第二話 リアフ城 後編
ここいらでちょっと、初登場した人物たちを紹介。
家政婦兼料理長 フィッツギボンズ夫人
羊のフンの臭いがするマータフとは、親戚筋らしい。
リアリー・・今後長きにわたってウザったらしい小娘・・は、孫にあたる。
料理人としても、家政婦としても、非常に有能と思われる彼女。
薬草の知識もあり、実は治療師として、この時点のクレアよりずっと有能なんじゃないかと私は疑っている。
彼女がクレアのドレスを着付けるシーンは、なかなか興味深かった。
ドレスの構造がわかったおかげで、この先に待ち構えるあんなシーンやこんなシーン・・での着衣の状況がわかりやすい。(笑)
どうせならキルトを着るところも見せてほしかったな。(そしたらあんなシーンやこんなシーンでキルトがいかに万能か・・(以下自粛))
ただし、シーズン後半のどこかに、ジェイミーがキルトを着るチラ映像があった気がする。ほんとにチラだけど。
植物採集の女、ゲイリス・ダンカン
植物への興味とお互いへの好奇心からクレアと意気投合。
・・・しかし、うさんくさい。
若くて綺麗な女性で、このうさんくささだ。
この時点で既に良キャラの予感を漂わせているゲイリス。
ゲール語を通訳したり、この城での身の振り方を教えてくれたりと、クレアにとっては何かとありがたい存在だけど、あまりのうさんくささに、クレアも彼女を信用しきれない。
この緊張感が、またいい。
そもそもこのドラマは、「さあ、一緒にキルト男に萌えよう」っていう情熱を原動力に作られたにきまってる。
情熱の90パーセントが男性キャラ達・・うち70パーセントはジェイミー・・の造形に費やされてるに違いない。
残り10パーセントの女性キャラは・・・薄いか、ウザいか、登場少ないかのどれか。
主人公のクレアでさえ・・彼女の一人称ドラマだから当然だけど、客観的なキャラとしての面白みはあんまりない。
でも、このゲイリス・ダンカンだけは、面白い。キャラが立ってる。キルト男と張れる。
小娘、リアリー・マッケンジー
アメリカドラマ名物、ウザ女。
アメリカドラマの女性はことごとく自己中でウザい、という鉄則は、海外ドラマを見始めた30年以上前からあまり変わってない。
私にとってほぼ唯一の例外は・・「24」のクロエ・オブライエンだ。
ロケーションはイギリス(いちおうスコットランドって言っとく?)だし、キャストもみんなイギリス人(いちおうスコットランド人って言っとく?)だけど、制作陣はアメリカンなこのドラマ、その鉄則は外していない。
正直、主人公のクレアも相当ウザいけど、それはそれ、お約束的シチュエーションに守られていて、それほど嫌味にならないのは主人公の特権というものだろう。
しかし、このリアリー・マッケンジーは・・
登場回数はそれほど多くないのに、桁違いにウザいうえ、好感度もゼロときた。
まあまあ綺麗な女優さんなのに、ぜんぜん美しく見えない、負のオーラ。
さすが、イギリス女優の力量。
さすが、アメリカドラマ。(笑)
さーて、人物も紹介できたところで。
我らがジェイミーを堪能しましょう。
クレア「今日はせいぜい、ムチで打たれたり刺されたりしないよう気を付けることね。」
ジェイミー「そう願うよ。約束はできないけど。」
↓その数時間後。
ムチじゃなく、殴られるのを選んだのは彼なりのユーモアだろうか。
・・でも、殴り役のルパートに、ユーモアのセンスはなかったらしく、ドゥーガルの指示で、わざとケガをした右肩を狙って殴る。(ひでえ。)
この辺のドゥーガルの意図は、正直よくわからん。
その気なら今までにいくらでも機会があっただろうに。
・・まあ、殴られてなお美しいジェイミーを堪能できるのは眼福だけど。
それにしてもなぜ、ジェイミーはリアリーのお仕置きを肩代わりしたのか。
世界中の視聴者は・・そしてクレアも・・この2つの可能性を予測したはず。
① リアリーの罪状である、「ふしだら」の相手がジェイミーだった
② ケガをしたら、またクレアに治療してもらえる♡ という目論見。
ここまでの流れからいって、クレアの治療希望説のほうが説得力はある。
ただ・・残念至極にも、実は若い娘が好きなロリコン野郎・・という可能性も、なくはない。
「なぜ罰を肩代わりしたの?彼女を知ってるの?」
というクレアの問いは、ジェイミーへの挑発だ。
彼がリアリーといい仲なら、それはそれであとくされがなくていいけども。
あわよくば、「あなたに会いたかったから」くらいのセリフが聞けるんじゃないかと、期待してるのだ。内心は。
しかして、ジェイミーが語る、その理由とは。
「女の子が知り合いの前でお仕置きされたら、恥ずかしくて立ち直れないだろ。俺は平気だ。」
つ・・つまらない。
このセクシーきわまりない顔でこんなこと言うなんて、フラグクラッシャーにもほどがある。
・・でも本当にそうだろうか。
彼が殴られているときのあの笑顔。
視聴者はうすうす、もう一つの可能性を疑いはじめている。それは・・・
③ ジェイミー "M”かもしれない説
この可能性についてはまたいずれ、検証されるべきときがきたら語りましょう。
さて、治療が終わったジェイミーとクレアの会話。
このシーンで彼は、視聴者の愛を取り戻したはず。
クレア 「2日後に肩の包帯を取ってね」
ジェイミー「あなたがやってくれたほうが手っ取り早いよ。」
クレア 「そうね。でも行かなきゃ。明日、ピートリーさんと一緒にここを出るの。」
がーーーーん。
ほんの一瞬だけ見せたこの残念そうな表情に、何万人の視聴者が悶死しただろう。
なんだかんだ理由はつけたが、彼はクレアに脱がされたくて殴られたにきまってる。
・・・ここであっさりフラグ回収。
ジェ 「ああ・・そうか・・じゃあ・・・これでお別れかもな。」
クレ 「ええ。」
いい感じに通り過ぎる、一瞬の間。
・・しかし、ここで"ウザ女"リアリーの姿がチラりと見えて、ロマンチックタイムは終了。
(リアリー、早速本領発揮。)
クレ 「だれかがあなたと二人きりで話をしたいみたい。」 (←ちょっとだけイジワル)
ジェ 「ああ。」 (←ちょっと気まずい)
クレ 「じゃあ・・さよなら、ジェイミー。」
ジェ 「無事を祈るよ・・クレア。」
おおおっ。名前呼びキタ~!!!
ジェイミー、最後にふんばったあ。(笑)
今まで、あらゆる機会に力説してきたけれど。
古典ものにおいて、「下の名前」で呼びかけるのは、それなりの意味がある。
たとえば前回の二人はこんな風だった。
「ありがとう。サセナッフ。ほんとうに。」
「いいわ。馬に乗って。・・兵隊さん。」
![イメージ 7]()
クレアは現代にいたとき、スコットランド人に「サセナッフ」って呼ばれるのが屈辱的だとフランクに愚痴ってた。
でも、ジェイミーの言い方は自然で他意がなくて、むしろ敬意というか、礼儀正しい距離感のある親しみがあるんだよね。
彼女はそれを察したから、一瞬迷ったあと、たぶん大戦中に使っていた、「ソルジャー(兵隊さん)」という呼びかけで返す。ある種の敬意をこめて。
今回の名前呼びは、この「サセナッフ」「ソルジャー」の時と対になってるところが萌えポイントで。
今度はクレアが現代の感覚で、自然と「ジェイミー」と呼びかけたのに対して、ジェイミーもあえて、「クレア」って、名前で返す。
この微妙な状況での名前呼びって、ジェイミーにとっては若干カルチャーショックだったと思う。
ことによったら見下されてるみたいだし、誘いをかけてるみたいにも受け取れるし。
でも彼はクレアに他意がないことをちゃんとわかってるんだよね。
だから自分も視線もそらさずに、対等な目線でハッキリ「クレア」って呼ぶ。
てらわない直球なリアクションが、大人の男だね・・憎いね。
でも・・素知らぬ顔で言うんじゃなく、一瞬だけ間をあけて、「あえて」な感じで言うところは、やっぱ可愛い。
たかだか名前を呼んだだけなのに、この異様な盛り上がりだからね。(←いや、一人で盛り上がってるだけ。)
ジェイミーのカリスマティックな破壊力に、クレアも少し動揺する。
・・釣り逃がした魚は大きいわよ。
ちなみにこのシーンのすぐ後、コラムが領主として、彼女を拘束できる立場として、高圧的に「クレア」って呼ぶシーンがある。
脅されて、彼女は「不本意にも」・・・そのまま城に残る。
コラムにはよくよく感謝しないとね。(笑)
さあ、視聴者の期待を背負って、ふたたびジェイミー攻略ルートに戻るのよ、クレア!