Quantcast
Channel: 映画・海外ドラマ 覚え書き
Viewing all articles
Browse latest Browse all 747

NHK杯ふりかえり 羽生氏 バラード1番

$
0
0
NHKの総集編、別アングルだった・・(嬉)

昨シーズン、このプロに打ちのめされて以来、ノーミスする日を待ちこがれてたよ。
スケートでも音楽を演奏できるってことを発見させてくれたプロだから。
美しい演技、感動する演技、惹きつけられるプログラムは昔からたくさんあったけれど、これほど音楽的な演技には出会ったことがなかったと思う。
このプロを見て、ピアノを演奏するときの気持ちが変わったよ。・・・うまくなったわけではないけど。(笑)
ほんとにありがとう!!と言いたい。

冒頭4Sまで
難度が尋常じゃないだけに、これを欠点と言うべきとは思わないけどさ、あえて言おう。4Sの着氷がギリだよね。
4Sに至るまでの振りもちょっと硬い。
ここは、冷たい湖面に木の葉が一枚落ちて、波紋が一筋広がるような静かな情景だと思う。
4Tや3Aで滑ったときはいつも完璧だった個所。
4Sが着氷出来ただけでも凄いってことは分かってるけど、ここは、完璧なジャンプと流れがあって初めて生きてくる表現だと思うんだ。
贅沢だとは思うけど、一度は芸術的なイーグルサンド4Sを見てみたい。
これはもう、欲望に近いな。(笑)

PCSがまだPチャンを抜けてないのも、このジャンプが芸術的印象を下げたからだろうと素人なりに思ってます。
なんて要求の高いプログラム。(笑)


4-3コンビネーションからフライングキャメルスピン
今回一番見応えがあったジャンプ。
4Tの入りや着地の音ハメだけじゃなくて、助走からのエネルギーの高まり、ジャンプの放物線、回転、コンビネーションジャンプの入りと着地に至るまで、音というよりは、「音楽」にぴったり合ってるのね。

こういうのを見ると、彼は音楽を聴いているというより、目で「見て」いるんだろうなと思う。
見えたものをスケートの技を使って表現するのが彼の「表現」で。
その方法が、いちばん多くの観客に伝わるってことをよくわかっている。
クラッシックなんかに、芸術なんかに興味のない人も含めてね。
これはこういう音楽だよね?みんなそう思うよね?と言いながら滑っている。


スピン
コンビネーションを降りてからスピンまで、一瞬も途切れないのが見事だったと思う。
悲劇的な旋律にぐいぐいと乗って、ものすごい加速でスピンに入る。
まるで急流を流されて滝壺に飲みこまれていくみたい。
「テルマエロマエ」で、排水口にぎゅおーーーーっと吸い込まれてタイムスリップする時みたい。(マジで。)

↓ああ、流される・・・の心。
イメージ 1

ともかく、この辺の振付、すごくいいよ。

以前の振付は、冷たい湖や、森や川の流れみたいだった。
比喩的で美しくて、ショパンの故郷のポーランドはきっとこんな場所だろうと思った。
だから、振付を戻すといわれたらそれも大歓迎するけど、今回の振付もすごくいい。

この振付はドラマチックで、羽生氏の個性とつじつまが合っているように思う。
ひょっとすると、バトル先生じゃなくて、羽生氏自身が考えた振りかな??
風景・・というよりは、水の流れそのもの、押し流される人間そのものが見える。
このリアリティ、臨場感、ドラマ性。
このプロは、ドラマチックすぎる彼を「洗練」させる矯正ギプスだったはずなので、そういう意味ではちょっと大衆的だけど、ショパンの音楽と感情をリアルに再生してる。
やっぱりこれは芸術だと思う。しかも、ショパンを知らない人にも、誰にでも伝わる力がある。
このような表現において、羽生氏をしのぐスケーターはいないと思う。ほんとうに。

最後のジャンプ。
今度はイナバウアーからステップ入れての3A。
このあたりは、音には合ってるけど、あまり音楽的でない気がする。
好みからいえば、以前のタイミングのほうが好き。
でも、このジャンプには意志を感じるんだよね。
流されて、滝壺に沈んだ人間の、絶対這い上がってやるという気概。
それに、イナと満点の3Aという組み合わせ・・これは彼の「署名」だよね。きっと。


シットスピン
むしろこれがメインディッシュ・・・と思うくらいの出色の出来。
素晴らしいスピン、何度も巻き戻しました。美しい。

だいたい、一曲のサビともいえるこの部分、しかもテンポが速くなって狂気をおびていく曲調に、ふつう、シットスピン合わせますか?
ジャンプ構成を変更したために起きた、苦肉の策、非常事態だったはずだけど、結果は、コンビネーションジャンプよりもずっと音楽的で、狂気を帯びて、ドラマチックで、美しかった。
回転の速さや腰の高さの変化、手の変化・・・
一瞬もとどまらない、万華鏡みたい。
エキシでも再現してくれてたよね。ほんとに素晴らしかった。

最後のステップはもうおなじみ。
ただ雪崩のように堕ちていく、コーダの音楽そのものでございました。
もう、もう、芸術ですね。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 747

Trending Articles