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Channel: 映画・海外ドラマ 覚え書き
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チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密

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およそ月に1本、近所のママ友とおバカ映画を見に行くのだけど、今回のチョイスは、大コケ映画の誉れ高い、「モルデカイ」。

予想どおり、見事なおバカ映画だったけど、私は結構楽しんでしまった・・
これだけしょーもない映画に、ジョニデとユアンとグウィネスがいるだけでおいしいし。

ユアンとグウィネスといえば、96年に「エマ」で共演してました。
「エマ」のフランク・チャーチルはうさんくさい色男だったが、今回のマーランド警部もまた、輪をかけてうさんくさい。
切れもので自信家なのに、美しい人妻グウィネスにはベタ惚れで腰抜けになるという、ルパン三世的なところにいつものユアンらしさがあって、ファンとしてはうれしい。
年とともに雑味ばかり増えていく人もいるが、ユアンに関して言えば、常にいい感じで醸造されてるというか、新しい風味が加わってもスッキリ切れがある。
とくに40代になってからの進化が目覚ましいので、今後もゆるゆると活躍を楽しみにしておりますよ。

なお、主演のジョニデことモルデカイにはこれといって感想なし。ファンじゃないし。
・・そうだ、ひとつだけ。ジョニデとユアンがオックスフォードの同級生って設定・・それは説得力なさすぎだろう。

事件は、そのオックスフォードで起こる。(私得である。)
絵画の修復中に背中をクロス・ボウで射られる・・・なんでオックスフォードってこんな殺人ばっかなのか(笑)。

そして当然、われらがテムズ・バレイ署が初動捜査する・・のだが、MI5のマーランド警部が登場して刑事たちを追い払っちゃうのね。あわれなりテムズ・バレイ署の面々(笑)


ところで・・・
この映画、ユアンもよかったけれど、注目を根こそぎ持って行ったのが、モルデカイの使用人、ジョックことポール・ベタニーであります。

イメージ 1先日「ルイス」の記事でちらっと話題にした「マスター・アンド・コマンダー」で、オーブリン船長の相棒、ドクター・マチュリンを演じた彼であります。(画像がなかったのでIMDBより拝借したんだけど、カッコよすぎてどうしよう。)

あの映画、自分で自分の腹から弾丸を摘出したり、その摘出後の体でマダガスカル島を探検したりするマチュリンのドMさでご記憶の方も多いかと思われますが・・
今回の彼はさらにM度を上げて、モルデカイに3回も撃たれ、車に轢かれ、どつかれ、エビにあたり・・(ハサウェイかいっ)
それでもモルデカイに尽くしまくる。

鬼上司にどこまでもついていく忠実な部下・・イギリスものの王道。お約束。
でもしょせんえせイギリス映画(アメリカ映画ともいう)なんで、さらにお約束のブロマンス等々、プラスアルファのドラマは薄め。
とはいえ、徹底した彼のMっぷりが、長い2時間を飽きずに楽しませてくれたといっても過言でないかも。

そんなマゾネタと、とことん下品な下ネタ・ゲロネタ・・そしてすこしだけオックスフォードネタで楽しんだけど、こういう切り口の笑いが好きでなければ、けっしておすすめはしません(笑)


ルイス警部 第6シリーズ第4話 (通算第24話)

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中高年の虫歯は、痛くなったときは既にヤバいのだと、先週の「ためしてガッテン」でやってたし。
ルイスいわく、20年前に一度治療しかけたきりだとか。痛み止めなんか飲んでる場合じゃないぞ。

イギリス人は歯が悪い、というアメリカン・ジョークがあるけど、これも自虐ジョークの一つなんだろうか・・・・・ケヴィン・ウェイトリーの歯並びの悪さはけっこうなもんである。
それがチャームポイントといってしまえばそうであるし、あの歯並びだからこそこの声なんだろうけど、最近は年のせいか滑舌よくないし・・・ちょっと説得力ありすぎ(笑)。


イメージ 2

マム・・こと、警視正イノセントに呼ばれたルイス。
まるで先生に呼び出された悪たれ3人組である。

昔は真面目だったのに、年とともにクセと自由度を増していくルイス爺・・
ルイスを隠れ蓑に悪ノリしがちなハサウェイ。
で、前々回にも登場した体育会系警部、ピーターソンは、二人を「ボーイズ」扱い。


彼は、ちょっと独善的な態度がカチンとくるけど、真面目だし、ルイスたちの一方的で意味不明な敵意を冷静に受け流すあたりは結構偉いなと思う。(鈍いだけ?)
むしろ、愛しのローラちゃんに粉かけたとか、「犯罪学の講義」に誘ったとか、そんな理由で険悪な態度とるルイスのほうが、ありえないでしょ(笑)。
ルイスの暴走を止めるかのように、先手を打って軽いイヤミを言うハサウェイはほんとにご苦労様である。

もっとも、テムズバレイ署の人間に知れ渡ってるはずのロビーとローラのややこしい関係・・・に気づきもせずに、のうのうと食事に誘っちゃうピーターソンの危機管理能力って、警官としてどうなんだ、とは思う。
「タイプじゃない」の一言で撃沈されても仕方ないのかも。(笑)

ちなみに、「タイプじゃない」っていうのは、もともとルイスのセリフだったと思う。
たしかハサウェイの元カノのフィオナの評価をホブソンに聞かれて、「全然タイプじゃない」と言っていた。
・・タイプとかタイプじゃないとか、そういう相手じゃないでしょ・・とその時は結構笑った気がする。

さて・・
第6シリーズの4話を通じてキーワードになっている、「20年前」という言葉。
その言葉につられて20年前=1992年ごろの「モース」を見直してみたら、むちゃくちゃ面白かった。
ルイス・ゴールデンエイジである。

イメージ 1画像はハットに付けヒゲで警察祭りのMCをする陽気なルイス。
で、このMCが結構上手かったりする。

あと、あえて画像はのせないが、イタリア出張先のホテルでくつろぐルイスの無駄にセクシーな生足・・・とか、2個だけ止めたパジャマのボタンがそそりすぎ、とか。
テクノでノリノリになっちゃうルイスもいたし、ニューカッスル時代に押収した大麻をくすねて試してみた告白というのもあった。もうなんでもアリである。




そしてこちらは30年前のケヴィン・ウェイトリーの出演作。
Auf Wiedersehen pet というシットコム。題名はドイツ語かな?

ドイツで出稼ぎ労働をしているニューカッスル出身の3人組・・の一人、ネヴィル。
荒くれ変人労働者だらけの現場で、比較的繊細な常識人の彼は、「The Office」のマーティン・フリーマンに通ずる愛されキャラであります。
まずは1983年の第一話。ろくに飲みにも行かずに毎日故郷の奥さんに手紙ばかり書いているネヴィルだが、ある日皆とジャケットで決めて飲みに出かけたところ、ハメを外しすぎて・・・・
パブで生演奏されている曲(題名わかんないけど)がいちいち懐かしい!(43分あたりから。)














こちらは20年後、あいかわらずしょーもないおっさん達が再集結したスケッチ。
本編は2002年から2004年まで14作もあるのだが、Youtubeでは拾えず、内容は不明。
2013年には30周年記念イベントもあった模様で、これはYouubeで見られます。
みんな爺ちゃんだあ・・(笑)

ルイス警部 第7 シリーズ1・2話 (第1話)

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このシリーズから45分の二話完結×3 という構成に変更されている。
AXNミステリーでは、二話をまとめて一話にして、これまでどおり90分枠で放送してくれる模様。
今のところ2015年分の制作はなさそうなので、ここからが最後の6話になるのかな~

目の前で殺人が行われて、犯人が逃走している。
60歳間近のルイスとムチ打ちのハサウェイ、いったいどちらが追うべき?

イメージ 2ローラ誘拐事件のときもそうだったけど、ルイスはハサウェイを現場に残して自分が犯人確保に走り出しちゃう習性がある。
長年モースのパシリをしていた習慣なのか?
・・驚くべき腰の軽さは尊敬するが、ハサウェイのほうが効率的なんじゃないのかな・・(笑)

それに、ハサウェイとスカッシュしててぎっくり腰になったことあったよね?
最近毎回走ってるルイスだけど、また腰痛マットレスを買うハメにならないか心配である。

ちなみにルイス史上最高の走りは、1991年のオーストラリア編だと思う。
手の振りがすばらしかった。(笑)

しっかしハサウェイの首のプロテクターは偉い、
あるときは神父のカラーの代わりになり、あるときは殺人犯の毒針から守ってくれる。
誰ひとり彼の姿に突っ込まないのはイギリスらしいのだが、それがかえって笑えるのはなぜなんだろう。


いままで書こうと思ってチャンスがなかったのだが、彼は毎シーズン、3着ほどのスーツと4~5本のネクタイでローテーションしているようである。
その中で、この薄茶グレーのスーツが結構好き。
あんまり若々しい感じではないけれど、普段はグレーの目が透き通った灰グリーンに見えて、やや無防備な感じが漂うのが好きなのだ。
青みの濃いグレーのスーツは、日本ではもう20年くらい見かけない色で、こちらは目がちょっと青く見えてセクシーだと思う。
・・・60過ぎのじいちゃんつかまえて無防備もセクシーもないもんだが。

そうそう、今回初めて気が付いたけど、警察手帳?に使ってる証明写真がすごく古い!
あの髪形は20年くらい前なのでは・・???

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理由はうまく言えないが、今回の犯人は最凶の部類に属するんじゃないだろうか。
娘を亡くした彼女につい同情してノーマークだっただけに、ルイスにとっても痛い結果である。

殺されかけたハサウェイもショックを隠し切れない。
彼は何度殺されかけたかわからないけど、今回ほどの落ち込みは見たことがないかも。
今回のハサウェイはどうせ子守をさせられるんだろう・・と思ってたら、とんでもなかった。

イメージ 1

そして今回のベストシーン。
きゃ~。ビリー~・・じゃなくてニール!
何に出てきてもうさんくさいこの顔が好きよ。

さあ、「Silk」の第3シリーズ以降はいつ放送してくれるんでしょう、AXNミステリー様??

ルイス警部 第7 シリーズ3・4話 (第2話)

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イノセント警視正、至高の顔芸。
今回は視聴者全員がこの顔になったはずである。

イメージ 1
さて、「モース」の最終話の一つ手前、1998年の第32話は、唯一ルイスがお休みしたエピソードで、かわりにモースの若いころを彷彿とさせるような高学歴の若造クンが出てきて、100年以上前の「コールドケース」に挑むんである。

そんなエピソードにかぶせて、今回はハサウェイが休暇を取ってお休みする。
で、「かわりにルイスと組みたい人手あげて~」と募ったところ、一人だけ名乗り出たというのが、新人巡査のグレイくん。

イメージ 2彼、なにがうれしいのかわからないけど、四六時中ニコニコしているし、いいタイミングでリアクションやちょっとした一言をはさんでくれるんである。
まるで昔のルイスみたい。

ルイスは「モースが親切だったら今の自分はない」
といって厳しくしようとするんだけど、グレイくんがあまりににこやかで嫌味がないので、ついつられてニコニコしちゃうんである。


いろんな意味で、完璧すぎるハサウェイとの関係が、ルイスの人生の足かせになってた部分はあるよね。
別にハサウェイが邪魔してる・・とかは言わないけど(笑)

亡くなったモースとかあるいは奥さんとか、わざわざ越えられない壁にこだわって眉間にしわを寄せていたけれど、一旦ハサウェイと離れてグレイくんと仕事をしたことで、モースの亡霊から解放されたというか、肩の力が抜けたというか。
いちいち深刻に考えるより、人の話や経験を生かしてできるだけ近道を行くのがルイスだもんね。
昔のような陽気なジョーディー(ニューカッスル人)の表情が戻ってくるルイスの変化は、見ていてうれしかった。
たとえばこんな一言。

ローラ「私たち、足並みがそろわないわね。(時代遅れね。)」
ルイス「それがいいんだ。」

ハサウェイとの完璧なシンクロとちがって、身長差25センチくらい?なロビーとローラは、どうしても歩きがグダグダになっちゃうんだけど、それがロビーには楽しいんである。


ところで・・・・
グレイくんはそもそもなぜ、ルイスと組みたいと希望したんだろう。
今回、ルイスに助けられて九死に一生を得た若いカップルに、グレイくんはラストシーンでその理由を語る。
これを聞いたら、これまでの25年分のルイスのこととか、モースがどれだけ彼に支えられてたか、ローラが登場してからのこと、もっと過去にさかのぼって、モースがどうして警官になったのか、そんな想像や妄想や記憶がどーっと押し寄せてきて、なんだか泣けてしまった。

「僕の父も16歳のときに突然亡くなった。警察、検視、いろいろあったよ。」
「助けてくれた人がいたの?」
「そう。ある刑事だよ。ジョーディーのね。」
「ふふっ。それが警官になった理由なのね?」
「うん。彼は覚えてないけれど、僕はけっして忘れないよ。」

小さいおうち

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なんといっても、わかりやすい映画だったなと思う。
ちょっと説明的すぎるきらいはあるけど、戦前という時代が必ずしも「悪い時代」ではなかったこと、当時の日本人が戦争に沸いていた感覚、そして戦後の罪悪感を、「不倫」に重ねて語る。
当時の思いを次世代に伝えたいという、監督の意気込みが伝わったし、隠し立てのない率直な描きかたに好感が持てた。

ただ、映画がハッキリ語らなかったことがひとつあったと思う。
それは、おばあちゃん=たき の罪悪感の、本当の理由。

おばあちゃんが出征前の板倉に手紙を渡さなかったのは、もちろん正義感なんかではなくて嫉妬心だと思う。
ただ、誰に嫉妬したのかが、ハッキリ描かれていないのが、この映画の乙なところ。

順当に見れば、おばあちゃんは板倉が好きで、奥様に嫉妬した・・となるだろうけど、それならハッキリ描いてもよさそうなもんである。
私は、奥様ではなく板倉に嫉妬したからだろうと思っている。

グランド・ブダペスト・ホテル

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アカデミー賞の授賞式を見ながら、そういやこの映画見に行ったんだっけ、と思い出した。
技術系の賞を総ナメして作品も俳優も賞取れずというよくあるパターンに納得の作品。

面白いことは面白いんだけど、予告編ほどのリズム感があるわけではなくて、よくあるヨーロッパのコメディー的なゆるさが漂ってたのがちょっと期待外れで。
いろんな俳優さんやいろんな映画のパロディシーンが出てきて、映像も場面によって色彩が違ってキレイで楽しい、そういう部分はいいけれど、じゃあ素直に見て内容すごくよかったっけ?というと、そんなに記憶に残らなかったのね。
同じ監督のボーイスカウト駆け落ち映画「ムーンライズ・キングダム」も見たけど、似たような感じかなあ。


ただ、この映画は、主演のレイフ・ファインズがハマってたのね。
この人、かなりの作品に出てるはずなのに、不思議と記憶に残らないというか、今まで固定したイメージというのが全然ない。
カメレオン役者、っていうの?なんかちがう気がするんだけどね・・

最初に見たのは20年くらい前の「イングリッシュ・ペイシェント」で、青沼静馬のような全身やけどの姿。
でもあのやけどが強烈すぎたせいか、彼の「ふつうの顔のシーン」はほぼ記憶にない。
「レッド・ドラゴン」も、すんごい刺青の後姿ばかり記憶に残っちゃって、顔は・・・あんまり思い出せない。
思い出せるのは、わりと男前なのに、「自分は醜い」と思いつめてる様子が病的だったことくらい(笑)
ほかの映画にいたっては、どこに彼が出ていたんだろう?という感じ。
設定や特殊メイクが強烈すぎるのか、それとも彼自身の個性が薄すぎるのか・・

でも、この映画は顔がちゃんと思い出せるし、なんだか彼の個性の一端を見たような気がしたのね。
もっとも、あやしいちょびヒゲと制服でコスプレしてなかったら記憶に残らなかったとは思うけど(笑)
というわけで、もう一回くらいこの映画見たら、ムッシュ・グスタヴ・H が、私にとってレイフ・ファインズの標準仕様になるかもしれない。
でも今のところはまだ、全身やけどのイングリッシュ・ペイシェントかな。もうあれはトラウマですって。

いずれテレビで放送すると思うので、もういちど見てみようかな、と思ってます。
なお、イングリッシュ・ペイシェントはHuluで見られるので、こちらもまたそのうちに。

ルイス警部 第7 シリーズ5・6話(第3話)

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イメージ 3

さんきゅー ろびー (涙)


このハサウェイの面構え。
ああ、立派になりましたなあ。
でも、ルイスと一緒に自分も警察を退くと言うんである。



「無駄になったと思っていませんか?上司として僕を育て上げてくれて・・。感謝してるんです。」
「無駄なもんか。楽しかったよ。」

このハチ公ばりに忠実なハサウェイを思えば、「あなたが引退しないから昇進できない」くらいのことをモースに吐き捨てた昔のルイスは鬼だったな。

シンプルな会話、何事もなく暮れていく夕方の景色。
あまりにふつうで、あまりにあっさりとした引退は、ルイスらしいっちゃあルイスらしい。
みんなに惜しまれて、でも祝福もされて、ものすごく寂しいのに「おつかれさま」としか言えないこの気持ちはいったいなんだろう。


イメージ 2ところで今回のルイスの目、照明がばっちり入っててキラっキラである。

とくに前半の、青いタオル売り場で買い物をしてるシーンの目は青くてカワイかった。
・・けどやっぱり一番好きなのは、このシーンみたいなグリーンっぽいグレーの目だな・・。



イメージ 1

ルイスの目といえば、91年の「モース」25話、ラスト3分前のカメラ目線。

どっちかというとコミカルだったルイスを、メランコリーでセクシーに撮っちゃった監督は、今や大出世した若き日のダニー・ボイルであります。
さすが大物監督は目の付け所が違うね。(笑)

今の「ルイス」のキャラの原点はこの映像だと思う。

そして、この目もグリーンがかったグレー。
やっぱこの色だよね~


話はかわって・・・
チキンの焼き具合をハサウェイに教わり、クッションも洗面道具も新調し、無事ローラちゃんを自宅に泊めたルイス、翌日は2人でルンルンのご出勤。
ローラが来る直前まで、不安でハサウェイに頼り切ってたルイス。
ハサウェイもここまで尽くしたルイスに皮肉のひとつくらい言いたいだろうに、ちょっと出過ぎたことを言うと、すかさずローラに制止されて、ちょっとかわいそうな立場ではある。
それにしても、拮抗するローラとハサウェイを前に、腰をかがめてなんとか丸く収めるルイスの手綱さばきはさすがだと思う(笑)。

ところで、次のルイスのセリフは、ちょっとノロけすぎだと思うんである。

「こんな関係になるとは思わなかった」

ルイスのいびきを、奥さんはいびきと言わずに「鼻鳴り」みたいな言い方をしていたらしい。
それで長年、ルイスは自分がいびきかきだと気づかなかったわけである。(ニブすぎ。)
しかしローラにそれとなく指摘されて、この年になって初めてルイスは自分のいびきに気づいたし、同時に、「ヴァル(奥さん)は自分を気遣ってくれてたんだな」ということにも気づいたのだ。
そこでこのセリフである。

「It's strange , you know? After all these years.」
「思いもよらなかったな、今になって。」

ここでルイスが言ってるのは、ローラと付き合ってること自体よりも、そのおかげで、亡くなって10年も経った奥さんの新しい記憶が今になって追加されたというめぐりあわせのことだと思う。
だからハサウェイが、「いい意味でですか?」とたずねているのだ。
ズバリとノロけるルイスも悪くないが、私はこういう一癖ある言い方でこそっとノロけるルイスが好きだ。
退職を引き留めるイノセント警視正を説得するルイスのセリフもケッサクである。

「No, I love my kids. I love my grandson. ・・I quite like Laura.・・But it'd be nice to spend some time with them.」
「いや、私が愛しているのは(死体じゃなくて)子供たちです。孫です。ローラのことはまあ気に入ってます。・・が、もっと彼らと過ごせたらいいのにと思うんです。」


最後に、検視結果を報告するローラのセリフやしぐさに笑いが止まらないルイスについて。

イメージ 4

ローラちゃんの検視シーンは、時にきわどいダブルミーニングが隠れてたり、しぐさが意味深だったりして、視聴者のちょっとした楽しみだった。

ルイスもそれに気づいてこそっと反応することはあったけど、微妙すぎる関係だけにローラに直接ツッコみいれたりはできなかったのだ。
でも今となっては公認の仲である。
スルーできずに笑ってしまった素直なルイス、ちょっとかわいい。

まあ、それはいいとして、ロビー&ローラ恒例の死体ジョークは、ハサウェイとの関係も匂わせて、なかなか乙な仕上がりでございます。

「ちょっとやりにくくないか?君とぼくと・・(この死体)・・・・。」
「よくわからないけど、私たちが盛り上がってる最中に惨殺死体が参加してきちゃったことを言ってるのかしら?」
「そういうことだよ。それってノーマルじゃないだろ?」

・・アブノーマルでもよろしくてよ(笑)。
ともかくお幸せにね~ (^_^)/~
 

ルイス警部 第8 シリーズ1・2 (第1話)

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ハサウェイめっちゃ嫌われてるぞ!

「警部が辞めて自分が残るっていうのは違うと思うんです」
と、ハサウェイは前回言っていたが、まさかモースじゃあるまいし・・とそのときは思った。

人格的には、ハサウェイよりもよっぽど、中年ルイスのほうがヤバかったと思うし。
彼は当初から気の利くいい子ちゃんだったという思いしかないし。

なのに、警部になった途端に無茶苦茶怖いってどういうこと?
前のサージェントは2週間でギブアップしたですと?
そんなお前に誰がした。・・・・・・・・・ルイスか・・・。

ただ、試験に何年もかかった誰かさんと違って、あまりにあっさり昇進してるのには笑った。
こんなことなら、今までにも機会はいくらでもあったはず。
・・・ルイス恋しさのあまり昇進を逃していたとしか思えない。

さて、退職後、どうやらローラちゃんちに移住したらしいロビー、どうやって事件に関わってくるのか・・
安楽椅子探偵か?とも思ったが、結果は予想どおり、「退職刑事の事件簿」である。
嘱託のくせに最前線で働いてしまうロビーにローラはおかんむりだが、だっさいチェックの服でいちゃつく主夫ルイスばかり見るのもかなり残念なので、これでいいんである。
ローラの愛も深かろうが、イノセント警視正のルイス愛は海よりも深いと思う今日このごろ。

白眉は、ルイス警部再登場のシーンだと思う。
窓の外を見ていたハサウェイが一瞬、怪訝な顔をして、次の瞬間、無表情のままふらりとドアに吸い寄せられていくのだけど、そのときクラリネットが、暗いBGMの上から、静かにゆっくり「ルイスのテーマ」を演奏するのだ。
この場面は、ふっとあたたかい風が吹いてきたような感じがして、ほんとうにドキドキした。

外には、スーツで決めて、でもやや恥ずかしそうな目使いがチャーミングなルイス。
彼を見つけたハサウェイの眩しそうな顔と、それを見てちょっと自信ありげになるルイスの相乗効果。
復活してくれてほんとにうれしいよ~。

ハサウェイをぼろくそ言っていたマドックスだが、ルイスとの会話や関係を通して、彼の人柄を見直した感じなのもよかった。
ちなみにルイスとハサウェイは今回の仕事を、こんな皮肉っぽい仲良し親子の会話で締めくくっている。

「警部と一緒に仕事をするのは冷や汗ものでしたよ。まったく。」
「だろうな。」
「でも老後のあなたが外に出かける口実になるっていうなら、もう少し我慢してもいいですよ。」
「ああ、ジェームス、どうもご親切に。ほんとにありがたいよ。」


細かく気になったこと
○ハサウェイの長靴・・・刑事が長靴って(しかも緑の思いっきり長いやつ)・・履くとしたらヴェラくらいだろう。
○線条痕の確認のための発射にゼラチンを使う。「昔は水槽で発射していた」・・そうか、「CSI」でやってたアレは、もう昔の話なのか。ゼラチンは高いって言ってたよな・・
○パンツでプールに潜って銃弾を拾ったハサウェイは、やっぱりパンツなしで帰ったのだろうな。
○ルイス爺、弟子に厳しく孫弟子にはやさしい。
○なんでいきなりカヌーかと思ったら、ボート青年(かつ泳げる)ハサウェイをあてにしてたのか。

今日のひとこと
Once a copper, always a copper. 警官は一生警官

辞めると言っていたハサウェイが昇進して戻ったのを祝して、ローラが言ったセリフ。
そして、ルイスが復帰したと知って唖然とするローラにハサウェイが言ったセリフ。

この言い回しが一般的かどうかはよくわからない。
ただ、「Silk」でも同じセリフを使っていたのが記憶に残っている。
元警官の弁護士ダニエルを警戒して、「デカは足を洗えないからな。」みたいな感じで。
ダニエルとは、何をかくそう「新米刑事モース」のショーン・エヴァンスくんである。

ルイス警部 第8 シリーズ 3・4 (第2話)

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マドックスに「お笑いコンビ」と言われたルイス&ハサウェイ。
イノセント警視正が使うという「もっとひどい呼び名」って、いったい何?


フィリッパ・ガーウッド教授。
誰かと思ったら、「ルイス」の上を行くイライラ中高年カップルドラマ、「主任警部アラン・バンクス」の肉食系女刑事アニーではないか。
「よく我慢できると思うでしょ・・・理解されないかもしれないけど、夫は私を一番だと思わせてくれた。ほかの女はただの浮気だと。」「私以外の誰かが妊娠したってことね。」
それはそのままバンクスのセリフとしてあなたにお返しするわ。DS・アニー・カボットちゃん。(笑)

そして、フィリッパの妹のジェニーは、「Silk」に登場したウザキャラ系レイプ被害者、アニー。
フィリッパの夫、フェリックス・ガーウッドは、そのレイプ犯(無罪になったけど。)

すごい布陣。

ハサウェイってば、フィリッパ教授と超お似合い。
しかもかなりいい感じだったけど、口説かないのね。
でも、ハサウェイの態度は惚れたというよりも・・彼女との関係に、自分とルイス、またはマドックスとの関係改善の糸口を見出そうとしてるような感じもする。
それから、浮気な夫を拘束せずにうまくやってる彼女の結婚観にも共感しているみたいだし。

実際、ルイスとローラ、ハサウェイとマドックスの関係が、ちょっとややこしくなってるよね。
ロビーとローラはちょっと目をはなすといちゃつくし!
ハサウェイはいちいち、「ロビー!」と呼んでけじめをつけさせようとするが、この老人と自由人は既にそういう次元で生きてない(笑)。

マドックスとハサウェイの二人も、あいかわらずギクシャクする。
今回のエピでちょっと思ったんだけど、ハサウェイってやや恋愛体質っていうか、誤解されたり恋愛感情を起こしたりせずに、若い既婚女性と打ち解ける自信がないのかも?
かといってマドックスの相手をルイスに任せたらローラに恨まれるし・・残業も悩みも尽きないな。ハサウェイ。

その点、マドックスはかなりうまくやってると思う。ローラちゃんへのフォローも完璧(笑)
いきなり上司が3人できたようなものだが、よくまあこのクセモノたちの間を立ち回ってるなあ。えらい。


今回気になったセリフ。
1994年からフラックスモア教授の助手として働いている女性にルイスが尋ねた質問。
「いつから彼を愛しているんですか?」
いつでもいいだろがっ(笑)


けっきょく、ローラも案外昔から自分に惚れてたかも~ってことが言いたいんでしょ!
そんなに気になるなら直接ローラに聞け!ロビー!!

イメージ 1参考までに、2000年、唯一の二人のツーショット。
このシーンはちょっと若作りで微妙だけど、3年ぶりに復活したルイスは年相応に老けていてカッコよかった。・・と私は思う。

彼は昇進試験に合格し、モースが引退しさえすれば晴れて警部になれるのである。
「もうすぐね」
それまでモースの部下としてしか話さなかったが、ここにきてはじめて、対等な立場でルイスに話しかけるホブソン。
「モース」時代、二人の会話らしい会話は、このとき限りである。

モースに対しては常に強烈なテンションで爆弾を投下しつづけていた彼女、モースがその場からいなくなると、突然ふつうに話をはじめるのだ。
・・・ルイスはいい人だけど対象外ってことだよね~(笑)

この回じゃないけど、モースが「どうして彼女はあんなもの言いをするんだろう」と首をかしげるシーンがあって、ルイスはちょっとニヤっとするんだが、それは彼女がモースに気があるとわかってたからだ。
ホブソンは第31話でパブにモースを誘ったけれど、断られてしまってそれっきり。

しかし6年後の「ルイス」シリーズになると、ホブソンは「ずいぶん派手なシャツね。」と言ってルイスをお出迎え。
だから、このときには、少なくとも対象の一人には昇格してたわけね。
ハサウェイは、ルイスが既婚の頃から何かしらの気持ちがあったのではと疑ってそうだけど、だったらどうだと言うんだ。(笑)
だれだって、目移りするさ。気になる人に出会うことも多々あるさ。
でも人の気持ちは拘束(ヒルガオ=baindweed )できないのだし、ほとんどの場合、なんとかうまく回ってると思うのだが、それを日本的な夫婦関係(イタドリ=Japanese knotweed)と言ってるのですかね?ハサウェイさん。

ああ、イタドリの煮物が食べたい。
もう10年くらい食べてないのだが、どこかに群生してないだろうか。・・オックスフォード以外で。


「緊急の必要ほど強いものはない。」
ハサウェイが最後に言うエウリピデスの引用?は、いまひとつ真意がわからないけど・・
ルイスは「私にそれを言うなよ。エウリピデス。必ずしもそうではないと思うよ。」と答える。

なんとなく、だけど。
「必要なことをすれば結果が出る」みたいな意味なのかな?
でも結果のためとか必要だからというよりは、その場その場で最善を尽くして、回り回って積み重ねたものが今のルイスの財産、という感じがする。
「モース」時代のローラへの親切だって、べつに下心あった思えないしさ(え?違う?)
マドックスに対して親切なのも、別に彼女に気があるわけではないよな。(と思いたい。)
たぶんそういうことを言ってるんだよね?このシーンは。
じつのところ、よくわからなかったんだけど(笑)

最後にハサウェイはどうしたんだろう。ルイスたちと仲良くピザを食べることにしたんだろうか?

ルイス警部 第8 シリーズ 5 ・6 (第3話)

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「ローエングリン」より第三幕 (前奏曲~結婚行進曲~)

イメージ 1グレアム・ローリーが獄中で聞いている「第三幕への前奏曲」は、ブラバンなら一度は演奏する。血が騒ぐぞ。

「パパパパ~ン」っていうトロンボーンの音がキレっキレなこの演奏は、ラファエル・クーベリック指揮・バイエルン放送交響楽団・1971年。
ローリーが聞いていたのがこの演奏かは確信が持てないけど、前シーズン、ローラが泊まりに来る前にルイスがニヤニヤ眺めていた、モースの「聞いてみろ」っていうメッセージ入りレコードがこれである。

私、「ローエングリン」を通して聞いたことなかったので、「第三幕への前奏曲」のあとに有名な「結婚行進曲」が続いているとは知らなんだ。なかなか意味深な選曲。

モースの助言に従ってさらに「聞いてみる」と、チャイコフスキーの「白鳥の湖」の白鳥のテーマみたいなのもちょいちょい出てくる。(この動画では19:17あたり。)もちろん、チャイコフスキーのほうがパクったんだろうけど。
ちょっと前に見た映画「ルードヴィヒ」は、映画としてはよくわからなかったが、「ローエングリン」の主人公が白鳥の騎士だということと、ワーグナーのパトロンだったルードヴィヒ王が「ローエングリン」オタクのゲイだということはよくわかったっけな。

あと、どうでもいいけど、うちの母はこの「結婚行進曲」を「高砂や~高砂や~ この浦船に帆をあげて~」っていう歌詞でよく歌っていた。


さて、話を戻して・・
ルイスが警部になりたてだった2001年(13年前)に担当した「グレアム・ローリー事件」。
今になって当時のDNA検査のミスが発覚し、ルイスが確信をもって逮捕したローリーが釈放されてしまうかも・・というのが、今回の事件の発端。

彼が服役した「13年」は、ルイスが警部になってからこれまでの時間と重なる。
それに、モースの部下として働いたのも、1987年から2000年までの13年間だった。
ルイスの奥さんが亡くなったのは事件の翌年の2002年なので、ひょっとして彼女の事故はローリーの報復なのではないか、今度はローラが狙われるんじゃないか、という疑念も湧くわけである。
ローラのまわりをウロウロして「休みをとって旅行に行こう」というルイスの動揺っぷり。

ところで、獄中でローエングリンを聞いているグレアム・ローリー。
最初はモースっぽい人物なのかと思うんだけど、だんだん話を聞くうちに、13年間モースのもとで苦労したルイスの境遇に重なってくるのがミソである。
(入口でローリーを見守る看護師の忠実さも、ややハサウェイじみている。)
それに、ローリーの釈放直前にパメラが「もうすぐね」というシーンからは、前回の感想で書いた2000年のローラとルイスのシーン「彼はもうすぐ引退ね」が連想される。
となれば、ローラちゃんがルイスを待っていた期間も13年くらいだったのかもしれない、と、つい思ってしまうわけである。(最初の2年ほど、ルイスは既婚であるが。)
そんな妄想を助長するのがこのセリフである。

「2000年8月・・彼女(パメラ)と彼(ローリー)は、もっと前からだったんだ!」

・・・・これ以上、ルイスの過去をいじくり回すのやめましょうよ。(笑)

さらにとどめのパメラの供述。
ローラちゃんがいつも着てる白い全身着ぐるみスーツを着て、こんなこと言うのである。

「彼はとてもハンサムだった。だから好意を見せてくれて驚いた。
私たちはだんだん恋に落ちていった。もちろん彼が結婚している間は隠しとおしたけれど、新しい生活をはじめようと彼は言ったわ。」

いろいろ妄想してしまうじゃないのよっ


さて、これでひとまず「ルイス」もおしまい。
次回は2016年、本国で放送予定とのこと。
ちょっとゆるゆるではあるけれど、またルイスが帰ってくるのを楽しみにしています~

で、ずっと、言いたくて忘れていたことをひとつ。
ルイスの腕時計って、いつも文字盤が手首の内側だよね~。
時間を確認するたびに、手首の内側をごにょごにょといじくるのが、超かわいいと思う。
これはモース時代からずっと変わらない・・・しかも革ベルト派だ。
本人の確固たる意志でそうしているのか、たまたまそうなっちゃうだけなのか。
どっちにしても、文字盤内側って、近頃は女性でもあんまり見かけないので貴重だな、と思う・・・

イミテーション・ゲーム

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面白かった。
以下、ネタバレ含むのでお気をつけて。

スパイ映画っぽい部分と、戦争映画(アクションとかそういう意味じゃなくて)っぽい部分と、サスペンスっぽいところと、そして一風変わった恋愛要素。

窃盗の通報でマンチェスター警察がチューリング宅に出動するっていう、なんだか唐突な冒頭シーンから、犯罪ドラマ好きの私は興味を引かれる。
丸顔がキュートなノック刑事(警部かも。)は、どっかで見たことがあるが思い出せず。

現代=1950年代 戦時中=1940年ごろ 子供時代=1920年代を、かなり頻繁に行き来する映画なんだけど、見ていて全然混乱しなかった。
3つの時代の空気感みたいなものがうまく映像化されているからかな。
ストーリーが綺麗に整理されているからかな。
たいていの映画は、こうはいかなくて、頭が混乱しちゃうんだけど。

俳優陣は、なんといってもベネディクト・カンバーバッチの一人勝ちって感じ。
彼はシャーロックとか、スタートレックとかの現代もの?はいいんだけど、時代モノの髪をなでつけた役柄だと、凸凹したキテレツな顔(失礼だがそうとしか言いようがない。)が全然合わないような気がしてたんだ。

ところがどっこい、この映画では、「髪をなでつけた時代モノのインテリ」っていう地雷的な役柄なのにうまく溶け込んでいた。
ひょっとすると、時代や髪形が問題なんじゃなく、ふたクセ、三クセくらいある変人か超人役じゃないとバランスとれないだけなのかもしれない。
それも、ポスターとかの静止画ではイマイチな感じ。
映画の中で動きだしてはじめて、血が通って見えるところは良し悪しか。
少年時代のシーン以外、1時間半ちかく出ずっぱりだけど、少しも見飽きることがないのはすごいと思った。30代もどんづまり、これからがいいところよね。

キーラ・ナイトレイは、華やかな顔だけど、演技はぐっと抑えがきいた感じで良かった。
あと、メンジス(だったかな?)役の人がひときわ眼光鋭くてノワールにカッコよい。彼は「裏切りのサーカス」にも出ていたな。
同僚のヒュー役の人はお目々キラキラのMr.セクシー。「高慢と偏見そして殺人」に出ていたときは面白くもない美男子だと思ったけれど、(そしてドラマも面白くなかったけど、)今回はよい意味で顔がアンバランスに見えて、つい視線がいっちゃう感じだった。

そして「ダウントン・アビー」のトム!ことアレン・リーチ。
やっぱり共産党員はお前か。

「ダウントン」の視聴者は、結構早いうちから勘付いたよね。
彼はほんとにかわいい。(実はかなり好き。)ちょっと小賢しい感じがまた魅力的だけど、演技らしい演技というのをまだ見たことがないような気がする。

あと、これがゲイ映画(っていう表現が正しいかどうかはわかんないけど。)という前情報を得ていた私としては、一体誰がチューリングのお目当てなのか?っていうのも気にしながら見ていた。
「クリストファー」は別として、彼は最初からヒューのことをなんとなく意識してるよね。
意識しつつも、彼が女好きなので、感情に拍車をかけないよう気を付けているのがまたいいのだ。
暗号が解けた瞬間、ほかのメンバーとはハグってたのに、ヒューとは目線を合わせただけってのがセクシーだった。ヒューもわかってたのね。

戦争に関わる部分については、アメリカに対するイギリスの屈折した歴史観が垣間見えておもしろかった。
アメリカ人は「自分たちが戦争を早く終わらせてやった」って思ってるだろう・・・と、たぶんイギリス人は思っているんだろうな。
イギリスは国土を爆撃されながら身を切ってアメリカの輸送船を助け、最小限の武力で戦争を早く終わらせた。アメリカは敵国の民間人を大量殺戮しては「戦争を早く終わらせる」というが、それって21世紀の価値観では通用しないし、今からでも遅くないから、そろ方向転換したほうがいいと思うよ~と。

METライブビューイング コジ・ファン・トゥッテ

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WOWOW放送にて。これは面白かった。
とくに動画の16秒あたりからの沈黙が最高!!

あらすじはいまさらだけど・・・
「おれの彼女は浮気なんかしないさ!」と豪語する二人の若者に、おせっかい中年アルフォンソが「絶対浮気しない女なんていない。賭けてもいい。」と、賭けをもちかける。
で、二人は戦争に行ったふりをして外国人に変装し、相手をとっかえて、彼女たちが落ちるかどうかの浮気実験を行うという話。

でまあ、あの手この手で誘惑するもんだから、彼女たちは落ちてしまうわけだけど。
婚約者に戦死されたら自分がオールドミスになってしまう(財産のないオールドミスは悲惨らしい。)という現実的な問題もあるから、けっこう切実なんだろうな。
とくに女二人のうち、ドラベッラは割り切った人物で、浮気するにも元のカップルに戻るにも、それほどの悩みはなくて、アルフォンソの歌にあるように「幸せな人」の代表格という感じである。
ちなみに私は、この演出の彼女がかなり好きだ。
ドラベッラをだらしない女にする演出もあるが、この演出の彼女は理性的で、自分をよく知り、コントロールできる大人の女性である。
今後、婚約者のグリエルモに対して誠実でありつづける保障はないが、それでも彼女は、彼とうまくやっていくために誠実であろうと努力すると思う。

問題は、もう一人のフィオルディリージ。一見真面目で、絶対に浮気なんてありえないと公言するんだが、まったく、いちばん危険なのが、こういう手あいだわよ。
自覚もないままフェルランドに本気になってしまって、気づけばとりかえしのつかないことになっているし。
彼もそんなフィオルディリージに心動かされて深入りしてしまう。

でも、危うい人物のほうが、見ているほうは面白いよね。
最初はオペラ・セリアみたいなガチガチのアリアで虚勢を張っていたフィオルディリージが陥落していく過程は、音楽的にも小気味よいし、「さあ、大人の世界へようこそ」って感じで大盛り上がり。
で、このソプラノのスザンナ・フィリップスと、テノールのマシュー・ポレンザーニがすごくよかった!
素直な美しい声だし、とくにスザンナは若々しい無垢な演技がほんとにかわいらしかった。
フェルランドのコートを羽織るシーンや、彼に陥落させられる二重唱は、嘘でかためた物語の中で、理屈抜きで真実みがあったし、ラストの苦い別れのシーンの、未練と毅然とした思いのいりまじった様子もドキドキする。
ちょっと残念だったのは、フェルランドのコートがクタクタすぎて、男ものの服という印象が全くなかったこと。
もうちょっとパリっとしたカッコいい服で、もっとドキドキさせてほしかったな(笑)

二人は、真実を見てしまったがゆえに、この先連れ合いにも友人にも嘘という爆弾を抱えていくわけだけど、それもまた楽し、ではないの。

「物事の良い面を見られる人は幸せだ。騒動や事件に巻き込まれても、理性があればうまくいく。他人が泣くようなことにも笑の種はみつかるもの。激動の世の中でも、前向きな人は、どんなときも落ち着いて過ごすことができるだろう。」
魅力的なフレーズとはいえないけど、妙に納得できる自分がいる。

ともかく、「絶対」とか「誠実」なんてことをぬけぬけと言うやつは信用できんということ。
信じたほうにも責任はある。「さあ、賢くなれ。」っていうお話だわね。
フランス革命前年の作品、ってことを思うと、なおさら真実味を感じるかも。

国別対抗戦が面白すぎた件

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パパダキス・シゼロン組 フリープログラム モーツアルトピアノ協奏曲23番

動画は世界選手権のですが。
このパパダキス&シゼロン組をたまたま見かけて、完全に打ちのめされてしまった。

だって、スケート見てる感ゼロなんだもん。
コンテンポラリー風・・というより、まんまコンテンポラリーダンスなんだもん。
冒頭の一瞬からもう、パリオペラ座のガラ公演ですってば。
鮮烈さといい、色彩感といい、さすがフランス!
音楽も素晴らしいし、これは別格というか別モノですね~
いやあ、美しい!

モーツアルトの協奏曲だけど、私は勝手にギリシャ悲劇を題材にしたフランスオペラを妄想しながら見ておりますよ。演奏は誰だろう~
ガブリエルさんの顔がほぼギリシャ彫刻なのも良し。(笑)

そして蛇足ながら、コーチ(男)まで美しい。バレエダンサーみたいにしゅっと整った姿勢に、襟にサテンのついた黒スーツ(SP時)の、ロマン・アグノエル!!!
あまりの美しさ、セクシーさに録画を何度も巻き戻してガン見したわよ。
FSの振付も彼の仕事とのこと。ああ、フランスの底力だな。美意識が斜め上・・・(悶絶)。

彼をめ、フランスチームはみんな個性的で表現者で・・・前のめりすぎて残念な結果になった男子シングルのアモディオの心意気も含めて、ほんとに魅力的なメンバーだった。
国別順位は下かもしれないけど、一番讃えたいチームだな~。チームフランス。

それにしてもこの国別、アイスダンスが驚異的に面白かった。
ウィーバー・ポジェ組の「四季(ヴィヴァルディ)」・・も、涙が出るくらい感動した。
エレガントで文学的で、なにより選手の技量がものすごく引き立つ振付だった。
ただパパダキス組の凄かったのは、選手の技量なんてこれっぽっちも感じさせなかったこと・・。

そして、もうひとつの圧巻・・というより、凄すぎて笑うしかなかったのは、エキシビションにおける羽生選手のガチすぎる「パリの散歩道」。
なぜにエキシビで全力投球・・・・・・(笑)

しかも、たった1年前のオリンピックではまだ背伸びしてる子供感があったのに、今回は余裕の流し目で観客秒殺である。まったく、憎たらしくなるくらいに隙がない。

ちなみにわたくし、彼の「バラード1番」の振付と編曲が好きで、語り出したらたぶん止まんないので、話題にしないよう自重しづつけてきた・・・けど、とにかくすごいと思う。
静かな水面のようなワルツに乗せて、波も立てずに4Tや3Aを飛ぶという挑戦・・
挑戦ってより、もはや職人芸か。
儚さと憧れがあったGPFが一番好きだけど、世選・国別は力強さがあった。もう少し力が抜けて色気が出れば、ショパンさながらにファンが失神する凄プロになると思うのだけど。(笑)
来季も滑って磨き上げてくれたらいいのにと切に思う。

駆込み女と駆出し男

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いきなり本気の邦楽(浄瑠璃とかそんな感じ?よくわからないが。)ではじまるオープニング。
セリフは、まんま「戯作」のように言葉遊びになっていて、七五調、というほどじゃないけどリズムに乗った言い回しになっている。

その感覚がシェイクスピア劇みたいでゾクゾクした。
ところどころ聞き取れないけど、そんなのどうでもよかった。映像見ればわかるし。
こりゃすごい映画だな!と思った。

が・・途中で急に失速し・・・いつのまにかふつうのメロドラマ&コメディーになっていた(笑)


スピードに乗りはじめると面白いんだけどな。
とくに後半の取り調べのシーンとか、いったい何だったんだろう。
ラストのほうの、離縁が成立するくだりは良かった。
泣くほどでもはかったけど、そこそこ感動もあった。

2時間以内で終わってたらな・・・・2時間越えは、よほど内容が詰まってないと疲れちゃうよな。

でも、見てよかったと思う。
シェイクスピアの英語のリズム感や洒落っ気感覚が大好きなので、ああいう感覚の日本映画があったら面白いのに、といつも思っていたから。

そういえば去年、ディカプリオ版「ロミオとジュリエット」が放送されていたので久々に見た。
ジュリエットが、「HOMELAND」で荒ぶりまくる捜査官の人で、驚いた。(笑)

ファンタジー・オン・アイス

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あの国別のエキシビからもう一か月以上たちましたが。
上記アイスショーにて、これまた伝説のエキシビ・・・羽生氏の「Vertigo」が見られると聞き、つい、見てしまった。
うん。まさに「見てしまった」という感じだ・・

15歳のVertigo・・あれはパワー全開で、わけもわからず腰振っちゃって、可愛いじゃありませんか。
でもあの年だからできたんですよ。20歳になったら、こりゃ本気で恥ずかしいに決まっている。

でも、そこをあえて、やらかしてくれるのか?振り切ってくれるのか?新たな境地を切り開くのか?
と、彼のプロ根性に期待はしてみたのだけど、そしてあのほくそ笑みにどれだけのファンが悩殺されたかは想像に難くないけれど・・・
私は悩殺というよりも・・・・・・大ウケしてしまった。まさに悶絶ものである。

しかも、例の腰振りシーンの映像は上半身アップだよ・・。だから腰を映しなさいってば。

そしてインタビュー。
「大人の男の色気が出せればなと」

羽生氏のインタビューはツッコみどころ満載で、私はいちいちツボるのだが、とうとう「男の色気」を語りだした。
そういや投げキスとか「へ」とか、彼なりに小技を投じていたな・・・・
しかし大人の男の色気は振りまくもんじゃなくて、パーソナルな情熱がうっかり表出してしまったときにそう評するのだよ。
・・・・・とりあえずリア充して色気を磨いてください。

演技はむしろ、後半の一曲のほうが良かった。
近年まれに見る謎衣装・・・w からは想像できないスピード感と力強さがあって、素直にいいなと思った。
パリの散歩道2015バージョンで思ったんだけど、最近ビート感が体全体から出るようになってきたような。
ともかく、彼の色気はくそまじめに本気でスケートしてるところにのみ存在する。少なくとも、今のところは。



で、色気といえば、今回何気に白眉だったのは、宇野しょーま君の新SPであります。
ジョニーやらジェフリーやらの、本物の大人のおにーさま方と並んでも、その色気は負けてなかった。

思うに、彼の色気の出どころは、息の長い大胆なフレージングだと思う。
彼は音楽とアンサンブルができるソリスト体質で、低い重心で音の間を縫うように、自在に自分の歌を聞かせられる。チェロ奏者のようなイメージかな。
(ちなみに羽生氏は音楽を視覚化するマエストロ体質ね。)
それが技術的、点数的にどういう意味を持つのか分からないけれど、彼の演技はとにかく凄い。
そしてこれが競技プロだなんて、シニア本格参戦なんて、来シーズンが楽しみすぎる。

来週は静岡公演を放送するんだそうである。ヒマすぎるぞBS朝日・・・って、また見てしまうんだろうな、自分。


ファンタジー・オン・アイス 静岡

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今更になってしまったけど静岡公演の放送を見ました。

ジョニー様の半ケツで目が覚めたオープニング。
そして、織田氏の「リバーダンス」
いやあ、こっちも見てよかった。

幕張のほうの「愛の夢」もかなり好き・・あの振付、凄いよ、凄いよ、と思った。
だけど、彼は白い衣装がね、基本、似合わないと思うの。(笑)
なぜ、よりによって白衣装を二回も着ちゃったかなあ。しかもフリフリとオフショルダー・・

オフショルダーはジョニー様に任せよう。
フリフリで自爆は羽生氏に任せよう。

でも今回の「リバーダンス」は、アイリッシュな緑が超似合ってて、抑え気味のラメがまたセクシーで、思わず二度見するくらいカッコよかった。
アイリッシュダンスのステップもすご~くワクワクしたし。
良かったなあ・・・
やっぱり彼には雑味のある濁った色が似合う!
誰でも似合うってわけじゃないのよ。個性的な顔だちに加えて、一種の貫禄がないと。
そんな財産みたいな個性があるのに、なぜ、白・・・


一番で滑った永井優香さん。
わたし、彼女の演技を今までちゃんと見てなかったのを反省した・・
一見端正な演技だけど、体や手の動きは一瞬も止まらず、エネルギーが持続し続けている。
これってすごいことだと思うんだけど・・・振付師の力?どうなんだろう?
それから、彼女は既に大人体型で、しかもやや大柄で、たとえば宮原さんとかロシアの女の子たちみたいな軽々とした感じじゃないのね。
でも、彼女はその体をポジティブに使って、16歳とは思えない貫禄のある雰囲気を出してました。
思い切りがよいというか、見ていて気持ちのいい演技だなと思った。


織田氏とともに前回と演目を変えてきた羽生氏の「Hello I love you」・・・
ヴァーティゴに続き、またもや若気の至りプログラム・・
共演者は30代のお兄さま・お姉さまばかり。若い永井さん、宇野君も大人らしい演技を披露していたこのアイスショーの中で、彼の突きぬけた中二っぽさ・・・・・・むしろ潔かったな。

「もう照れてないからね!」的に嬉々として繰り出す「へ」、投げキス、ジャケット脱ぎ・・・
そしてとどめのTシャツ脱ぎ。
・・・・・青い。青すぎる。
昭和の青春映画を見るような生々しさに悶え苦しんだのは私だけではないでしょう。(笑)

トニー賞授賞式 「王様と私」「巴里のアメリカ人」

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WOWOWで見たトニー賞授賞式。
賞レースはともかく、パフォーマンスが凄かった!!

中でも、「王様と私」と、「巴里のアメリカ人」
ああ、こんなにスタンダードな、聞きなれたナンバーでこれほど感動するなんて。

どちらも映画では見たことがある・・というか、映画しか見たことがない(笑)
とくに「巴里」は、あんまり印象が残ってない・・。
ところがこの「巴里」のステージの演出が美しいのなんのって。



主人公のフランス人バレリーナの演技が、本気で美しいバレエなんだもの。
対するアメリカ人の男性が、北米っぽいストレートな情熱で(でも、あくまでバレエで。)、美しいものを初めて見ました、っていう感じでからんでくるのがぐっとくる。
ガサツでマッチョなアメリカ人じゃなくて、ちゃんと美しいのも嬉しい。(笑)

とくにリフトに感激!
これでもかっつうポジション替えのしつこさ。
けっこうエロい動きが上品にデフォルメされた、芸術的な振付、どこを切っても美しいシルエット・・
そして熱烈なキスシーン。
これぞ芸術っていうお手本みたいなパフォーマンスでした。
場面転換があざやかなのも面白かったな。


いっぽう、「王様と私」は、「巴里」の対極といっていいかも。


Shall we dance? は2:40ごろから。

あの有名なダンスが始まる瞬間、渡辺謙さんの顔がぐっと近づくと、客席から「キャー」とか「ヒュー」っていう声がかかる。
「巴里」みたいにキスするわけでもなければ、ダンスってったって、ぴょんぴょん踊るだけなのに。
ただちょっと顔が近すぎるってだけの、なんてことのないダンスシーンに、客席大興奮。(笑)
でも声をかけたくなる観客の気持ち、ほんとにわかる。このシーンってばほんとに刺激的なんだもん。
7歳の娘も顔を覆って「きゃっ」って言ってたし。

たぶん「ダンス」って、ヨーロッパ的には、不倫とか性的な衝動とかの隠れ蓑、みたいなとこがあるよね。
舞台芸術としてのダンスとかバレエとか、歌や音楽だって、いきつくところはエロであります。
でも「王様」は妻が何人もいる身だし、性的な衝動が悪いだなんて思ってないし。
彼女が自分に惹かれていることも、本能的にわかっているし、ほんとはダンスなんてする必要ないのね。

でも今は便宜上、ダンスをする。ダンスのポーズを真似て、彼自身の情熱そのものでぐっと引き寄せる。
ダンスはあんなに下手なのに、さすがに人生知り尽くした大人の男、引き寄せるところだけは異様に手馴れてるところがちょっと生々しくて、「いやん」って思っちゃう。(笑)
だからつい「ヒュー」って言っちゃうんだと思うわ・・

謙さんの演技には、ミュージカルらしいこましゃくれ感がなくて、まるで演じてないみたいに直球。
「言わなくてもわかってるよ」とでもいいたげな、ホットな目線にたじろがない女性はいないと思うな。
そうだよ。伝わるなら、ダンスも歌も必要ないんだよ、と、ミュージカルを見ながら思ってしまう不思議。
ああ、本能万歳。(笑)

「巴里」もすごかったけど、こういうプリミティブな感覚っていいな。
いつか映像化されたらいいのになあ。

陰陽師・・そうきたか。

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羽生氏の新フリーの曲は、陰陽師・・て、妙に納得だわ。

いちおう、私の中で陰陽師っつったら、萬斎さんのこのエンディングの舞なんだけど。



これ、晴明と博雅がホームズ&ワトソン的にブロマンスなのがいいのよ。
あからさまに晴明LOVEな博雅の可愛さと、分かっててドSな晴明の一挙一動に萌える。

萬斎の演技って、デフォルメされた「わざとらしさ」がある一方で、抗えないカリスマ性があるのよね。
とくに「陰陽師」での流し目は相当ヤバかった。・・・彼でなければ確実にドン引きする自信がある。
エンディングの舞だって、あのゆるぎないナルシスト感なくして、スローモーションに耐えられなかったと思う。

と、萬斎について書いたけれど、そのまま羽生氏にも置き換えられると、いま気づいた。(笑)
晴明は、たしかに羽生氏以外に考えられん。


昨シーズン、デニス・テンのフリーを見て、日本の選手も和物プロを滑ってくれないかなあ、と切に思っていたところなので、今季の羽生氏の挑戦は、素直にうれしい。

とはいっても、しつこいようだけど、私がいちばん気にしてるのは、「羽生氏の色気発展途上問題」w。
陰陽師っていうテーマがあまりに合いすぎて、今季もまた彼の色気は醸造できないのでは、という、悲しい予感がする。
いや、色気がないとはいわないが、なんか種類が違うのよ・・種類が・・・

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衣装は萬斎の狩衣と同じ色目に、萌黄を挟んでるのが若造らしい。
背中には五芒星の紋・・押さえるとこは押さえてるな。
欲を言えば、もうちょい袂がほしい・・空気抵抗があるからしょうがないんだろうけど。

来週の放送が楽しみだな。

ところで、ショートはバラード続投を期待していいのかな?
そうなったら今度こそ、「バラード1番」の偉大さについて語ってしまうぞ。

ヴァレリー・アファナシェフ ピアノリサイタル

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売り文句は、「ヴァレリー・アファナシェフをファツィオリで聴く」
なにやらまた怪しげな・・・
どんな演奏だろう、と思って聴きにいっててみた。

曲目はベートーヴェンの「悲愴」「月光」(めんどうなので表題で。)
あと、ショパンのポロネーズ5曲

ファツィオリ初めてなんですけど、正直なところ「いい音」、っていう感じはしなかった。
このピアニストが、あんまり「いい音出そう」って思ってない気もするけど。
どっちかというと明るめの音かな。

ファツィオリはともかく、このリサイタルで思ったのは、音っていうのは少し割れ気味に出ても、放物線を描いてもどってくるときには、わりとまとまるらしい、ということかも。
彼は、音の出し方自体はちょっと荒っぽいんだけど、音が空間に飛び出して、どこかで混じって消えていくまで、最後まで行方を追って演奏している感じがする。

ベートーヴェンの2曲は、ピアノソロというよりは、弦楽四重奏の間合いがありました。
四人の、丁々発止のやりとりがあった。
印象的だったのは「悲愴」の2楽章、たいていノスタルジックに弾いちゃったりするこの曲に、彼は「今音楽が作られている瞬間」を聞かせたいという気合いをみなぎらせていたと思う。
過去を振り返るようなところが全くなかった。

ただ、「月光」も含め、四重奏の4人のキャラが立ってるので、いわゆる「溜めがくどい」演奏ではあったかも。
ところどころで音楽の流れに緩急がつくので、あんまり気持ちよく聞き流せる演奏じゃない。
CDだったらイラっとしそうだし、だいいち、あんなに溜めて弾いたら先生に怒られるよ。(笑)

けど、もし「悲愴」1楽章とか、「月光」3楽章を、ポピュラー音楽をやってる中高生に自由に弾かせたら、本能的に、あのくらい溜めるんじゃないかなあ。たぶん。
クラッシック全般にそうかもしれないけど、とくにベートーヴェンあたりはいろいろ決まり事とか理屈とかが多くて、感情的になったりテンポをゆらしたりしすぎると、下品だとかくどいとか理性がないとか、いろいろ言われちゃう。
彼の演奏は、「わかっちゃいるけど、でも、ここは思いっきり溜めたいよね?そうでしょ?」って言ってた気がする。
「そうそう、そこ、溜めたくなるんだよ。」と思いながら聞いた。彼の間合いに、息をのんで合わせながら聞くのは、演奏に参加しているみたいでなんだか楽しかった。

後半はショパンのポロネーズ。
これは私自身弾けないし、演奏にミスタッチが多かったこともあって世界に入りづらかったかも・・(汗)
ただ、一曲目の第一番嬰ハ短調は理屈ぬきで気持ちよかった。
これって歌曲?っていう、ぬめぬめな演奏。ポロネーズどこいった(笑)。

とまあ、そんな感じのリサイタルでした。
そうそう、ポロネーズは5曲続けて演奏、最後は4番で、ラストの音が遠くに消えるまでずーっと引き延ばして、演奏が完全に終わった。
あまりに完全に終わったので、アンコールはいらないな、と思った。実際なかった。(笑)
演奏そのものがどうというより、音楽を通してピアニストと対話できた演奏会でした。

恋や恋なすな恋  和製ミュージカル?ファンタジー映画?

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安倍晴明で思い出した映画がもうひとつ。
1962年 「恋や恋なすな恋」 より 安倍保名の狂いのシーン(大川橋蔵)


美っていうのは、やはりこの世とは違うところにあるんだろうかと思う。

舞踊としての「保名」はいろんな役者さんが踊っているので、芸として見るのならそちらがいいのかもしれない。

ただ、この映画版、大川橋蔵の舞踊シーンには、絶対的な美があるように思うんですよ。

菜の花畑をあらわす黄色の背景に、病んでいることを示す紫の鉢巻の色っぽさ・・
水色の長袴、片袖だけ榊の前の赤い衣を通し・・髪はざんばらの垂れ髪。
すっきりと剃られた月代で、かろうじて成人男性だとわかるけども、それ以外は衣装も振りも、顔かたちも、年齢や性別をはっきり示す要素がないので、人間ですらない、美の化身のようにさえ見える。

橋蔵33歳の美しさと無心の色気・・
これなら狐が惚れこむのも無理はないよ。
その狐女房の子が安倍晴明っていうのがこの話のオチなんですけどね。

「恋や恋なすな恋」
いきなり背景や衣装が変わって舞踊がはじまったり、ドリフのエンディングみたいに舞台装置が大崩壊したりっていう、ミュージカル映画的な演出も魅力的だった。
舞踊シーンはこれだけだった思うけど、ミュージカル映画の世界観を、ただの翻訳・翻案じゃなくて、日本独自の素材で一から作っちゃったこんな映画、ほかにあるんだろうか。

30年近く前に一度だけ、しかも中盤からしか見ていないのだけど、いまだに、これほどのインパクトを受けた日本映画はない。
DVD化されていないのが非常~に残念。
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