評判がよろしいようだったので、昨日品川まで見に行ってしまった・・
見たものは以下のとおり
シアターにて15分のダイジェスト
紅白ダイジェスト
羽生氏平昌バラ1
サカナクション
会場隅の60インチほどのテレビで流された平昌フリー最終3名の演技
ふたたびシアターにて
マイリンスキーバレエ「くるみ割り人形」
ウィーンフィル 第九ダイジェスト
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で、8Kって実際どうよ?という切り口で語らせていただくと
一言でいえば、なまなましい、と思う。
とくに、動きのある映像やライブ音が印象的だったな。
紅白の女性アイドルの映像は、動きはあまりないけれど、虫に食われた足とかほくろとか、その他、いろんなところが、手に取るように生々しくて印象に残った。
それを、「肌の細かいところまで見えちゃって残酷ねえ」
というのは女子目線で、たぶん男性諸君にとってはこれがたまらんのだろうな、と思った。
平昌羽生氏SPもしかりで。
顔のアップで見えるヒゲの剃り残しとか、そういうのを喜ぶ女子はけっこういそうなきがする・・
まあ、ヒゲの有無にかかわらず、羽生氏の演技は、現実みがあった。
羽生氏といえば、いわゆるアニメ感というか妖精感というか、現地で見てさえ現実味がなかったりするのに、この映像で見ると、なんだか現実みがあるのが不思議だった。
実在感、とでもいうのかな。
客席から見てるというより、同じリンクに立って見ているかのような感覚?
選手としてよりも、ひとりの人間として見る感覚があった。
超常現象とか偶然じゃなく、羽生結弦という人間の意思によってひとつひとつの動きが行われているんだということが伝わった。
私たちにもある腕や足を使ってジャンプを跳んでいるんだな、と。
当たり前のことなんだけど。(汗)
でも、筋肉の動きそのものは、羽生氏に関してはほとんど感じなかった・・あとの2人はけっこう感じたんだけど。
黒いパンツだから目立たないというのはあるかもしれない。
でも実際、それほど筋肉を使っていないのかもしれないし、とにかく動きに無駄がないというのをすごく感じた。
何かと何かをつないでいく感覚ではなくて、今あるものがそのまま先へ進んでいく感じ。
エネルギーが持ち越されて蓄積していく感じ。
そのエネルギーが、最後のステップ前で大爆発を起こす、その過程が映像全体から感じられたのがとてもよかった。(公式映像は天井カメラに中断されてそういう流れがなかったから・・)
8Kで見るコンテンツとして、フィギュアはとても面白かったけど、観客の興奮が伝わる、という以外、音響面では、特別効果的というわけではなかったと思う。
一番凄いと思ったのは、マイリンスキーバレエの「くるみ割り人形」だった。
実はこの映像、テレビで見ているんだけど、そのときは全然印象に残らなかった・・。
でも8Kシアターで見たら、やっぱりいいなあ、と思えたから、やはりこれは8Kの力なんだろうと思う。
映像もよかったけど、それより音楽が素晴らしかった。
ピッコロやパーカッションの鋭さが聞こえたし、コントラバスの重みが感じられたし、オーケストラというカタマリじゃなく、一つ一つの楽器の音が、手前のオーケストラピットから聞こえた。
こんなに面白いんだったら、オペラやコンサートのライブビューイング上映をもっと見てみたいな。
そしてダンスの躍動感と、しつこいようだけど筋肉の動きね・・
高難度のパートを踊り終えた女性ダンサーが足を折って挨拶をするとき、スネの筋肉がひきつるようなところ。
男性ダンサーのお尻の躍動。(いやそこばかり見てたわけじゃないのよ。)
フィギュアと違って、バレエは本来そういうものを見せない美意識があると思うのに、この映像だと見えちゃうところが、なんとなくぐっとくる。
しかしね。それでもね。
王子役のダヴィッド・ザレーエフさんだけは違った。
とにかく優雅で美しく、筋肉の動きもほとんど感じない。
物凄く細い足で高いジャンプを軽々と跳び、リフトも何事もないように持ち上げるのに、挨拶では息が乱れる様子もない。
8Kの面白さって、たぶん、どこか完璧じゃない、人間の生々しさを垣間見られるところにあるんだろうと思うけど、それですら見破られることのない完璧な優雅さや技術、というのもあるのだなと思った。
この日見た中では、ザレーエフさんと羽生氏が、その完璧な優雅さと技術を体現する人だった。
本物っていうのはそういうものかもしれないな、と思った。・・・ヒゲはあったけどね!(しつこい)
そしてけっきょく、8Kの面白さはコンテンツの質にかかってるんだろうな。
カメラアングルや、撮影する側の演出・・何を撮るのかという判断や意図も、けっこう重要かもしれないな・・。
なんにせよ、面白い体験でした!