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昨シーズンのマイベストプログラム 美プロ編

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テレビだけでゆるゆる観戦する偏ったフィギュア好きのたわごと。

バタバタしててアップが遅くなったけど(そして誰も期待していないと思うけど)
個人的趣味で昨シーズンの「美プロ」を語ってみる。

アイスダンス
パパダキス&シゼロン フリー 「ピアノ協奏曲23番2楽章」
これはもう、説明不要ですかね。だって、美しいんだもん。
若い選手なのに、これだけ奥行の深い美意識を表現できるのは、フランスのお家芸、なんだろう。


ペア
パン&トン ショートもフリーもエキシビも。 しいていえばエキシビ「夢破れて」
これも説明不要かもしれないけど、一応いっとく。
「愛」・・だよね。
パン氏の天衣無縫な愛を、トン氏は見守る。ただじっと見守り続ける。
もうね、何を滑ってもそれだけなんだけど、何度見ても美しいと思うからしょうがない。

やっぱりトン氏なんだと思う。
彼は見た目も動きも「美しい」とか「セクシー」っていうタイプじゃないと思うけど、一挙一動にいちいちドキっとさせられる色気がある。
ちなみに、名前の発音は、「ジャン・トン」じゃなくて「ジエン・トン」だよな・・と、いまのうちに細かく突っ込んでおく。
とにかく、これまでの活躍にただ感謝。
ペアの技術的なことはさっぱりわからないけれど、欧米的な美意識とはちょっと違う、アジア的な、家族的な美意識があって、ただ「美しい」とか「芸術的」っていうだけじゃなく、共感できるペアだった。
これからもアイスショーで見られたらいいな。


女子シングル
宮原知子 フリー 「ミス・サイゴン」
・・・ま、若干日本人びいき入ってるってことで。

ロシア娘の面々は、たぶんご幼少のみぎりから、美しくあるための価値観や方法をたたきこまれてるよね。
みんな隅々まで隙がなくコントロールされているなって思う。
素晴らしいし美しいんだけど、まだ若いのに、美しさが「技術」として機能してる感じがしてしまった。
その点宮原さんは、表現力にまだ年相応の隙があって、しかもその隙から、彼女がコントロールしきれないワイルドな、「険」のようなもがちらちら見えるのね。
そこが魅力、「美」だと私は思う。
彼女の美は、いわゆる「時分の花」で、まだ本物ではないと思う。
でもきっと、この先精進して、安藤・鈴木両氏のような表現者になってくるのではないかと、私は勝手に期待してます。
まあ、その期待値も含めて、このプロは美しかった。


男子シングル
羽生結弦 ショート 「バラード1番」

とくにGPFの演技が、憂鬱な冒頭から、ラストの破滅的なステップまで、総合的に美しかった。
残念だけど今季への持越しがなくなったから、ここぞとばかりに語ります。長文注意。

ショパンと羽生氏のプロフィールは重なるところがあるよね。
20歳くらいでパリに出てきて大ブレイクした一方で、故郷ポーランドでは、ロシアに対する蜂起が失敗に終わり。
彼は参戦もせず外国でのうのうと音楽活動してる自分が許せなくて、罪悪感や無力感を音楽にこめる・・
迫真の演技の裏には、そういう類似点もあるのかな、と思う。

でも私が感銘を受けたのはそこじゃなくて、彼が「音楽を表現していた」という点に尽きる。
しかも、クラッシックの作曲家ショパンじゃなくて、「今最高にホットな作曲家ショパン」っていうのかな。
羽生氏は180年の時間差なんて全く意識せずに、リアルタイムの感覚でショパンの音と会話してるのが分かる。
セレブリティ―の孤独とか重圧とか。
もしあのときああすれば、的な後悔や、堂々めぐりや、憂鬱や・・
自分をコントロールできずに流されるふがいなさ、いっそ転落したほうが気が楽だ、っていう破滅願望。

この正直すぎるネガティブさ、アスリートとしては珍しいよね。
あれだけのタイトルを手にしておいて、口では優等生なことを言っておいて、一旦氷上に立つと、恥も外聞も忘れて、「弱くてみっともない自分を見て」と、自虐っぽく甘える。
このへんはもう、芸術家の天性なんだろうな。
彼の表現の質はちょっと昭和歌謡風味だし、泥臭いなあ、毒々しいなあ、と思うときもあるけれど。

そして、羽生氏を昭和歌謡からグローバルな「芸術」の域に引っ張り上げた、バトル氏。
「バラード1番」の暗い情緒といい、おそらくツィマーマンの、ストイックでクールで近寄りがたい色気のある演奏といい、息をのむようなチョイスだった。
とくに、冒頭の静止している部分、アルペジオが最高音に達して、下ってくるところで、ふっと音が曇るところ。
栄光を知った者の心の闇とでもいうような、あの音がプログラムを制してるよね。
ツィマーマンの演奏が選ばれたのはあの音のためじゃないかとすら思う。

羽生氏が、あの音を最後まで聞き終えて、我に返ったように動き出す瞬間、ショパンと、ツィマーマンと、バトル氏と、羽生氏の4人が、同じ方向を向いて、互いに顔は見なくても完全に理解しあっている感覚が伝わってきた。

個人的には、甘いBメロが容赦なくカットされて、女っ気のない音楽になってたところもツボだったかな。
ナイスフォロー・・(笑)


イメージ 1イメージ 2


好きなのは、コーダでの超絶ステップ。
特に、ステップのなかばで、演奏の一瞬の緩みをとらえて、何かをつかもうと手を伸ばすところ(でも何もつかめないまま、スピードの渦に飲まれていく)が美しかった。
(楽譜の5小節目の個所ね。)

あとは、序盤の一人ワルツもいいし、いうまでもないけど、3A、良かったなあ・・。


最後に、偶然見つけたポーランド解説のこと。
技や採点について明確に解説する一方で、音楽への関心が高いのに驚いた。
ショパンの音楽、ツィマーマンの演奏だからなおさらなんだろうけど、羽生氏の演技について、まるで芸術作品を見るような視点のコメントが個性的で面白かった。

ポーランド解説(英語字幕つき)

こんなのもあります。
https://youtu.be/P4kiqdx7JQU 2014GPF エキシ
https://youtu.be/wqSZRDLEeQk 2015世界選手権 SP
https://youtu.be/wQJxPVezC8A 2014世界選手権 SP
https://youtu.be/emU4hxho3B4 2014世界選手権 FS


今季のSPもバトル氏ということで、期待しております。

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