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Channel: 映画・海外ドラマ 覚え書き
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羽生氏フリーとその周辺の色々について

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ライストで公式練習を見て、たぶん棄権はしないんだろうなと思ってた。
会場がロシアだから、ってより、世界最高得点を取るチャンスだったから。

称賛でも煽りでもないのよ。
五輪2連覇という羽生氏からのプレゼント(と私は理解している)を受け取ったからには、今後はその背景にある、彼のキリキリと胃が痛むような生きざまや闘争心も覚悟の上で受け入れなきゃならないよね、というのが最近の私のスタンスで。
4Aとか言い出した時点で今季もケガをする可能性はどこかで覚悟していたし、この日の、4Loが抜けまくってうまくハマらない練習も何等かの覚悟をしながら見ていたし、ケガがそんなに良くないことも、ケガを押しての出場も覚悟していた。
そしてこの先の彼の判断や進退まで含めて、あらゆる意味で覚悟している。
本心では、無理してほしくないけどね。

どの番組だったか忘れたけど、佐野稔さんが
「ケガが多いっていう指摘もあるだろうけど、ギリギリのところで練習してきたからこその成果に皆魅了される」
というようなこと(ざっくり)を言っていたが、ほんとうにそれだ。
稔のおっさん、いつも適当だけど、たまにはいいこと言う。(偉そう)


諸行無常とか、一期一会とか、メメント・モリとかいうけれど。
人生は短く明日にも終わるかもしれない、という覚悟を本気で背負って、彼は一分一秒を生きてるように見える。
きっと、東日本大震災や、その後の波乱万丈のスケート人生がそうさせたんだろうけど、それにしても壮絶で、常軌を逸していて、そんな無茶はやめて、もっと普通に生きてくれたらいいのに、といつも思うんだよ。

でも一方で、こうやって氷上に出てきて、その常軌を逸した自分を演技として見せ、観客と共有することで、彼の背負うものが取り払われて、「普通の」自分に立ち返ることができるんじゃないか、なんてことを思ったりもする。
だから会場に行ってその場を共有したいと思うし、たとえテレビであれライストであれ、何がなんでもリアルタイムで見届けて、画面を通してばらまかれる「彼が背負っている常軌を逸した何か」の欠片を引き受けたいという気持ちになる。
たぶんそれが彼の芸術性・・ノブナリがショートの夜にマトリョーシカに書いた、カリスマ、なんだよね。

フィギュアにおける技芸としての芸術性を持つ選手ならたくさんいるし、芝居や表現の巧みさという意味なら羽生氏より上手い人がゴマンといる。
でも、あのすさまじいまでのエネルギーとカリスマ性とジャンルを超えた芸術性には、誰も代わることができないと思う。
しかも圧倒的な勝負強さと技術力を以て、それをする。
ただただ敬服する。

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彼のロシア愛については、まあ、さらっと流しますか(笑)

いやいや、もちろん、タラソワさんがいて、ヤグディンがいて、ミーシンがいて、解説までしてるというのは、彼にとって最高のシチュエーションだったと思うよ・・
たとえプル様本人が不在でもね。
しかも羽生氏がこれほど壮絶な思いで彼に捧げたプロを、自分ではなく、「ニジンスキーに捧げるプロ」と勘違いしていたとしてもね。(爆)


そんなことより、今回ササったのはロシアのユヅル愛のほうかもしれない。

「プーの投げ込みは制限しない。ヘルシンキでは拾い集めるのに3分かかったが、我々には対策がある。」

・・って、いったいどんな対策かと思って、いろいろ妄想したじゃない。
ザンボにシャベルをつけてかき集めるのか?とか・・

そしたら、こともあろうに、さらなる追加のプーのぬいぐるみを会場で売りさばいたという話!
(しかもバチモンくさいやつ)
それって単に仕事を増やしただけ・・って、誰か気づかなかったのか・・
それとも、そこまで含めて全部ネタだったのか・・・

それとも、なんですかね、
「我々はアジアの大国中国よりも、オリンピック開催地の韓国よりも、まして、かつての属国フィンランドなんかよりも(w)、ずっと多くのプーでリンクを埋めつくすことができるのだぞ。」
的な、大国のプライドですかね。
いらんわそんなプライド!(爆)

っていうか、そもそもプーとか必要ないだろ・・って思いますけどね(笑)
一種の風物詩ってことで、それでいいならいいんだけど、気にはなるよね、次の滑走者のこととか、ボコボコ降ってくるプーを頭に受けるジャッジのこととか・・
北米ジャッジはプーが降ってくるのが許せなくて点数低いのかも、とか、思っちゃうよね!(嘘)

中国→韓国→ロシア・・と、海外の試合を経るたびに拡大していくこの習慣を、日本人のひとりとして複雑な心境で受け止めている・・
でもまあ、オモロイことはオモロイんだよな・・(笑)


そして、ロシアの誇る「プー対策」であるところの、フラワーボーイのヴォロノフ君。
ショートの後、今年もお仕事をサボって羽生氏にお手紙を渡しおおせた。
そしてそれを見ていたフラワーガールたちが、
「ずっるーい!私もお手紙渡すのーーー!」
って感じで、フリー後の羽生氏にまとわりつく。
まったく、ロシア人ってば自由すぎるぜ。適当すぎるぜ。熱すぎるぜ。
さすが、プルシェンコを生んだ国だ。

羽生氏は、昨年のヴォロノフくんには困惑し、けじめをつけようと葛藤していたが。
今回は大目に見て、みんなをハグしてやっていた。
彼もまた少し大人になったな。と、ちょっと嬉しかった。
それにきっと羽生氏も、ロシア人の適当さとか、物怖じしないところ、人間に忠実な気風が好きなんだろう。
なんだかんだいって、自分が愛するロシアのちびっこに慕われて、ちょっと嬉しかったにちがいない。
いいぞロシア、もっと羽生氏を大人にしてやっておくれ。(意味不明)

でも次の試合でフラワーガールが鈴なりになっちゃったらどうするよ?
という、一抹の不安はある・・
(日本なら絶対にないと思うが・・)

----
でも、どんなに彼がロシアを愛していたとしても。
ケガの中、フリーに出場した真の目的は、世界最高得点だったのだと私は思ってる。
既にショートで世界最高得点を出していて、このままノーミスすればフリーや総合でも出せる。
しかもロシアの尊敬する人々に見てもらえる。
こんなチャンス、もう二度とないかも!
それら全部が束になって、彼を動かしたんじゃないのかな。

棄権なんて考えもしなかっただろう、と佐野さんが言ってたけども、たしか彼自身はプレカンで「棄権も考えた」って言ってたよな(笑)
なんにせよ、熟考したと思う。

今なら、既にショートで世界最高得点を出しているから、フリーの7本のジャンプを立ちさえすれば、フリーと総合の世界最高得点も300点越えも出せるだろうし、少なくとも、自身初の二連勝は達成できる。
多少ケガが悪化するかもしれないし、結果として全日本に出られなくなるかもしれないが、世界選手権の選考は問題ない。
今なら筋力も体力もコンディションも充分あるから、多少無理をしても最小限のダメージで済むだろう。
でも今休んで、5週間後の全日本までに戻すとなると、仮にケガが治っていても、練習不足でいい演技ができない可能性は高い。
中国の衝突事故の後のNHKがそうだった。
それに当然、ショート、フリーを揃えていかなければいけないし、昌磨がいる全日本はこの試合とは全くレベルが違う。
また無理をしてケガを再発しないとも限らない。

同じ無理をするなら、今ここでやるほうが、達成できるものが大きくデメリットが少ない、と思ってこの試合に掛けたんじゃないかな。
もちろん、自分が勝ちたいのと同時に、試合を完遂して、今この場に来ているお客(およびタラソワたち)の声援にこたえたい気持ちも強かったと思う。

まあ、真相はわからないけど、結果的に、いい選択だったんじゃないかなあ。
ファイナルには出ないだろうが、万一出たくてしょうがなくなった場合に出られる(爆)、という可能性も残した。
世界最高得点はとれなかったけどね。
(かえすがえすも3Aの転倒と抜けが惜しかったよね・・)


―ーーー
ところで当日の構成について、本田タケシ先生や、あと岡崎真さんが
「4Tを跳んだ時点で着氷が不安定だったので、とっさにオイラーを入れて3連続にした」
と解説していたけど、これは違うよね。

テレビで生中継されたように、彼は6練で、4T-1EU-3Sを跳んでたもん。
転倒しなければ200点は堅いこの構成を、リカバリでとっさにやったわけではなく、ケガをした直後に構成して、おそらく6練までに周到にイメトレをし、6練で駆け足で確認して、実行したんだよね。(それも恐ろしいが。)
そして前半は完璧だった。

4Tのコンボについては、前日にショートで決めた4T-3Tを入れることもできたと思うけど、そうではなくて4T-1EU-3Sにしたのは、

①オリンピックでこの4T三連コンボがつけられなかったことへのリベンジ
②ショートとフリーで全く同じエレメンツを繰り返さない、という矜持(以前どっかで言ってた)
③失敗した場合に3Aでリカバリするという、オリンピックのパターンを生かせる
④このコンボを世界で初めて実施したのが羽生氏自身だったことへの、自身へのオマージュ。

ってなところだろう。
それに、3クワド構成、しかも4T-3T、3A2T、3Aからの3連コンボという組み合わせは、330点を取った2015年の演技から最後のルッツを抜いたのと同じになってしまう。
それではあのときの自分を超えられないと思ったんじゃないか。
想像だけど、けっこう当たってると思ってるのよ。
彼のことだから、点数のための最低ラインの構成じゃなく、このくらいのこだわりはぶっこんだ上で世界最高得点を取りたかったに決まってる。
(ケガしてるってのに全く!爆)

ケガの直後に構成を考えて実行した彼の応用力については、まあ、それができることはとうに知ってたから、そんなに驚かなかったな。(笑)
でも、3Loのあと、いつも4Tを跳んでいるところで3Fにすりかえて、音ハメ・・ってより、いつ跳んだかわからん感じの例の3Fクオリティーで流した(いや流したってのも変な言い方だが)ところは、地味なポイントではあるが感動した。
加点はほとんどなかったけど、きっとジャッジはジャンプに気づかなくて見てなかったんだろう。(んなわけない)

そして個人的にぐっときてるのは、その4Lo回避モードの構成を、彼自身が自分で考えて実行したところかな。
フリーで滑走したのも、「It's my choice」と言っていたし。

その責任感、自立心。
かっこええやん。

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演技の感想は、今更かな??
ケガ(というより痛み止め)との闘いという本気は出しつつの、エレメンツのクオリティーや、特にステップと後半の振り付けに対する丁寧さは、これはちょっと、感動もんだった。
とくに終盤の、イナバウアーね。

回復したらここに本気で4Aを入れる気なのかなあ・・
心配というかなんというか、なんかもう、ジレンマだ・・

オトナルの感想もあんまり書いてないんだけど、あれはもう、感想書くレベルじゃないかもしれない。
プロの好みは別として、間違いなく羽生史上最高の演技だったと思う。
もうフランス大会始まるけども、そのうち、もしかしたらじわじわと書く・・かも。

そして、やっと今日読み終わった(遅)「チームブライアン」の感想も書きたいのであったが・・
明日は自分の試合なので筋トレしないと。(爆)
明後日は息子のコンクールだし。
日曜は町内行事。(もはやどうでもいい)

というわけで、フランスはBS観戦かなあ・・

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