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Channel: 映画・海外ドラマ 覚え書き
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GPFふりかえり 男子フリー

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長くなったので男子フリーだけ別にしました。

まさに神・大・会

6分間練習からの盛りあがりったら、NHK杯どころじゃなく、ライストからも尋常でない様子が伝わってきた。
ハビエルには「ピキャー」という悲鳴のような声が。
羽生氏には「うおあああ」という地響きのような声が。

Pチャン
でもって、第一滑走からこのクオリティーですよ。
もうこのメンツなら誰が滑ったってスゴかったと思うんだけど、Pチャンがカナダ大会の神演技を超えるとは、失礼だけど思ってなかったのよ。
ステップレベル4で満点(しかも9人全員満点!)だからねっ・・と、ここでまた絶妙に羽生氏の唯一のほころび(笑)につけこんでくるところもオツである。
しかしまあ、霜降りハイネック衣装から、ヒートテック練習着に変えてしまったのは何かのおまじないでしょうか。

だいす
いろいろ残念ではあったけれど、彼の滑りには心を動かされた。
J-POPがちと苦手なんで、プログラム自体はそんなに好きじゃないんだけど、そういうものを凌駕していたなあ。

ぼーやん
なんだかんだいって4回転4回入れちゃったよ。
3A-1LO-3Sを後半に入れてきたど根性も尊敬するよ。
だけどついつい見慣れちゃってて凄さがピンとこなかった・・ごめんなさい。(汗)
そして表現面もNHKよりパワーアップしてるよ。
2年も修行すれば、技術としての表現はうまくなるに違いないし、PCSもぐっと上がるんではないかい?

しょーま
彼の演技がほんとに好き。

まずなにより、振付師でもある、あのゴージャスなコーチの音楽解釈が凄い。
そして彼自身も、音楽を読み解く、アナリーゼするというプロセスを怠っていないように感じるんだよね。
しかも、その解釈を複雑な動きに乗せて表現できる身体スキルが素晴らしい。
かと思えば、フリーのトゥーランドットでは、あえて緻密にせずに、ただ音楽を音楽のまま、イタリアオペラらしく情熱的に演じきってますよ。
たった一年で、彼から放出される情熱量は三倍くらいに増量した。
今回はクリムキンも長かったような気がするし。
音楽を「演じる」、ということにかけて、たぶん彼の右に出るものは今の時点でいないんじゃないかしら。
もしいるとしたら、絶好調なデニス・テンくらいだ。

昨年の「クロイツェル」は、クラッシック好きの私的には身震いするような神プロだった。
今回のエキシでそれを滑ったのは、大味なオペラだけじゃなく、緻密なピアノ曲も得意ですが。という対ヨーロピアンアピールなのか。
または、ピアノ曲で神演技をしたPチャンと羽生氏に、表現力では負けねえぞという気概を見せたかったのか。
いずれにしても、彼の演技からは静かな頑なさと負けん気を感じるし、そこがまた好きだ。
演技が終わった瞬間に、余韻もへったくれもなくすっと素に戻るあっけなさも、案外好き。

そして表彰台のしょーま君・・・どうした!なにが起きた!なぜ羽生と腕を組みたがる!!
しょーまは表彰台というと必ず何かやらかしてくれる印象で、目が離せない。
今回は彼の日の丸すらおかしい。マルの大きさが怪しい。バチもんくさい。
・・・それにしてもウケすぎですぜ、羽生さん。声が聞こえそうな君が代熱唱いただきました。

↓問題の個所は7分40秒あたりから。後ろからのアングルが欲しい。(笑)


ハビ
彼はすんごい技術を持ってる。ということを、今季初めて思い知った。
細かいところまで技をきかせてるし、ステップからいきなり跳ぶジャンプもすごい。
たぶん今までも凄かったんだけど、それがビシっと決まるような、総合的にクオリティーの高い演技が、あまり出来なくて、ちょいちょい演技が途切れては現実に戻る瞬間が多かった印象がある。

しかし今年のハビは気合いが違う。根性が違う。
世界王者のタイトルは、いってみれば棚ボタ・・だと、たぶん御本人みずからそう思っただろうし、そう思われていることを感じて悔しく思うこともあっただろうと思う。
でもそのおかげで、彼は本当に強くなったのかもしれないな。
今では、少なくとも人間界で彼が一番だってことを疑う人は誰もいない。(笑)

ただ、表現力という意味では、ハビはどこまでいってもハビなんだよ。
粋で男らしい王道のMGMミュージカルプロがものすごく似合ってるけども、そこから先の彼がなかなか見いだせない、新しい彼の魅力が発掘できないところで若干インパクトが弱い。
その点、マラゲーニャはすごかったんだけど、今回もシリアスさやストイックさが足りないんだなあ。
卒倒するくらいセクシーなこのプロを見せて。安藤氏みたいに。(笑)
あと、4回転をビシっと決めてね。


羽生大魔神

フリー演技後一呼吸の余韻のあと、「大魔神」のように腕をさっと顔の前におろして「晴明」から「羽生氏」に戻る。
オペラ座の「バイバイ」といい、こういうこっ恥ずかしい小芝居をしらっとやってのける彼を見ていると、この世の罪も煩悩も赤っ恥も、除夜の鐘を撞くごとく洗われる気がする。
・・来年もいい年になりますように、全日本もいっちょお願いいたしやす。

・・・・
世界歴代最高得点、なんてものには一秒だって縁のない世の99.999%の凡人だって、いい結果を続けて2回出さなきゃならないときは怖いってことくらいは知っている。

だから、Pチャンにしょーま、ハビと、これ以上ない神演技が続いて、彼がどんなにビビったか。
どんな気持ちでパーフェクトな演技をして、ドヤ顔で〆たか。
そしてなぜキスクラで泣き崩れたか。
現地の人はもちろん、ライストを見ていた何万もの人間が、ジェットコースターのような彼の感情の流れを手に取るようによく理解していたと思う。

そして彼自身も、自分の気持ちがテレビの向こうにしっかり伝わっていることを自覚している。
「なんで泣いてるんだ俺?」という疑問は彼の本心だったかもしれないが、見ている人に「その理由を知ってるんでしょ?」と甘える気持ちがチラ見えする。

常に何か発信したり、疑問を投げかけたり、ときには甘えたりしながら、彼は周囲の人間だけじゃなく、メディアやファンを通して自分を見つめ、メンテナンスし、つくりあげているのだなと思う。
彼を通すと、テレビがどこでもドアみたいに向こうに繋がってるような錯覚を覚える。
だから・・
録画じゃなくて、生放送ください。優勝インタビューもプレカンもください。

・・・・
エキシビにてミラーボールのように周囲に光を放ちながら、魅惑の海藻サラダ衣装で登場した羽生氏は、まるでスローモーションをかけているかと思うほどの神々しさだった。
ジャンプ失敗(羽生比)がつづくなど、演技に関してはやや出オチの感もあったエキシビでありましたが、フィナーレはすごかった。
あの衣装で、まっちー完コピの腰振りダンスをする映像は、安藤美姫の仰向け「ズサー」と同じらいの破壊力だった。

彼の行動自体もじゅうぶん面白いが、どこまでも「あの衣装」が私のツボを刺激しまくっていることを、彼は知るまい。(あたりまえだ)
修造インタビューの「今から俺が滑んだぞ!」とともに、おおいに笑いを提供してくれたひととき。
もちろん本番の演技もよかったのよ。でも完璧すぎて、もう何も言う言葉がないから書けないのよ。
とにかくありがとう。ありがとう。

なお、フィナーレ終盤の様子を撮影した動画によれば、まっちーのエアギターつき「ズサー」も披露している。(笑)
クワド大会における4Loは、やや乱れたが着氷。
ハビちゃんは最初抜けて、二度目に4S(たぶん)。
こういうのも放送してほしかったなあ。(贅沢)

イエスティン・デイヴィースが来る

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カウンター・テナーのイエスティン・デイヴィースが2月に来日!!!
なんてこった。知らんかった。不覚じゃ。

愛しの武蔵野市民文化会館小ホールにいらっしゃる。
NHKのカメラも入るらしい。
というわけで朝のクラッシック番組で放送されるんだろうが、やっぱり生で聞くに限る。
なんとか買えたチケットは、けっして良席ではないけど・・楽しみだなあ。

曲目はダウランド・・あのしんみりしたやつ・・・
でも、彼の歌は感情的になりすぎず、知的な抑制がきいてて暗くならないところがいいのよね。
そして声や音楽面だけじゃなくて、朗読や演劇みたいに英語そのものの響きや意味を大事にしているなと思う。

↓低い地声もステキ。いつまででも聴いていられる。


彼の声には「カウンターテナーでございます。」感があんまりないし、そもそも高い声に聞こえない。
特に、低い音域の声は、まるで地声じゃないかと思うくらい自然で、色気があるんだよね。
カウンターテナーなのに「低い声」がイイってのはなんだか不思議ではあるが。


今回はダウランドなんだけど・・
彼のパフォーマンスで一番好きなのは、ベタだけどもヘンデルのオラトリオ「メサイア」の中の、「He was despised(彼は侮られて)」。
この歌は英語だったんだ、ということを改めて心に刻まれる。
うねりのようにゆったりしたトリルが好き。

↓個人的には指揮者が別の版のほうが好きだけど、とりあえずYoutubeにあるのはこちら。


そしてそして、2011年メトロポリタンオペラ「ロデリンダ」のウヌルフォ役。
圧倒的な技術で超絶な高音とアジリタを繰り出す第一人者アンドレアスと、知的な声と演技力で脇役ながら存在感を見せたイエスティンの、新旧カウンターテナー競演。
個性と役柄がぴったりハマっていて、ほんとに素晴らしいキャスティングでありました。
衣装も美しかった。


クリスマスオンアイス

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結論から書きましょう。

高橋大輔氏がむちゃくちゃ良い。

特に前半のが凄い。
情熱だけではなく、思索を感じさせる新プロ。
スケスケのエロ衣装の意味はまあ、今回は探らないでおきます?(笑)
でも私はエロというよりキリストの受難を連想しました。
クリスマスにいきなり受難劇ですかっていう謎は残りますが。

この1年、雑音から遠ざかって自分を見つめ、じっくり自問自答した・・であろう高橋氏の心境、スケートへの、美への情熱や神髄をあらためて宣言したプロでありました。
内容についてはもう、ごちゃごちゃ語っても演技を見るに越したことはないから、このへんでやめておく。

もともと飛びぬけたアーティストなのに失礼かもしれないんだけど、あえて言う。
「洗練」されていた。
彼の現役時代の演技はどれも素晴らしい「表現」ではあったと思うよ。
でも、洗練されて、かつ偽りのない彼自身が見えるような、突き抜けて「芸術」を感じるプロは、一つ二つではないにしろ、そんなに豊富でもなかったと思うんだよ。
卓越した演技力で常に魅せる演技をして、常に観客を沸かせたけれど、競技ゆえの窮屈さや物足りなさ(高橋比)もけっこうあったと思うの。

いずれにしても。

彼はこのプロで、その才能や、積み上げてきた評価や期待をばっさり切り捨てて、自分自身を語ってる。
そこが「洗練」であり「芸術」だと思うのよね。
ほんとうに、掛け値も解釈も言い訳もなく、彼の神髄を表現してる。

彼はもう、「高橋のステップ」なんていう商標に惑わされてないのね。
ステップが魅力なんじゃない。高橋がステップをするから魅力的なんだというのを、本当の意味で自覚しつつあるような。
その根拠になるものを、留学の中で見つけたのかなという気がする。詳しいことは全然知らないけど。

ともかく、スケートだということを全く忘れる芸術作品だった。
そして振付はシェイリーンらしい。もう、ほんとに彼女ってば素晴らしい。


デニス・テン殿下
これまた地味に凄い。スゴすぎる。
今季前半の、ショートとフリーを合わせたよりこっちのほうがいい(笑)
GPSで女子並みの点数だったのが信じられない。
クリムキンイーグルからジャンプですって?
なんつうプロよ。開いた口がふさがらない。ステップに疎いからこの凄さを言葉で説明できない。
振付はこれまたシェイリーンとのこと。
やっぱ私、シェイリーン大好きだわ。(そしてローリー苦手。笑)

次戦は四大陸ですかね・・。こりゃ楽しみだなあ。


安定のパン・トン組
安定のウィーバー・ポジェ組
安定の鈴木明子
このお三方も素晴らしかった。

ウィーバー・ポジェのロミオとジュリエットのストーリーをしっかり解説してくれたアナウンサー。(笑)
こんどぜひ、ハンヤンのショートにおける「ロミジュリ」ストーリーを詳しく解説してください。あれはわからん。

あと、スケートプログラムじゃなく、歌のパフォーマンス中に語り出すのは、ナシだと思うがどうかね。

全日本フィギュア 男子SP

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今季の大会、充実しすぎ。

まあばっさり言ってしまえば、羽生氏の4Sコケは惜しい。・・102点かっさらったけどねw。
でもそれ以外の選手も含め、どの演技も素晴らしかったこと。見応えあったこと。

男子凄いな。

印象深かったのは、6分間練習で宇野しょーまがイーグルからの3Aを練習中、抜けて1Aになっちゃったところに、すかさずイーグルをつなげてイーグルサンドにして、「えへ」と笑ったこと。

な ん な の そ の 余 裕

結局、イーグル3Aは成功してGOE満点取ってたしね。
世間は羽生氏を「メンタル強い」というけれど、彼が強いのはコントロール能力で、天然にメンタル最強なのは宇野しょーまのほうだと思う。
2つ前の羽生氏の演技もばっちり見てから滑ったというし。
大物だと思う。もう、呼び捨てしちゃうから。

ムラっちもすごい。
彼はなんといっても大人だなと思うんですよ。
現役で家族持ちのスケーターって彼くらいですかね。
やはり覚悟が違うというか、見えてるものが独身諸君とは違うんだろな、なんてことを、彼の演技を見ると思う。
いやね、私はスケーター個人の「性格の良さ」だとか「好感度」なんてのは求めないけど、彼の場合、スケートに人間的魅力・・「いい人」という意味ではなくて、あくまで「魅力」ね。・・・がにじみ出てるなと思うんだよね。
いきなり4-3決めちゃうのも含めてね。(笑)
これは、うおおっ てボルテージあがりましたね。


羽生氏。
点数抜きで、彼のプロは別格のクオリティーが大前提。
他の選手の、他のプロなら、もっとおおらかな気持ちで見られるけど、このショートは、冒頭を4Sに変更した時点で、こちらの世界と縁を切って、失敗の許されない宿命を背負ってしまった気がするんだよ。
彼の挑戦やら技術やら演技のクオリティーやら、すべてを尊敬するけれど、この演技を、「コケたけど良い演技」、というふうには思えないという恐ろしさ。
NHKのときでさえ、4Sにケチつけたっくなったくらいだもの。
まったく、これは異常事態。
でも、彼が自分から求めてやったことでもあるんだよね。

こうして思いっきり失敗したことで、記録更新っていうプレッシャーからは解放されたかな。
気持ちをリセットできた・・という良い効果があったと祈ろう。
彼のやっていることは超人的すぎて、もはやそのくらいのことしか言えない。


というわけで、感想はひとまずシビアに書きます。

冒頭の振りからして、ちょっと変だったのよね。
ああ、先を急いでいるな、はやくこのプロをやっつけたい、終わらせたいと思ってるのかな?
なにかそういうざわついた印象で入った4Sは、飛ぶ前から転倒が見えていた。


ただ、凄いのは転倒後、なにもなかったように超速で起き上がって、いきなりイーグルしてたことね。
起き上がりコボシですか。
ああ、バトル直伝の4Bってやつですね?
これぞ神業、ノーミスより凄いもの見た感。永久保存したい。(笑)

そして4-3コンビからスピンまでの流れはあいかわらず無双で、ここから先はもう、失敗する気がしなかったですね。
ただ、やや体と心がつながってない印象でありました。
ステップはレベル取れてたけれど、いつもの情熱は乗っていないように感じたし・・・



今回少し感じたのは、抽選で滑走順が決まるって難しいんだなってこと。
とにかく、羽生氏のポテンシャルが高すぎて、周囲との違和感がハンパないのよ。
6分間練習も滑走も、彼のスピード感や「格」が桁違いなんだ。
宇野しょーまも別格ではあるけれど、彼はまだ若いし、新人だし、空気になじむ器用さもあると思う。
でも羽生氏は、そういう意味ではすごく不器用に見える。

会場の空気も、選手たちに対して温かく、ガラ公演的なお祭り感覚で、どこかユルく和やかだった。
気持ちはよいけども、「これから桁違いのプログラムが披露される」、っていうスペシャルな感覚は、NHKやGPFをライストで見たときと違って、生放送だというのに、全く感じられなかった。

会場の空気も含め、すべての気を引き締めて、あれだけのものを滑るために必要なエネルギーを、30秒の持ち時間でつくらなくちゃいけない。
それを第4グループの中盤で・・というのは、彼のカリスマ性をもってしても難しかったのかもしれない。

あまりグレードのよくないピアノ、または調律のよくないピアノで超絶技巧の難曲を演奏してるような感覚だった。
鍵盤にうまく指がハマらないまま、無理繰りやっつけながら弾き始め、序盤の難所で「あっ。ダメかもしれない。」と思ったら予想どおりミスっちゃいました。的な。

たぶん、他の選手は思いも及ばないような問題と、彼は戦っているんだろな。
技術とか点数とか、そういうことだけじゃなくてね。
今回のミスを見て、そのことが余計に大きく伝わった。
そして逆に、そこに落とし穴があり、他の選手の付け入る隙があるのかもしれない、ってことをも印象づけた演技でありました。

そうはいっても、フリーは当然、最終滑走。
こんどこそ、会場の空気をモノにできますように。
たのしみにしてるよ~

全日本フィギュア 女子ショート

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大変な長丁場、いったい何から書こう?と悩んだけど。
とりあえず女子ショートの感想から。

フジテレビは、中学2年生の3人をひたすら持ちあげていたけれど、ああいうのはほんとにえげつないな。
百戦錬磨のシニア選手はともかくも、うら若い中学生を使ってあまり煽らんでくれよと、個人的には思う。

とはいえ、ジュニア勢がすごかったのは、たしか。

筆頭はもちろん樋口新葉。
昨年、フジテレビにさんざん持ち上げられ、台乗りも果たした彼女だけど、今年はシーズン序盤の不調もあってか、フジは見向きもしなかった。
でもそんなこと、彼女には関係ないみたいね。
それしきのことで揺らぐようなタマではなかったわ。

彼女の良いところは、どんなに豪快なジャンプでも表現が途切れないということだと思う。
日本女子には珍しい、北米型のストレートな表現に、意志の強さを感じる目線。そしてリズム感。
全日本ジュニアのフリーは素晴らしかったから、今夜の演技が楽しみだよ。

横井ゆは菜
全日本ジュニアで彼女の演技に魅了された。
アナウンサーが「表情」という言葉を連発してたけど、私にいわせると彼女の魅力はそこじゃない気がする。
このショートは初めて見たんだけど、フリーと全く違う曲なのに、しっかりと演じ分けているということ。
そして音の強弱や緩急に対する感性が鋭くて、体全体で緩急をつけられること。

シニア勢

松田悠良
「ピアノレッスン」というエロい曲を、去年16歳だった彼女に振りつけてしまった、樋口美穂子先生の罪深い芸術家魂。
その期待にたがわず演じ切ってしまう松田さんの魔性の色気に驚いた。
すごい子がいるもんだ。
それにしても、樋口美穂子先生ってすごい。
宇野しょーまといい、村上佳菜子といい、彼女の振付にはエロさが充満している。
芸術も、音楽も、美も、その本質はエロである、というシンプルな事実から目をそむけることなく。
美しく、音楽的に、品位をもってカムフラージュし、振りつけていらっしゃる。


村上佳菜子
樋口振付シリーズその2
これまた良かった。2A決まった!ステップかっちょいい!
彼女がなぜ男性ヴォ―カルに傾倒しているのか、その理由を聞いたことはないけど。
さきほどの話のつづきでいえば、彼女が「エロ」さを表現するのがあまり得意でないために、ギアを「トランスジェンダー」にシフトして色気を添加しようと、そんなところかもしれない。
単に男性ボーカルが好きなだけなのかもしれないけど。

永井優香
彼女の「蝶々夫人」好き。
「表彰台を狙いたい」「言うのはタダなので」っていうセリフには痺れたわ。天然かつ豪快かつ優美。

本郷理香
キダムSB来たー。
ロシアではちょい元気なかったけれど、あれから一か月でまた一段と磨きがかかってる。
猪突猛進的に最初から最後まで飛ばすだけじゃなく、今回は丁寧さもあって、よりメリハリがついていた感じ。
今日のリバーダンスが超たのしみ。

宮原大明神
女神降臨。
NHK杯以来、二週間ごとの大会でノーミスを連発し、金銀のメダルを取り続け、ここでまたノーミス。
羽生氏が神なら宮原氏も神であります。
彼女はいつも魅力的な演技をするけども、今回はいままで以上にノッてたし、貫禄があった。
昨季は、彼女の演技を「美しい」と思ったけれど、今季はそれだけじゃなくて「強い」と思う。

何より見ていて嬉しくなるのは、彼女が、芸術とは何かを本当にわかってることよね。
彼女は、まだ簡単には世界一になれないと思うけど、この芸術性が、今後道を開いていくんじゃないかしら。

全日本フィギュア 男子フリー

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もしや神大会?から一転、フリーは大波乱の自爆大会。
でも、終わってみれば予想通りで、世界選手権の派遣も、文句のつけようのない結果じゃないかと思う。
ひとつ気になるのは村上氏の膝の故障・・
悪くなければいいんだけど。

山本草太
あざといカメラ目線とか熱い羽生愛にまどわされて、私は彼の演技の見どころがわかっていなかったと思うの。
でも今回、イーグルの美しさに目を奪われた。
ああ、彼はスケーティングの人なんだと、やっと思い知った
最初の4Tと3Aのコケなんかどうだっていいわ。
しっかし、コケるジャンプまで羽生氏とおそろいとは。
ジュニア世選をいい成績で卒業できますように。

羽生氏
ショートの演技については、転倒から一瞬でイーグルにつないだ斬新な技以外、あまり擁護の余地がなかったんだけど。
このフリーの演技はさ、転倒はあっても、起承転結があって、実はけっこう好きなのよ。

いままでにないほどの、硬質な、クリスタルな質感で始まった前半。
透明感と冷酷さがあって、身震いするようだった。
前半はほぼ完璧だったよね。

後半に入った途端、思わぬミス連発となったわけだけど、そうやって身を持ち崩していくところは、前半が完璧だっただけに、なんだか耽美だった。
3連続ジャンプ以降、ブレながらも演技を立て直していくあたりでは、冷酷さが抜けて、だんだん人間らしさ、温かみがあったと思う。
最後のコレオは、カナダの時みたいに鬼になるでもなく、バルセロナのときみたいに我慢するでもなく、ただ自然で、中庸で、これぞ晴明だと、私は思った。
もちろん、ジャンプコケは残念だし、点数も今季最悪(だよね?)だけども、私はバルセロナの演技よりもむしろ好き。
そういう人間がいてもいいでしょう?

宇野しょーま
いやはや。前日に「彼がメンタル最強」と書いたけれども、やっぱり彼も普通の男の子。
でも、このプレッシャーは、世界の大舞台に立って、トップクラスというものを経験してきたからこそよね。
97点なんていう点を叩きだしちゃったからこそよね。

ただ怖いモノ知らずで挑んだ、昨年の全日本や、シーズン序盤の彼とは、もう違う。

彼は、今まであまり羽生氏について語らなかった気がするんだけど、最近、急に意識したり、リスペクトしたりするような発言をしだした。
目標も、以前は「表現力」しか言わなかったのが、最近は総合力と言ったりしてる。
このシーズン、彼は羽生氏の背負ってるものを間近で見て、いろいろ理解したんじゃないのかな。
羽生氏をリスペクトする一方で、射程圏内に入ったというか・・自分もそこに食い込んでいくんだ、一緒に背負っていくんだっていう覚悟を感じるよ。

羽生氏のフリー演技を皆で見ていた男子の面々。
ジャンプでコケたところで、顔をゆがめたしょーまの表情は、まるで自分の演技が失敗したのを見てるみたいで印象的だった。

銀メダル、世界選手権派遣、ほんとにおめでとう。


全日本フィギュア 女子フリー

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なんといっても宮原大明神の神演技ですな。

リンクに立って、手を広げて立つ姿からして、格が違う。
貫禄?
なんかぴったりこない言葉だなあ。
神々しい?
それもなんか違う。

宮原氏が演じるこの子は、可憐でな少女ではあるけれど、無邪気ではないのね。
冷静に自分を見つめる知性もあるし、自分を美しく見せたいという虚栄心もある。
彼女は初恋の男の子を見ているというけれど、ほんとうは自分自身に酔っている。

彼女の演技から感じるのは、純真無垢な少女なんて存在しないっていう、身も蓋もない事実なんだけど、それでも最後には、彼女の誠実で正直な印象が残る。
そこが、魅力なんだと思う。
何度も言うとおり、私はローリーの振付が苦手。
でもこの演技から、ローリーの影は全く感じないわね。もう完全に、宮原氏のものだと思う。


浅田真央
これは今季一番の演技でしょう!
3Aコケがなんだってのさ。
コンビネーションつかないからなんなのさ。
回転不足?プロトコル見てないからわかんない。

たしかにジャンプミスが続いたけど、後半、落ち着いてくると、彼女はもう「蝶々夫人」じゃなく、彼女自身の気持ちをあらわにして、滑りたいように滑ってたのね。
今季はじめて感じる力強さ、そして気持ちのよさだった。
結果として、「蝶々夫人」のキャラクターもよく出ていたと思う。


「プログラムには、そのときの演者の感情が入っていい。感情が入ったとき、プログラムは生き物になる。」
「自分がしたいから、する。」

先日、フリーの前に放送された羽生氏のインタビューが、ことの核心をついている。
まったく、こいつはなんて奴なんだ(笑)

たとえば音楽の演奏ってのは、楽譜を再生することじゃなくて、音楽に自分の人生経験を感じて共鳴することだと思うんだ。
観客は「そうだよね」と同意したり「そういう考えもあるのか」と思ったりしながら演奏を聴く。

スケートは、他にもっとたくさんの要素や目的があって、たぶん楽器の演奏みたいにシンプルじゃないと思う。
ジャンプがどうとかルールがどうとか、そちらを遂行するだけでも大変なことだと思うけれど、見ているファンの心理は、究極的には音楽を聴くときと同じだと思うのよね。

美しく振りつけられたプログラムを黙々と遂行するスケーターを見たいわけじゃないのよ。
もちろん、若いスケーターならそれもアリだし、ジャンプの爽快さや、目をうばわれるようなスピンを堪能するっていう楽しみもある。
衣装を眺めたり、振付師の意図を探るという楽しみもね。

でも、一人前のシニアスケーターには、彼女自身が自ら出てきて、対話してくれることを期待する。
上記の名言を残した(笑)羽生氏は、たまたま生の「感情」を出すタイプだけども、思想でも生き方でも、プログラムへの共感でも、自身から直接でてくるものならなんでもいいんだよ。
それが振付師の意見だとしても、自分の経験を通してそこに実感があるなら、それでいいんだし。

今までの彼女は、蝶々夫人に共鳴できてなかったと思う。
彼女は、同じ女性、同じ日本人としてではなく、ハンヤンの名言を借りれば「傍観者の立場で」演じていて、不幸な女性に対するあわれみすら感じたのね。
でも蝶々夫人はどん底の人間じゃないんだよ。
芸で身を立てることもできたし、子連れでも一緒になろうという男までいたんだよね。
それなのに、それをふってピンカートンに執着したのは何故なのか、答えは浅田氏自身のスケートにあると私は思ってただけに、「傍観者」演技は残念でしょうがなかったのね。


でも今回は、初めて、「よかった。」と思える演技で、そのこと自体がうれしかったな。
彼女の経験のパーツが、蝶々夫人の人生のパーツにハマったか?
といえば、そうではなさそうだけど(笑)、少なくとも、彼女自身の執念と踏ん張りと鬼気せまる気迫があった。生きた人間がいるのを感じられたよ。

物語には直接出てこないけれども、穏やかに見える蝶々夫人だって、夫を待つ長い時間の中には、「六条御息所」や「お七」や「清姫」みたいに、執心で鬼になる瞬間があったはず。
「蝶々夫人」はあくまで、外国人が見た日本であるし、プッチーニのオペラでしかないんだし。
彼女自身が感じる違和感や気づきがきっとあるよね。
そういうもので、物語に描かれていない空白を埋めていってほしいな・・・
これからの進化に期待しております。


本郷理香
いままでで最高のリバーダンス、ではなかったかもしれないけれど、またひとつ洗練されたな。
この2つのプログラムは、見ていてほんとうにワクワクするし、楽しみだから、彼女が世界選手権に出てくれてほんとうにうれしい。

なのにインタビュー内容は
「宮原知子はちょいちょい面白いこと言う関西人」
「羽生より手が長い」
ですか?
彼女は織田信成ポジションなのか?



樋口新葉
いやああ、スゴかった。
本郷理香とまた違うタイプの豪快スケーター。
「マスク・オブ・ゾロ」って映画見てないんだけど、彼女が演じているのはたぶん、ヒロインじゃないよね?剣士だよね?
女剣士なのか?
(調べてみた。)
ああ、女剣士ね。キャサリン・ゼタ・ジョーンズなのね。
なあるほど。

失礼だけど、キャサリンみたいな「美人」じゃないところがいいね。
ともかく男前、キレっキレ、ジャンプは助走なし。
女として美しくしようというような妄執など一切なく、ただひたすら演技に集中。
でも結果として、動きのひとつひとつがこの上なく美しいし、なぜか色気すらあるじゃない。
なんというか・・超ドSな女王様の色気が。(笑)

チアリーディングのような雰囲気もあって、表現的には、アメリカの選手を彷彿とさせる。
アシュリー・ワグナーとかマックス・アーロンとか・・(以下、男子選手がイロイロ思い浮かんだので自粛。)
まさに武道家。
夏のショーで彼女のマンボを見たとき、「いつかエキシで美空ひばりの『柔』を滑ってほしい」と書いたんだけど。
なんかやってくれそうな気がしてきたぞ。(笑)

ジュニア世界選手権、今年はもちろん優勝→シニアを狙ってるよね。
でも成績よりも、彼女には何か、一石を投じるようなインパクトがあるのが凄いと思う。

あ。ショートのときに書き忘れたんだけどさ。
最後のキメポーズ、高橋大輔の「マンボ」の「ウー」のポーズなんだよね。あれには笑った!!

がんがれ~~

---------
最後に。
四大陸の出場選手見ました。
女子は世界選手権と同じ。
男子は羽生氏が安定の出場辞退。
そして
田 中 刑 事 !!!!
ああ、なぜかわからないけど・・・胸熱だわ。

メダリストオンアイス 生演奏レクイエム来たー

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念願の生演奏「レクイエム」に大興奮の巻

美しいっ。
こういうのが見たかったの。
音と演技がぶつからずにアンサンブルしてる!(涙)
あいかわらずトゲトゲしさと苛立ちを丸出しにした演技だったけど。
ピアニストはつかずはなれず、一歩離れたところで見守りながら、羽生氏の演技から出てくる痛みを受け止め、鎮めようとしていました。
いい演奏、いいコラボ。

なお、冒頭の謎の顔芸は、りりしい苦悩の表情に差し替え。
イーグルサンド3A決まった。
アンコールSEIMEIつき。
ええい。次からこの音源使おうよ(笑)

しかし、今日は髪がずいぶん乱れてたし、やつれてたような?
が、そういうことも含め、なんだかずいぶん男らしくなったというか、近所の子が大きくなって急によそよそしくされたときのような、寂しくも頼もしい感じが少ししたのでありました。

次は紅白ですか。(笑)
もし紋付を着るなら、次はもっと襦袢の襟をゆるめ、肘張って構えてください。


しょーま
キラキラスケスケロッケンロール新衣装良いな・・もしや新プロ?
と思ったらクロイツェル生演奏で、こちらも大興奮。
アンコールの「レジェンド」は雰囲気ぴったりなので、次からは競技もこの衣装で滑ってください。(本気)
相変わらずエキシに4回転入れてきますねえ。


樋口新葉
演技もいいんだけど、個人的には小脇にはさんだWOWOWの番組表が気になった。
ちなみに、あれ、12月号。

息子は彼女の演技が好きらしい。
ちなみにGPFで気に入ってたのはメドベデワ。
・・強いのがいいのか。


本郷理香
あんだけハードなエキシのあとに、あんだけハードなリバーダンスをアンコールで。
そのわりに、あんまり息があがってるようでもなく・・
すごい体力です。


山本草太
彼の滑りの美しさに気づかされた今大会。
姿勢がよくなってきてるのもあり、なんだか急に見違えてしまった。
案外とこの子、正統派の表現力を身に付けちゃうかもよ?
日本男子があんまりお得意でない、バレエプロとかバンバンやっちゃうかもよ?

宮原知子
もう、彼女には言葉がありませんわ。
羽生氏と同じペースでハードに戦い、黙々とノーミスし続けた彼女。
もちろん羽生氏と比べるわけにはいかないけど、それでも、凄いことにはかわらないと思う。
でも私はなにより、彼女の芸術性に魅かれてるので、エキシも毎回楽しみだよ。

けいじ
これって覚醒?脱皮?
どこがいい?と聞かれると、これとハッキリ言えないんだけど、また見たいと思わせられる。
気になるのは、あの髪形が今後も継続なのかということ。
四大陸で、改めてじっくり見たいなと思います。


年末年始でちょいと心に残った番組

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「紅白歌合戦」
久しぶりに紅組が優勝したけれど、どちらが勝つかを本気で気にしているのは日本中で司会者の2人だけ。
という伝統を、また一年受け継いでくれた。めでたい。

何よりかにより我が家を興奮に陥れたのは、当然1番ジャッジの羽生氏ですよ。
8歳の娘は
「羽生は白だよね」と言って、白に投票した。
もし「審査員」っていう項目があったら、優勝してたのではなかろうか。
予想どおりの羽織袴。
危惧したとおりの、襦袢の襟出しすぎ。顔塗られすぎ。髪セットされすぎ。=若様すぎ。
紋付の色味といい着付けといい、まるで水戸黄門に定期的に存在していたあの頃の志垣太郎のような若様っぷりでありました。
成人式で着そびれたというあの一揃えも、これだけ人を楽しませれば元が取れたというもの。

息子は千本桜を歌う若様に雄たけびをあげ。
娘はフォースの力と戦う陰陽師に悲鳴をあげ。
私は声が全く拾われていない熱唱花は咲くで笑いころげた。

AKBメンバーの上昇志向すごいな。とか。
MISHAでさえも、野外で歌うのは難しいのだ。とか。
松田聖子はなぜイヤホンを拒んで半拍遅い演歌歌いに甘んじたのだろうか。とか。
いろいろと意味不明・衝撃的な事象も多かった中で、若様と司会のイノっち、そして郷ひろみは何一つ、民の期待を裏切らなかったです。

民はいい正月を迎えられました。

↓そしてこの動画は現実になった。(笑)



「完全版 明治神宮 不思議の森」

「完全版」と「そうじゃない版」があったんだけど、「そうじゃない版」はすっ飛ばしていきなり「完全版」。
神社ドキュメンタリーかと思いきや、気づくとBBCアース的に動物ウォッチングしているという意外性。
なかでも、明治神宮の森で動植物の生態を調査する研究者たちの生態が、むちゃくちゃ面白かった。
特にキノコの人。
何がすごいんだかまるでわからないキノコに目を輝かす興奮っぷりと自由さは、見るものを幸せにする。
えらい大人たちがいたもんです。

最後には、「ヒートアイランド現象によってダニが激減している」という、これまたよくわからない警鐘が鳴らされて終わるんだけども、あまりの多幸感のため、まるで響いてこないという結末。


BS朝日
「世界遺産で能を舞う」

前半は、日本人能楽師チームとギリシャ人演出家がぶつかりながら舞台をつくりあげていく、という、米リアリティーショー的なうんざりパターンに、「はいはい、そうですね。」という気持ちだったワタクシ。
しかし、最後に抜粋で放送された作品が素晴らしくて、すべてがチャラになる。
掟破りなところは多々あるんだけども、結局「母子再会もの」とか「修羅物」っていう能の形式をちゃんと踏んでいて、それをまとめたような形になっている。
まあ、2時間もある作品のダイジェストなのでなんともいえないけど、片鱗を見た限りでは素晴らしい舞台だなと思った。ほんとに。

ところで、舞台が真っ黒とか、四隅に水が入ってるとかいう段では

危険だぁぁぁぁ
ありえねえぇぇぇ
こんな真っ黒な舞台じゃ直面でも危険じゃないかぁぁぁぁ

と叫びましたね。あれはヤバい。
面って、ほんとに足元見えないから。マジで。
しかしまあ、さすが、ああいう妙なシチュエーションをかいくぐってきてる面々なのか、あの危険な舞台でもなんとかやっちゃうプロ根性はすごい。

「表現の極意 野村萬斎×羽生結弦」
やはり、NHKがやってくれましたね。
この対談の全貌・・とまではいわないけど、これだけの尺で放送されると、ずいぶんニュアンスが変わって見えるもんです。
2人のやりとりを面白く見せようというような邪な(笑)思いでなく、対談の中に浮かび上がってくるなにものか・・おそらくそれが彼らにとっての「表現の極意」なんでしょうけど・・に焦点をあてたよい編集。
細切れで見ていた会話の、ところどころかみあわなかった部分もすっきりとつながって気持ちよかった。

おもしろかったのは、「なりきるのか、演じるのか」というくだり。
自分のこめた「気持ち」が必ずしも伝わっていないんじゃないかという不安がありそうなのが意外だった。
まあ。今はどうだかわからないが。

失敗したときにどうするか、という話では、全日本での「転倒からのスプレッド・イーグル」を思い出してちょっと笑った。

イタリア協奏曲

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新春らしい感じで。
オーケストラバージョン
バッハ イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV 971

中学のとき、「受験なんでピアノやめます」というありがちなシチュエーションになったとき、せっかくだから発表会に出てからにしなさいということで、最後にもらったのがこの曲。

左手をノンレガートにするとか、ペダル使わないとか、辞める前に「バッハとはこういう風に弾くものだ」という何かを、ほんのサワリだけども教えてもらった。
当時の私はペダル中毒で、ペダルを使わないっていうのは一種の拷問みたいなもんだったけど、響かない音でも音楽になるんだという、それまでと違う価値観を知ることができたのは、その後も音楽を聴いたり楽しんだりするきっかけになったような気がする。

あれから数十年。
久々に、「イタリア協奏曲」弾いてます。

3つの声部の弾きわけやら、ソロとトゥッティーの弾きわけやら、指で覚えてた曲を頭で弾きなおすという作業は、大変だけど結構楽しい。
とりあえず1楽章・・と思ってたけど、ピティナのステップでミス多発のわりに評価がよかったので、調子に乗って全楽章やってます。

で、弾くにあたって参考にしたのが、ここに張り付けたオーケストラ版。

いまどき、バッハのクラヴィア曲はチェンバロで演奏するのがデフォルトなんですかね。
ピアノなんて・・と邪道扱いされちゃってるような気がしないでもない。

チェンバロは鍵盤が軽くて浅いから、ものすごく速く弾くけるけど、音量はスイッチ式という、デジタルかつおおざっぱな仕組み。
多分音量じゃなく、緩急とタメで音楽のエネルギーを表現する楽器なんだろな。
これをそのままピアノで弾いたら、クドいんじゃないかと思う。

だから、ピアノでどうやって弾くのか、プロの知恵を借りたい・・
と思ってYoutubeで検索しても、グールドかシフくらいなんですよね・・。まあ、ちゃんとCDで探せばあるんでしょうけど、とりあえずとっかかりはYoutube。
で、シフとグールドを聞いてみると、チェンバロ演奏を基準において、そのままピアノに翻訳したのかな、という感じがする。
あくまで勝手にそう思う。

グールドなんか、いかにも「二段チェンバロ弾いてますが何か~」てな演奏で、ニヤリとしちゃう。
面白いとは思うけど、あんまりマネしたいとは思わないのよね。
この曲はほんとにチェンバロありきなのか?と、かえって疑問が生じてきてしまう。

この曲は、「練習曲」として発売されたという話。
もちろん、二段チェンバロの「上段に構えたぁ!」「次は下段!」ってな練習も目的だろうけども、ショパンの練習曲と同じで、そのテクニックを使ってどこまで面白く音楽を表現できるかと、最終的にはそこに需要と目標があったんじゃないかと思うんですよ。

それに、二段鍵盤用だけど、一段の鍵盤でも弾けるようにちゃんと作曲されている。
ってことは、どんなに機能がついていようと、しょせん鍵盤楽器だと、バッハは割り切ってると思う。
本気で協奏曲を作りたかったなら、最初からオケ版にしたと思うし。
ただ、当時はオケが贅沢だったし、チェンバロ一台で演奏する需要があったから、その手法を教えます、という目線で作曲してるだけだと思う。
チェンバロのための「協奏曲」じゃなくて、チェンバロで協奏曲を弾くのための「練習曲」をね。

何が言いたいのかっつうと、チェンバロはあくまで手段なんだから、今の時代にかならずしも、チェンバロのように弾く必要はないんじゃないかってことなんですけどね。

というわけで、私は古楽オケ編曲版を参考にしました。
ソロ楽器は、なんとなく弦じゃなくて、木管。なかでもオーボエやフルートじゃなくて、清潔感のあるリコーダーがいいかな・・と。

古楽オケの、テンポを揺らさず、冒頭から最後まで駆け抜けていく感じはピアノでも表現できると思う。
ソロ部分は、テンポを保ちつつ、フレーズにどう緩急をつけていくかという塩梅が参考になるし、ソリストとオケの絡み具合の、ドキっとする感覚とかも。
リコーダー独特のダイレクトな息遣いとか、指で音を変えるときのぎりぎりなテヌート感も、ピアノで出してみたいなと思う。

いまのとこ、このオケ版がいちばん好き。
チェンバロ版もピアノ版も、いまだこれというのに巡りあってません。

春の発表会まで数か月あるので、itunesで試聴しながら気長に探してみようかな。


ツィマーマンリサイタル シューベルトソナタ20番D959&21番D960

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シューベルトソナタ 20番 21番

雪踏み分けて東京まで行ってきた甲斐ありました。


まず、シューベルト13歳の作?とかいう可愛い変奏曲があって、そこからの、最晩年のソナタ2曲。
特に20番がもう鮮烈で、うっかり泣けてきてしまった。


20番の2楽章って、薄っ暗いどよーんとした曲・・
だと思ってたんだけど、今日の演奏はそうじゃなくて、マズルカ的にキッパリしたリズムでどんどん前進していく、舞曲っぽい演奏。

かと思うと、「展覧会の絵」的なロシア民謡風?あり、バロック風レチタチーヴォあり、ときどき自身の「即興曲90-3」から転用した一節あり、そして安定のベートーヴェンリスペクトあり。
師匠はそれぞれの曲想を、それぞれにそれらしく弾き分けていて、・・とくにバロック風のところで入る伴奏がリュートっぽくて面白かった・・陰鬱というよりはエキゾチックなごった煮感をがありました。
3楽章はスケルツオだからもともと舞曲なんだろうけど、これはバレエを思わせるような、楽しくエンタメ的なな舞踊の雰囲気。
どちらにしろ、ツィマーマン師匠の演奏は、タメはあるけど停滞はなく、ぐいぐい前に進む推進力が凄かった。

そして、万華鏡みたいにくるくる回る、いろんな舞曲や歌曲を巡り歩いたあとに聴くからこその、4楽章のダサさと安心感。
第九の「歓喜の歌」にちょっと似た、どっかの校歌みたいな、拍子抜けするほどダサいメロディーに、「帰ってきたなあ」という懐かしさというか、妙な「帰属意識」を刺激されるのね。


「千と千尋の神隠し」で、ラストに淡々と歌われる「いつも何度でも」で無条件に涙腺崩壊しちゃうのに近い感動とでもいいますか。


でもって、終盤はタメにタメておられました。
これでもかってくらい。
しかも、楽譜めくりながらタメるという新発想。(笑)
ああいうのは初めて見たなあ・・・・

そして、ラストで「校歌」のメロディーが途切れ途切れに演奏されて、合間に別の音楽が鳴るところは、余韻を残すことなく「ブツ」っとぶった切って演奏してました。
その切り方が、パラレルワールドを行ったり来たりしている感じで、ちと斬新な感じ。

そうそう。パラレルワールド。

シューベルトといえば、同じメロディーを繰り返す、堂々巡りで終わりのないイメージがあるけどツィマーマン師匠の演奏は、同じところに戻ってくるというよりは、一気に時空を超えて、次のパラレルワールドに向かうという感じ。
1楽章も、それから21番も、どれもそう

暗いどんよりしたストーリーも中にはあるんだけども、だからといってシミレーションゲームのように「BAD END」と切り捨てずに、それも人生だと思い切っているような、迷わず突き進んでいく力づよさがありました。
前向きなシューベルト、良かったです。


21番も良かったんだけど、もう20番が良すぎて感想書けるほど記憶に残ってません。(笑)

アンコールは、シマノフスキ「9つの前奏曲」作品1より第1番 だそう。
聞いたことないが、近現代の、でも嫌な音のしない音楽で、よく響く音伸びのある演奏でありました。




メダル・ウィナーズ・オープン&ニューイヤーズ・オン・アイス

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ざっくりと。おもいついた順に

○アボット
すんばらしい滑りでした。
競技もアイスショーもどちらも。
優勝だけあるわ~

○ロシェット
え?現役じゃないんですか?
なんと流れのよいジャンプ。
これで30歳とな!

○コストナー
「タイス」ってのは、信心深くない私にとっては謎オペラなんだけど、彼女を見ていると、信仰ってほんとに存在するんだなあと思う。
エキシナンバーのドニゼッティ―もそうなんだけど、文化的バックグラウンドというか、彼女の音楽観、芸術観が伝わってくる感じ。
技術の高さを隠そうとしてるわけじゃないだろうけど、まったく感じさせない奥ゆかしさ。

○ジョニー
今回の衣装はちょっと男っぽいな。演技も力強いな。髪も短いな。
じつはこういうジョニーのほうが美しいかもしんない。
・・と思ったけど、やっぱりバラの冠。しかもピンクwwww

○クーリック
ひときわがんばるおじさん。
プルなんかに負けてらんねぇ、とばかりにがんばりすぎて勢い余ってるおじさん。
でも昔は超絶美男子だったんだぞぉ。
↓氷上のディカプリオ言われてワイドショーでも大盛り上がりだったあの頃。
イメージ 1
いや、今もカッコいいです。
なぜかJ-POPで滑るサービス精神とか。
魅惑の白ズボンとか。

○島田くん
努力とやる気と情熱と表現力は受け取った。よくがんばった。えらい。
しかし、あの振付はいかん。
昭和ストリップ小屋的な微エロで笑わそうというところだろうけど、振付師さん、ちょっと狭いゾーンを狙いすぎ。
インパクトはあったし、これで一気に名前が売れた可能性はあるけど・・ダメダメ。いかんものはいかんのだ。
羽生氏のヴァーティゴみたいに20歳になってから再演してくれたら、おばちゃんは素直に「おお~っ」と楽しみたいと思うので・・静かに成長を見守ります。

○しょーま
ドンファンのバラ渡し、昨年よりテレがなくなった気がして感無量。
滑りも違う。顔つきも変わった。
表現力があるから、私のような素人目にはアラが目立たない・・的なところが今まではあったのかな。
今季の演技は、そのアラ・・だったかもしれない部分を底上げしたような感じに見える。
成長したってことは分かってたつもりだけど、同じプロで見るとその違いが歴然。
・・・そういう意味では使いまわしも楽しいけど、来季はエキシ専用の新ナンバーを滑ってくれないかなあ。

○羽生氏
久しぶりに見るタイムトラベラー嬉し。
こちらもまた成長著しいお方。
私は、彼の演技は良くも悪くも在原業平みたいだ・・と思っていた。
「心あまりて言葉足らず、しぼめる花の色なくて匂い残れるがごとし」
音楽そのものになりきって実体のないような、表現というよりも、目に見えない「印象」が鮮烈に伝わる感覚。

でも最近の彼の演技は言葉が足りてきて、明確な意思を表現してるなあと思う。
「色なくて匂い」の心も、以前みたいにダダ漏れな感じじゃなくて、よりコントロールされた印象を受ける。
たとえば、クライマックスで歌いながら跳んじゃってるターンからの3Aね。
あまりに自然で、難しいジャンプを跳んだっていう記憶がほとんど残らない(笑)のに、何か、空気が動いたというような印象だけは残る。
でもこれは自然に偶然にそうなってるわけじゃなくて、究極的にコントロールされた結果だよね。
当たり前なんだけど、このクオリティーに慣れ過ぎて、その凄さを忘れてしまいそうなのが怖い。

パトリック・チャンが103点出した・・らしい

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2016年カナダ選手権ショートにて、パトリック・チャンが103点の神演技をしたらしい。

↓追記。とりあえずYoutubeで見っけたので見てみた。

このスピード感よ。

スゴイのはなんといってもステップだよね。
コントロールされているにもかかわらず、崖っぷちを疾走してるような、スピード狂的なスリルがあって、心を持って行かれる。
男子シングルの魅力はやっぱり、狂気とスリルだよなあ。エレメンツにかかわらず、点数にかかわらず。

Pチャンは、踊り的な動きがあまり面白くないから、なんでそんなぶっちぎりPCSなんだ・・?って思ってたし、そんなに魅力的にも思ってなかった。正直言って。
でも今シーズンは、彼に匹敵するPCSを出す選手が何人もいるおかげで、かえって彼の個性がよく見えるし、以前に増して光を放ってるような気さえする。
不思議なもんだ。
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ああ、ライブで見たかった。

ライストでケヴィン・レイノルズあたりまでは見れてたのに、最後の詰めでぶっちされた。
ああ、Jスポーツオンデマンド独占放送の壁。

スカパーのJスポーツ、フィギュア放送がない時期も解約せずに継続してたのに。
それだけでWOWOW並みに高額視聴料なのに。
カナダ選手権は1800円でオンデマンド別契約しなきゃダメって・・・そんな阿漕な。

私はサッカーもラグビーみなくていいんだけどな。
カナダ選手権と全米選手権を住み分けするんじゃなくて、ラグビーとフィギュアで住み分けしてくれ。

さあ、気をとりなおして、10時からは全米選手権LIVE放送。

ちなみにショート終わって1位はパトリック・チャン。(103.58)
2位はリアム・フィルス。 (78.87)
3位はケヴィン・レイノルズ。(77.65)

2位とは25点差・・というわけで、よほどな展開にならないかぎり、優勝は間違いないだろという、往時の威光を思わせるぶっちぎりでショートを終えたチャン氏。
世界選手権にもしっかり出てくれそうで嬉しい。

そして点差はあるが、ケヴィンが上位にいるのも胸アツなり。
現チャンプのナム・ニューエンは5位(76.04)だけど、2位以下競ってるので、フリーでどうなるかわからないな。

以下、チャン氏のプロトコル。

ElementBase ValueGOEScore
1. Jump Combo4T+3T+C14.602.1416.74
2. Triple Axel3A8.502.4310.93
3. Flying Sit SpinFSSp43.001.074.07
4. Triple Lutz3Lz6.601.608.20
5. Change Camel SpinCCSp43.201.004.20
6. Step SequenceStSq43.902.106.00
7. Change Combination SpinCCoSp3p43.501.004.50
Total Element Score54.64 

Program ComponentScoreFactorPoints
 Skating Skill  9.791.009.79 
 Transition/Linking Footwork  9.541.009.54 
 Performance/Execution  9.931.009.93 
 Choreography/Composition  9.681.009.68 
 Interpretation  10.001.0010.00 
Total Component Score48.94 

Total Segment Score103.58
Current Ranking1

全米女子の神大会と、パトリック・チャンのフライングスタオベ演技

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Patrick Chan Canadian National 2016 FS


まずはPチャンから。
冒頭のすんばらしい4-3、ステップ。
今回から挑戦した3A二回、ひとつ抜けて2Aになったけど、でも、4回転は二回そろった。
復帰直後でスケートカナダから連続3回、192点クオリティーを維持し続けている安定感ってなんなんですか。
そりゃあみんな、フライングスタオベする気まんまんでスピンを待ち構えるわけさ。

ところで、フライングスタオベって、見てるほうも興奮するけど、日本ではしないよね。昨年のNHK杯とか、みんなウズウズしながらじーっと我慢して最後のスピンを見守っていた。
どーせ、終わる前に立つと後ろの人に迷惑。マナー違反。ってことなんだろうけどさ。つまんねえの。
(会場で見れなかった腹いせに暴言吐いてるだけです。)

というわけで、二位と60点近い差でぶっちぎり優勝という鬼畜っぷりに興奮しましたよ。Pチャン。
そして三位にケヴィン!ケヴィン!ケヴィン!
いやあ、よかった。

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そして本題は・・・
全米女子フリーの神大会。
感動したっ。すばらしかったっ。

ワグナーから先、スタオベ・スタオベ・フライングスタオベ。
ムーラン・ルージュに風と共に去りぬ、いかにもアメリカ人が大好きそうな映画プロが、これでもかとノーミスで披露されるんだもん、そりゃあ、興奮しますって。

↓興奮の中数秒間フリーズした、アシュリーasサティーンの白目フィニッシュ顔。
イメージ 1

そしてポリーナの風と共に去りぬはほんとに感動的だった。
冒頭の少女らしい雰囲気から、何かを捨て去るようにだんだんと情熱的になっていく、まさにスカーレットそのもの・・というよりも、彼女自身を曝け出したような素晴らしい演技。しかもショート・フリー共にノーミス。
涙・涙の感動。リプレイですら感動。感動が止まらない。
もうこれで彼女の優勝は確実!って思った。

でもそこにふっと降り立ったゴールドの「火の鳥」は、感動を寄せ付けないくらい、別格だった。
音楽にも、ストーリーにも、キャラクターの魅力にの助けられてない、唯一無二の存在感。
感情のない、人間の意思の通じない得体のしれない生き物が、気ままにリンクを飛び回ってるような感じがした。
「火の鳥」ってこういう生き物なのね。
と、ちょうどGPFの羽生氏のフリーの時みたいに、ただただ唖然として見てました。
そして終わってから、彼女の嬉しそうな表情がかわいらしくて、ちょっとウルっときちゃったよ。

いやあ、全米選手権、面白いっす。

個人的にいいなと思うのは、昨日の男子シングルの途中にあった、レジェンドを表彰するイベント。
アカデミー賞とかでもよくある風景だけども、過去の偉大な関係者を皆の前でたたえるっていうの、いいな。
アメリカの選手が、多少成績は落ちても余裕のある素晴らしい演技で競技を続けていくことと、こういう風土は、きっと関係があると思う。
全米選手権が面白いのは、そういうベテラン勢の力も大きいのかなと。

さあ、明日は早起きして、出勤前に男子フリーだっ。

全米選手権男子フリー

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ネイサンが、ネイサンがやりあがった。
4回転4本やりあがった。
4s-2-2コンビネーションりあがった。
TES100点やりあがった。
トリプルアクセルコケたけど、そして最後のスピン0点?(←要確認)だけど、PCS渋かったけど、そしてアーロンとアダムの演技は感動したけど、将来性も含めて凄みを感じたのは、やっぱネイサンだなあ。
これでジュニアとか・・・笑。
順位は3位だけど、あなた世界選手権にする?それとも先にジュニア選手権?
ああ、選考が楽しみ。

4時起きを断念し、6時半に起きたらラビット選手の演技をやってました。
台所仕事しながらダラダラ見てたところにホクスタイン選手の神演技。
ことによるとホクスタイン台乗りか?
と思ってたところのネイサン・チェン。
こりゃネイサン優勝か?
と思ったところのアーロン。
そしてアダム・リッポンの涙の演技。
もう画面の前に正座しちゃって、動けなくて、朝ご飯は息子に作らせたよ。(結局卵かけごはんだったけど。)

どこまでも気持ちよく、恍惚として滑るりっぽんの姿は4Lz認定なんぞに代えられない。
昨日、男子フィギュアの面白さは狂気、と書いたけど、その狂気だけでも興奮するけども、さらに一周回って、狂気にエクスタシーを感じるような演技を見ると、ああここに芸術がある、って、心から思う。
そういう演技ができる数少ない選手の一人がりっぽん。

表現というよりも、彼自身がどう感じるのか、感じたものをどこまでさらけ出せるのかという部分。
加点のためにジャンプ中に手を挙げる選手はたくさんいるけど、彼の、いわゆる「リッポンルッツ」を見ていると、彼はただ手を挙げたい衝動にかられてるだけのような気がしてしまう。

今季はなかなかうまくいかなかったけど、この演技が見られてほんとによかった・・・
でもまさか、逆転優勝するとは思わなかった。(ごめん。)すごく嬉しい。

昨日の女子の感想ともかぶるんだけども、アメリカのジャッジって、大人らしい意思のある、ブレない演技が好きな感じがするな。ホクスタインもそうだし。
そのかわり、年少者にはちょっと厳しいのかな?
ネイサンには、ジュニアといっても、日本の選手にありがちな子供っぽい未熟さ(必ずしも悪い意味じゃない)がまるでなくて、りりしくて若々しい、すごく良い演技だったと思うけど、PCS渋かったなあ。

まあ、ネイサンのジャンプに目を奪われる反面、4回転は少なくても(なくても)、しっかりした演技を見せてくれるアメリカ選手の演技は男女ともほんとに魅力的でありました。
そういう選手が守られている環境も含めて、こういう国もなくちゃ面白くないよな。
ジェイソンがいなくてもこの面白さ。
アメリカ、すごいな。

ひとまず仕事にいかなくちゃ。



ヨーロッパ選手権 ハビもとうとう300点台突入

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100点でたー
200点でたー
300点でたー
しかも1ステップアウト・1お手付き・1コケつきですぜ。

これで300点台の住人が2人かあ。
先日はPチャンもショート100点(参考扱い)出したし。
なんか、宇宙の均衡は保たれた・・・感でほっとしてる自分がいて。
おそらくヨーロッパの人たちも皆そう思ってるだろうな・・と思った。

ハビの演技の見どころは、「氷上にいることを忘れさせるフットワーク」かな。
滑っているというより、陸上で普通に踊ってるかのような自由さ。
氷を完璧に制圧していて、氷の危険さだとか、不自由さだとかをぜんぜん感じさせない・・・ミスしたとき以外は。
彼自身のエネルギーが、やりたいことが、氷を通さずに直に100%伝わってくる感じ。
これはPチャンにも羽生氏にも絶対マネできない。
とくにショートのマラゲーニャの舞踊はカッコいい。これ大好き。

でもね、あくまで個人的な好みの話だけどさ。フリーの演技は・・・なのよねえ。
彼にはもともと、氷上ならでは、スケートならではっていうカタルシスとか、氷で増幅される非現実的なスケール感とか、リスクと隣り合わせのドキドキ感、といというのが、あ・・んまりない気がする。
このプロでいえば、「賭博師の薄氷を踏むスリル」みたいな部分ね。

好感度やユーモア、抑制された上品さ、踊りの上手さはあるけど、200点の凄みというか、心を揺さぶられるような何か・・・・をあんまり感じない。
色気はあるんだけど、それが額縁の中に納まっているような安心・安全感。
スゴイことやってるのにねえ。

先日、NHKで「野郎ともと女たち」を見ました。
なんで衣装がサスペンダーに腕まくりなのか、やっと分かった。
「あ、ドル札置いてる」「サイコロ振ってる」ってのも分かった。
「勝利の女神さん、今夜だけは勝たせてくれよ。」っていう歌詞の内容もわかった。
けど、登場キャラが地味なおっさんばっかりで、萌え要素不足・・・・(笑)

結局のところ、ハビちゃんの演技がどうというより、この映画の魅力がいまいち・・ってことなのかなあ、と思うこのごろ。
誰だ。こんなおっさん映画選んだのは・・・・。(ウ、ウィルソンか?)
もうちょっと、彼の個性に迫るようなプロだといいのになあ。


以下、その他面白かったことを順不同に。

アモディオ
モロゾフも千鶴さんも、みんな泣いちゃう最後の演技、会心の出来。
心から楽しめたステップ。そしてやりきった充実感。
正直いえば、この大会で一番楽しんだのは彼の演技だったかな。
4回転はきっちり入れて、その他は多少抜けても、とにかく完成させたエンタメ根性。
技術レベルが上がることに異論はないしワクワクするけど、一方で彼みたいな選手が台乗りできなくなって引退していくのはほんとにつらい。
日本のファンへのメッセージをわざわざもらったJスポーツGJ。
ショーに来てね~きっと見に行く。

コリアダ
ロシアのどこの出身なのか忘れたけど、ステキな民族衣装の帽子をかぶったママが応援席に。
顔がそっくりすぎる!!!!(笑)

ラトデニくん
解説のおねえさまにイチオシされる。
フリーはジュニアGPシリーズより良かった。点数的にはどうなのかな?
ぜひ、エキシに出てください。
彼とアモディオにはぜひ出てほしい。

ユー・レイズ・ミー・アップ
なぜか男子で人気・・・もちろん歌は男性ボーカル版。

女子ショートの使用曲
名前忘れちゃったけど、宇多田ヒカルの歌(たぶん)を使ってた選手が・・
そして、タイタニック他、「セリーヌ・ディオンが愛されてます。」byちづる

会場の花
なぜかお正月の生け花感・・まあ、1月だからいいのか・・ってそうじゃないと思うけど。

スロバキアがお城を猛アピール
名所らしいお城の写真をいちいち挟んでくるスロバキアカメラ。
国内選手権は、チェコやハンガリーと合同でやってるらしい。

イエスティン・デイヴィス リサイタル

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楽しかったー

イエスティンについては何度も語ってる(これとかこれとかこれとか)
ので、ひとまずおいとくとして。
相方、もとい、伴奏のリュート奏者、トーマス・ダンフォードですよ。
私は彼について語りたい。

何度か彼のソロ演奏があったんだけど。
ひとりごとをつぶやくような、たまたま漏れてしまったみたいな繊細な音で弾くの。
どこからともなくステキな音がして、心魅かれてドアをあけたら、彼ひとり4畳半にぽつねんと座ってました的なさあ・・なんというか、内に内に向かった、孤独感のある演奏。

それがね。
イエスティンの歌が入ると、彼はとつぜんやる気を出す・・・じゃなくて、世界が開けたような音を出す。
孤独孤独なつぶやきも素晴らしいけど、2人で演奏するときの輝きといったら!!
歌はしんみりと暗いのに。
あの変わりようは何?
トーマスってば、イエスティンのこと、どんだけ好きなんだ。(←そこ?)

↓サイン会で撮らせてもらった写真も、ほら。
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結局なにが言いたいかっつうと。
一人一人の技量はもちろんだけど、それ以上に、彼らのケミストリーを見せつけられる楽しむコンサートだったなあってこと。
二人の間合いだとか音のかけあいだとか、即興的な部分とか。
声の美しさや歌唱技術ありきではなくて、音楽のため、互いのため、ここに集まっている人のために声と音が駆使されている、という贅沢な実感。
でも、音楽ってそういうもんだよなあ。

ちなみにトーマスの演奏、ほんとにすごかった。
一本のリュートで、2声の旋律を明確に、音色を変えて弾きわけつつ、ベース音も加える。
なのに難しそうだなんてこれっぽっちも感じさせないの。私はリュートの演奏を間近で見るの初めてだから、途中まで、ああ、そういうことのできる楽器なんだ~って思ってたよ。
でも違うよね?だって基本はギターと同じ構造だもん。ふつうできないよ、あんなの。

そして、イエスティンの歌唱・・・声の自在さ、柔らかさ、力強さ。
彼の声はホール全体に響くので、後ろから聞こえるような気さえする。
歌手にしては小柄で、体格もスリムで、しかもカウンターテナーなのに、あれだけパワーのある声が出るのがほんとに不思議。

アンコールは、ダウランドの「Now, O now I needs must part」・・につなげての、エリック・クラプトン「Tears In Heaven」。
エリック・クラプトンはダウランドに混ぜても安全・・っていうオチ。
そういや歌詞の内容や曲想だけじゃなく、ギターの弾き歌いってのも、シンガーソングライター的な創作スタイルも同じだな。

クラッシックの歴史をヨーロッパ全域で見ると、そりゃあ大きな変遷があったように思うけど、もしこうやって定点観測で「歌」というジャンルを比べた場合、イギリスの音楽は、400年間、趣味や嗜好にほとんどブレがないのではと思ってしまう。
それはフランスとかドイツとか・・日本でもそうなのかな。どうなのかな。

もうひとつのアンコールは、ヘンデルの「サウル」よりデイヴィッドのアリア「O Lord, Whose Mercies Numberless」
このアリア、かなり好き。相当好き。超うれしい。
ちょっと期待したけど、アリアの最後についてるハープのソロはなかった。(ここをぜひダンフォード氏に演奏してほしかったなあ。)

↓Youtubeにアンコール曲のヘンデルがアップされてた。現地リハの様子かと。
 ちょいちょいこういうのをアップしてくれるので、イエスティンのYoutubeアカウントは要チェック。


↓こちらはリサイタル本編で歌われた歌の一部。サムネ可愛過ぎ・・これで30代後半とか、罪。

あーあーあー 映画とか・・・・

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それだけはやめといたほうが・・・って思ってた。
でも、いつかはやる。絶対やる。こいつならやる。とも思ってた。
でも、こんなに早くやっちゃうとはな・・・

羽生氏の映画出演。(笑)

あのさ。べつにいいんです。出ちゃったものはしょうがない。
でもね。

どう見ても、かつら似合ってないしっ
どう見ても、足さばきがヘロってて殿様っぽくないしっ
どう見ても、タタミのヘリ踏んでるしっ

誰だあ。あの「演技」を「殿様らしい」とか「さすが」とか言っちゃうのは。

時代劇をなめんじゃねえーーーーーっ

あのチラっと写った数秒だけで、こりゃヤバいぞ・・・とわかるだろうに。
「家庭画報」のときも思ったんだけど、あれはたかが雑誌、と思ってスルーしようと努力した。
でもこれって映画でしょ?映画とくれば我慢できん。

誰か所作の指導してあげなかったわけ?
なんなのあの行き当たりばったり的な演出は。
指導すれば、彼ならきっとうまくやるよねえ?・・・・セリフ以外は。(笑)

アイドル枠かもしれんけど、一流の現役アスリートなんすよ。
もうちっとフォローしてそれらしい演出してあげたらいいのに・・スクリーンに不必要なほど大写しになるであろう羽生氏を見るのが怖すぎる。(結局見るのかよと、自分にツッコミ)

と、時代劇を、羽生氏を愛するゆえにつぶやいてみました。
けど案外、ご本人さまは、例のごとく俳優さんたちに質問攻めして、いい経験したあ、いいこと聞いちゃったあと、超・超ポジティブに考えてそうな気はする。(そろそろ固定してきた「質問攻め」キャラ)

うん。きっとそうに違いない。

わたしを離さないで

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日本のドラマ久しぶりに見たけど、これ面白い。
ちょっとWOWOWドラマっぽい。


主演の綾瀬はるかは、器用な演技じゃないけども、状況にハマっていてリアリティーがある。
もう一人の主演・・・名前忘れたけど、昔「のだめ」でコンミスだった女優さん・・・が、とことん器用にウザい女を演じていて、これが非常に見もの。

男性陣はなんといっても、ここにきて急に登場した井上芳雄の存在感。
最近、WOWOWのミュージカル系の番組で見かける、「ちょっと違う世界のおにいさん(笑)。」というのが私の認識なのだが、ちと昭和っぽい風情というかドヤ感・・・を放っていて、なぜかクセになる。

でも、WOWOWで見て「クセになる」ような役者さんが下界のテレビドラマに出てしまうと、その破壊力がハンパなさすぎて手が付けられない。
他のキャストそっちのけで、井上氏ばかり気になってしまう。


視聴率はあんまよくない・・って噂。
たしかに題材が暗くて重くて絶望感漂ってるけども、私的にはどーでもよい。
この程度の暗さでへこたれてたらイギリスドラマが見られるかっつうの。

そもそも、臓器提供用にクローンが育てられているとか、そういう部分にはたいした意味はないし、興味もない。
ただ、人が死ぬために生きてるような社会、情報が限定・あるいは操作された社会、っていう、現実にもたくさん存在している社会を仮想してるだけですよ。
そして一方に、そういう社会を消費して、傍観している社会があるっていう話。
このくらい強烈な設定があってはじめて、「消費される側」の実感とか、人生への向き合い方、というのが伝わる。

でもさ。
誰だって、夢が絶たれるときはくるし、寿命も尽きるし。
自分の限界や最後を自覚したときに、何を手応えとしてその後を生きるのかが人生最大のテーマだとしたら、このドラマの人たちは、それほど不幸じゃないような気がするわけです。
教育のありかただって、社会のあり方だって、何がいいのか誰にもわからないし、何が幸せかなんて、人生終わってみなきゃわかんないよね・・なんてことを思う。

恋愛模様はちと陳腐だけども・・

私はふつうに好き。この先もいろいろ気になるぞ。

四大陸はじまりはじまり

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ここ数日は、欧州選手権のフリーダンスに魂を持ってかれすぎて言葉もありませんでした。

パパダキス&シゼロン組・・あんな、息の止まるような演技を見てしまったあとに、いったい何て言えばいいんだ??

あの二人はひょっとすると、一人では立ってられないんじゃないか?

と思うくらいに依存し合って、薄紙一枚のバランスでなんとか立っているようにみえる。
シングルでは絶対できない、たぶんアイスダンスにしかできない境地なんだろうなあ。

彼らの演技から感じる、どこか病的な、狂気に近い儚さみたいなものは、たぶん完成度とか表現とか、そういう点数に出てくるようなレベルの問題じゃないんだろなあと思う。

しかも、最終グループのほかのカップルも全部良かった。
あんな凄い大会がCSでしか放送されないなんて、もったいなさすぎ。


と、前おきが長くなりましたが。

かなこちゃんのタンゴ良かった~
勢いのある滑り、スレスレのところを狙ったようなステップ、大きなジャンプ気持ち良かった!


って、それだけかよと自分にツッコんでみるけれど。
もちろんりかちゃんもさとこ女王も良かったけれど、勢いという意味では、今回ちょっと抑え目な感じ。

その中で、かなこちゃんの吹っ切れたような気持ちのよさが抜きんでてました。
グレイシー残念だったけど、ミライちゃんの演技が思った以上によくて、最終グループ最年長の貫禄を出してましたね。

あの健全で隙のない大人感がいかにも北米っぽくて楽しい。

あんまり日本人ばっかり上位でもえげつないしつまらないので。
明日はグレイシー含め、ソヨン・ズジュンあたりも参戦して混迷をきわめたフリーが見たいなあと、身勝手なことを思ってます。


今日は男子。

抽選の様子がちらっと出たけれど、田中刑事の滑走順を知らせてくれないとは何事。

それから、途中で切れちゃった宮原さんのインタビューは、もちろん改めて放送してくれるんでしょうね?


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