羽生氏とリッポンの両手挙げジャンプは主要なテーマのひとつでした。
最初は遠慮がちに、近頃は堂々と、わたくしはその美しさ、エロさについて語ってまいりましたが・・
・・3回転になると、凄みがまさってエロみはありませんでしたっけね。(笑)
結果的にリッポン・ルッツのエロさ偉大さを改めて認識させられた感。
そうはいっても、4-3ジャンプ・・しかも終盤での・・のクオリティーと威力はすさまじいものがありました。
前半の、穏やかながら冷たい、ヨーロッパの・・ひょっとしてカナダの?落葉樹の森の湖のような景色から一転して、美しくも厳しい日本の自然のようなラストジャンプ。
点数の上では「満点」ではなかったけれど、これはほんとに素晴らしかったです。
「SEIMEI」
演技についてはだいたい語り尽くしたので、衣装について。
マイナーチェンジに気づいたときは、「金ベルト!またこのパターンきたよ!!!wwww」
とディスる気満々だったんですけどね。
・・美しいですねえ。
仕立ても精巧だし、襟と肩のパイピング技術がすごいし、なにより配色がいい!
エメラルドグリーンの差し色と括りの鮮やかさ。
以前の衣装は畳みたいな色で、質感もヨレヨレしてて、えせ「和風っぽさ」が漂ってましたけど、今季のはスッキリとあか抜けて、明るくて、「高貴さ」があって、いいですね。
帯の金は、まあどうでもいいですが、「バラ1」の金とちがって成金くささはないような気がします。
お世辞にも「センスがいい」といえない羽生衣装史上で、ダントツのクオリティー・・と勝手に思う。
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ヒマつぶしに独断で選ぶ、羽生競技衣装ベスト5
1 「SEIMEI 2.0」
2 「オペラ座 2.0」
3 「パリ散 2.0」
4 「バラ1 1.0」
5 「悲愴」
番外 「レツクレ 1.0」
ポイントは襟周りですかね・・。
長い首をカバーする立ち襟、または台襟仕様。
そして、ヒラヒラ・スケスケは禁止。
「悲愴」は、あの年齢、あの色に限っては、とても美しく効果的だったので、記念にランクイン。
ショーナンバー編
1 「言えないよ 2017」
2 「白鳥」
3 「花になれ」
4 「ビリーブ」
5 「ホワイトレジェンド」
2年ぶりの「言えないよ」は、もともと良い衣装だったのが、羽生氏の体格向上で神レベルに美しかった。
「白鳥」は、鳥だけに、首が長く見える背中ぱっかーんがハマった。
こうしてみると、ほとんどが白と青の組み合わせですかね。
男子で白といったら、たいていが「白シャツ」でしょうが、羽生氏の白シャツは見たことありませんな。
さあ、今年のエキシビションはなんでしょうね・・
また再演シリーズですかね(爆)