今季は、なるべくライスト(または生中継)を見ながら、可能なかぎりリアルタイムで感想をアップしているので、あとで見直したら「印象全然違うじゃん」ってことも、多々ある。
だとしても、初回に感じたインスピレーションには、ある種の「真実」があると思うんです。
そう、白鳥、ですよ。
いやはや、なんというか。
演技全体にみなぎる全力投球感。
ちょいちょい挟んでくるクイックな動き・・
それって白鳥感ですか、でもどっちかっていうとニワトリとかアヒルの動きですよね。
そしてラストの切腹。
刺した瞬間、口から血糊が「ぐぅぇほっ」て出ましたよね。スローモーションで。
切腹ロミオと旧白鳥を混ぜてみた振り付けですかね。
もしかして、本田真凛が5年越しの念願かなってロミジュリ実現、しかも演技に切腹ポーズ入れてるのを見て「本家は俺だから」とついアピールしたくなっちゃったとか・・・。
まあ、勝った試合のエキシビは、彼の場合しょうがないのかもしれないです。
そのくらい、ストイックに練習して我慢を重ねてきたんだろうな、嬉しくてつい発散しちゃうんだろうな、っていうのが伝わりすぎるんで。
だから去年のN杯やGPFの「レクイエム」は、「あれだけの偉業を達成したんだから、今日は彼が言いたいことを受け止めてあげましょ・・・」くらいの母心(上から目線ともいう)で見守ってました。
でも・・今回はもう少し大人になって、「白鳥」に徹してくれるんじゃないかと・・・・淡い期待を抱いてしまった私が悪いのです。
ああ、どうせなら、エキシビ前に「恋ダンス」10回くらいやって発散してからにしてほしかったわ。。
でも・・
今見ると、これはこれでいい演技だな、と思えるんですよ。
初見のときは爆笑ものだったのに、二度・三度と見ているうちに、やっぱり美しいな、と思えてきちゃう。
いったいどういうマジックなんでしょうねえ。
あれはひょっとすると、あの日の羽生氏の生の声といおうか・・
調子が良くて、勝ったことがうれしくて、精一杯頑張ってきたのを認めてほしいと思う彼の気持ちが、テレビを通して伝わったのかもしれない、と感じております。
リアルタイムの映像には、そういうものを伝える力がある気がする。
で、改めて演技について。
上体の動きもキレキレだけど、技もビシバシと気持ちよく決まってましたね。
まず、序盤のツイズルの速さ。
完全に白鳥のスピード感じゃない(笑)。
ここは美的に考えると、もう少しスピード緩めていいんじゃないかと思うけど、凄技を見られるのはスケート好きの喜びだから、まあ許す。
・・・っていうか、このスピードを見せびらかしたかったんだよね?(笑)
ハイドロの出は、カナダ以上に美しかったと思う。
ハイドロしながら上を見上げて、その目線を手先から外さずに、歌の息継ぎに合わせてすうっと立ち上がって、ハイドロのスピードを保ったまま、途切れず三連イーグルにつなぐ。
そのタイミングといい、音楽との同調といい、両腕と目線の使い方といい・・・
今季はハイドロ流行ってるけど、「え?ハイドロ?それともお手付きですか?」みたいな感じも多い中、羽生氏のハイドロは完っ全に別もの。
どうして昨シーズンまで競技に入れていなかったんだろうと、むしろ不思議に思ってしまう。
そしてそして、ディレイドアクセル~トリプルアクセル~ツイズルね。
先日らららクラッシックで黒鳥のパ・ド・ドゥの王子のジャンプを見て、ああ、まさにこのジャンプだよな、と。
きっとバレエ動画いっぱい見て研究しまくったんだろうな・・夜中(明け方)まで。
演技後の挨拶も、このプロのときだけバレエダンサーになりきってるしね。(爆)
このジャンプで面白いのが、織田解説が、「美しいディレイドアクセルですね」「そこから、トリプルアクセル。すごい。」と、わざわざコメント入れてるところw
抜けジャンプじゃなくてディレイドアクセルなんだぞ、そのあとすぐ3Aとか恐ろしい技なんだぞ、ってところをぜひとも伝えなければという使命感がひしひしと伝わる。
織田解説は、その後もこの演技のの美しさや表現力について、言葉を尽くして称えてましたね。
解説の方々って、羽生氏のジャンプの解説で手一杯なのか、またはあんまり表現が好みじゃないのか、または男子選手に「美しさ」を言うのは失礼とでも思っているのか、彼の表現力や美しさを語るのをあまり聞いたことない感じがするので、今回の織田解説にはちょっと驚くと同時に、ストンと落ちるものがありました。
でも、表現についてあまり褒められないのには、羽生氏にも一因はある。
だって、勝ちにこだわってオラオラな演技を、今までに山ほど見せてきたから。(きっぱり)
それにしてもまあ・・・
3Aからのツイズルには撃ち抜かれましたわ。
なんなんですかあれ。
彼の変態3Aコレクションが、またひとつ追加された日。
そしてクレイジーね。
これはほんとに素晴らしかった。
ちゃんとロッケンロールしてましたよ。
ちゃんとお客さんとコミットしてましたよ。・・ミニーマウスっぽい投げキスはいらんけど。
結局プリンスじゃなくて羽生結弦オンステージだったけど・・もうそこは宿命と諦めるから。
フランスではもう、「レベル4」の鬼になるのはやめて、こういう表現を見せてほしいですぅ・・・