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Channel: 映画・海外ドラマ 覚え書き
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ナショナル・ギャラリー 英国の至宝

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2014年作品 ワイズマン監督

久々に面白かったドキュメンタリー。
ナショナル・ギャラリーの日常を淡々と切り取って並べただけの映画。

解説スタッフが絵を解説し、修復スタッフが修復し、研究者が研究し、掃除スタッフが掃除する。
そして、管理職たちが美術館を運営する。
ナレーションなし。BGMなし。
でも映像がとびきり美しくて、絵画だけじゃなく、床も壁も天井も階段も、通路の先に見える展示室の奥行も、作業室でさえも、いつまでも眺めていたくなる感じ。

あんまり美術に興味のあるほうじゃないので、この美術館のことはよく知らないけど。
映画から受けた印象は・・・わりと「地味な」作品が多いのかなと。
いや、もっとはっきり言ってしまおう。つまんなそうな絵が多いなと。(笑)

レンブラントだのダヴィンチだのカラバッジョだの、結構すごそうなメンツも中にはいるみたいだけど、どっちかといえば、宗教画だの肖像画だの・・・・つまり、ハズレっぽい作品が多い美術館・・
そんなふうに感じる。

ところが、そのハズレっぽい絵を、解説スタッフがあまりに熱く語るので。
次々とたたみかける解説を聞いているうちに、なんだか面白いんじゃないか、っていう気になってしまう。
じわじわ洗脳されてしまう。
おそるべし。

そして館長。
美術館が低俗に陥ることをものすごく恐れていて、新しいことには否定的な館長。
解説は小難しいし、ジョークは外してるし、なんだか、「The Office」の上司みたいな・・いやそこまで言わないけど、いかにも「知識人」っぽい上からな物言いが鼻につく館長。
でもしばらく観察していくうちに、なんか、いい味出してくるのね・・・
趣味は合わなそうだけど、でも彼もまた絵画に魅せられた熱いスタッフの一人なんだなと。
この美術館になくてはならない存在なんだな・・って思えてくる。

すべてがそんな感じ。
たとえば、館内でのコンサートで演奏されてた、ベートーヴェンのピアノソナタ18番(2楽章)。
・・・どうして・・・32曲もあるソナタの中から、これを選んじゃったかな。(笑)と、最初は思ったけど、この曲をBGMにしながら絵画の映像を見ていると、だんだん面白い音楽に聞こえてくる。

つまりなんですか。
先入観でものを見ちゃいかんと。見方をちょっと変えると、いろんなことが見えてきて面白くなるんだと。
そんな風に感じた映画でありました。

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